岐阜県の国道418号や四国の国道439号と並ぶ「日本三大酷道路線」と言われる国道425号は紀伊半島の和歌山県側の御坊市から、三重県側の尾鷲市まで西から東に横断して紀伊山地を越える総延長194キロの道路である。
御坊市〜田辺市を除いて道路改良がほとんど進んでいない酷道(国道?)として知られているのでジムニーで走破を試みた。

阪和道の御坊インターで降りて県道27号線を経て美里から国道425号に入り、東に向けて走行する。
快適な二車線の道で国道として何ら見劣りしない。そのまま走行して田辺市で国道424号に入る。国道424号は371号と一緒になり、竜神から十津川方向に向けて再び国道425号になる。
田辺市龍神村小又川の(33.948522, 135.570274)の地点、県境まで14キロの標識(右側に五味垣内橋)がある場所から突然道路が狭くなり、林道以下の狭い道路になった。
画像の正面の狭くなるところが酷道の基点。正面に見えるガードレールが真横になって道路を塞いでいるので最初は道路が終点になったのかと思ったような場所だった。

狭いところの道幅は2メートル程度。広いところでせいぜい3メートル幅。

舗装されているもののガードレールはほとんど無く、路肩が崩れて表面のアスファルトで支えているような場所もあった。

「転落、死亡事故多し」という脅しのような看板が次から次へと現れる。

左側(北側)はほぼ垂直の岩壁で、コンクリートが吹き付けてある上に砂防ネットがかぶせてあり、右側(南側)は杉林か雑木で20メートルほど下が谷川である。急傾斜なので落下すれば谷川まで落ちることが多いだろうと思われた。

道路を整備するより「転落、死亡事故多し」という脅しのような看板を作る方が安上がりなのだろう。
道路状況は和歌山と奈良の県境の牛廻峠までの14キロが特に狭くて走り難い。
国道と言いながら程度の悪い林道程度の道路だ。
同じ国道425号なのに奈良県側に入ると和歌山県側と比較すると整備状況が良くなる。とはいえ極端に狭い道路であることには変わりない。
Google ストリートビューで国道425号を見ることが出来るので、実際に走行しなくてもGoogle ストリートビューで尺取り虫のように画像を見ると走行感がシミュレーションできる。
酷道とはいえ舗装されていてポルシェでも走行可能な路面だが、問題は道路幅でめったに対向車が無いとはいえいざ対向車が来ると離合に苦労する。
対向車はほとんど無いのが幸いだが、すれ違った軽自動車は何と水戸ナンバーだった。
結構酷道マニアは多いようだ。
ちょっと寄り道をすることにして玉垣内の天神橋から国道425号を外れて北に曲がり林道川津今西線に入る。ガードレールも完備し、たっぷり2車線幅の立派な林道を延々と登る。こちらは林道と言いながら国道並みの良い道路だ。

法主尾山(ボウズオヤマ)の頂上近くまで標高差1000メートルを一気に登る感じ。
山の上の方からは周囲の山々が展望できる。約30キロ走行して下りになり、風屋ダム沿いの川津に降りて国道168号線を走って十津川温泉に宿泊。御坊からの走行距離は153キロ。
翌日は十津川から再び国道425号を下北山村に向かう。
昨日の龍神からここまで常に北側が垂直の崖で、南側の崖の下が谷川というパターンだったがこの付近から右側が山になったり左が山になったり、また山を巻いて走る。
共通するのは山側も谷側も垂直に近い崖であることだ。
下北山に近いところで道路工事のために時間帯により通行止めをしていると表示があり、急な谷をかなり下ったところで落石ネットを張る工事をやっていた。通行可能な時間帯になるまでガードマンと雑談。数えるほどしか車が通らないという。1日に数台らしい。
通行可能になるまで40分ほど待機してようやく通り抜け、暫く走り、下北山村に入る。
上池原というところから国道169号と一緒になり、国道425号の池原ダムの上に行くと26キロ先の八幡トンネル出口で災害復旧工事のために国道425号は全面通行止めという看板がある。
工事現場の26キロも手前だが、全面通行止めの標識があって助かった。
残念、これでは尾鷲まで行けないのでここで酷道走破を断念。
酷道425号の走破の結語
国道425号は酷道と呼ばれているが、端的に言えば、国道425号は極端に狭い道路というだけである。
酷という文字は過酷だと意味もあり、路面が悪いとか急な坂を想起させるが、今回の国道425号は路面は多少荒れたところもあるが全線が舗装されているし、極端な急な傾斜も無い。
ガードレールは基本的に設置されていないし、路肩が崩れているところが多く、落下の恐れも大きい。
程度の悪い林道と思えば良いのであって国道として上質な道路を期待するから揶揄して「酷道」と呼んでいるだけで、昔林道だったところが国道425号として認定されたので、この状況は仕方ない。
国道425号は狭隘路と表現するのが一番状況をあらわしていると思うが、擦れ違いの技術が無いと乗り入れるべき道路ではないのは事実。
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169号線を南東に下れば、30キロ余りで熊野に行けるが、熊野から神戸まで帰るルートは遠くなる。
上池原の少し先から西に入る林道があるのでそれで再び十津川を目指そうと思ったが林道入り口に通行止めの標識。
仕方なく、169号線で川上村を経て北上する。
天川に行く国道309号線を走ろうと思ったがこれも通行止め。
冬季閉鎖になっていた大台ケ原に行く道もまだ開通していない。
川上村役場の近くから西に向かう洞川高原林道に入った。典型的な林道を20キロほど走り、洞川に着く。ここは大峰山の修験道の山伏の基地のようなところ。
ここから県道48号線と県道257号線を経て吉野に入るとちょうど上千本で、満開の桜を見ることができた。
今回の総走行距離は564キロ。 ジムニーの燃費は13.1k/L