作業用に着る服は普通「ツナギ」と呼んでいるが、これは上衣と下衣がつながった服(外衣)なので、繋ぎ(つなぎ)と呼ぶのだと思う。
他にいろいろな呼び方がある。
100年以上前に飛行服として上衣と下衣がひと続きになった衣服が作られたのが最初らしい。
落下傘部隊で着用されたのでジャンプ・スーツ(Jump suit)、石炭ボイラーを扱っていた男性が着用していたのでボイラー・スーツとも呼んだという。
上半身と下半身をカバーするのでカバーオール(Coverall)とか、上衣と下衣が一体になった服なのでオールインワンとかコンビネーション、フランスではコンビネゾンと呼ぶらしい。
オーバーオール(Overall)と呼ぶ人もあるが、胸当てのついたた肩紐のある釣りズボン型の服(サロペット)をオーバーオールと呼ぶ人もある。
日本では「ツナギ」と呼ぶ人が多いが、作業服専門店では「エンカン服」と記載してあることがある。
エンカン服とは、どのように書くのか?
煙管服、円管服、円環服などといろいろあるらしい。
そもそも昔は水道配管の接続部位や屈曲部位に地面の沈下や温度変化による狂いを逃げる目的で鉛管が使用されており、鉛管を設置修理する職人を鉛管工と呼び、鉛管工は狭い穴の中で工事するので上着とズボンの間が繋がった服は便利だったことから「鉛管服」と呼ばれた。
鉛の有毒性のために近年は水道工事に鉛管は使われていないが、作業服としてその名前だけがエンカン服として残っている。
煙突掃除人が煙突(煙管)に入るときに着たので煙管服なのかも知れない。
じゃ、どう呼ぶのが良いのか、そもそも上衣と下衣がつながった服で、脱げにくく保温性が高いこと、胴体を圧迫しないことなどが特長であるが、フロントのファスナーが隠れるようにしてあるのはファスナーが自動車のボディに直接擦れて傷がつかないようにするためである。
また、めくれたり裾が引っかかったりしないツナギは、機械に巻き込まれる危険性が少ないので工員などに適した作業着である。
もちろんさらに機能を追求したレーシング・スーツ、ライディング・スーツ、スキー・スーツ、ピット・スーツなど部分的に強化したり、特殊ポケットのついた品もある。
汎用のツナギはメカニック・スーツかワーク・スーツと呼ぶのが適当ではないかと思う。
なお、実際の使用に際しては、裾が引っかかったりするのを避け、また風が入り込むのを避けるために足首にはゴムを入れて使うようにしている。
ツナギのメリットは、クルマのボディに傷をつけない。腰の部分からゴミが入らない。暖かい。動きやすいことなどだが、テスター屋などにツナギを着ていくと業者価格にしてくれるなどのメリットもある。(笑)
デメリットは脱着が面倒なことで、特にトイレに入るときには面倒だ。お尻だけを出せるように 腰の部位に横向きのファスナーのついたツナギもある。
日本では山田辰という会社が1927年から「AUTO-BI」ブランド(オートバイ印)のツナギを販売しているのが有名である。

サイズは余りにダブダブだと作業し難いし恰好が悪い。特に大きすぎるツナギで股下が下がっているのは短足に見えるので恰好悪い。股下が長いと恰好良く見えるが、あまりにキツイサイズだと着脱に不便だし、前屈みになったときに苦しいので、試着して苦しくない適切なサイズ、つまり、屈んだときに背中が窮屈でなく、股下がきつからず緩からずのものを選ぶようにしている。
材質は吸湿性と耐火性から木綿100%が好ましいが、丈夫なことでは化繊混紡が良い。
Posted at 2021/06/05 17:21:33 | |
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