前回のブログでは、クルマのデザインを主に、夢を見られるかを考えてみた、
各人様のコメントを拝読させて頂いたが、私と同じ様なコトを考えておられる方もいて、
これからのクルマ、やはりイロイロと考えてみないと面白くならないのではないか?と
思った次第である、
画像は1946年式チシタリア202、ニューヨーク近代美術館で永久展示されている車種である、
美しい、と言うのがとても似合うクルマである、
私も何度かイベントで実車を見たが、やはりとてもスバラシイとしか言い様の無いクルマだ、
だが、コレを美しいと見るか古臭いと思うかは見る人次第である、
自動車のデザインと言うのは、クルマに乗らなくても、知識が無くても、全ての人に共通して
楽しめるモノと私は思うが、
カンジ方は人それぞれでアリ、どう見ようが楽しもうが自由であるとも思う、
私は、画像のチシタリアや前回のブログで挙げた様なクラシックカーやヴィンテージカーが
好きであるが、
できるならば、多くの人に、イロイロなクルマを知ってもらい、楽しんでもらうのが
良いと思うのである。
さて、今回の話題の中心は「パワーユニット」である、
コイツは、スタイルやデザインと違い、
チョットばかし知識が必要だったり、運転免許を持っていないと楽しめないモノであるが、
「パワーユニット」を思うコトで、イロイロ見えてきたり、深く楽しめると思うのだ、
ココでは私的好みや私の人生に影響を与えたユニットを中心に、
イロイロ見ていきたいと思う。
幼い頃、モノゴコロ付いた時には「スーパーカーブーム」は終わりになりつつあったが、
「フェラーリ」「カウンタック」「ポルシェ」等のカードや図鑑を見、文字が読める様になると、
まず覚えたのが「V12」「DOHC」「ターボ」と言ったコトバだ、
意味も分からず、こういう文字が並ぶと「高性能」と思うのは、
幼少期の頃からクルマ好きだった方にはお分かりいただけるかと思う、
少し成長すると、「チューニングカーブーム」になり、
「オプション」や「CARBOY」なんて雑誌を読んだりして、
「インタークーラー」「ボアアップ」なんてコトバを覚えた、
エンジンの構造を理解する・・・まではいかなくても、
「ピストン」やら「カムシャフト」等と言う部品を覚え始めたのはコノ頃と思う、
小学生の高学年・・・アニメ「よろしくメカドック」が起爆剤となったのは言うまでも無いだろう、
そしてソノ時代は「ツインカム」「ツインターボ」等見回せば高性能車が多かった時代である、
そしてF-1ではターボエンジンで1000馬力を出していた時代である、
好奇心が加速していくのも、当然カモしれない、
そんな当時の「高性能車」だけでなく、旧車(特にレーシングカー)にも興味が出て、
中学生になり更にバイクに興味が出た私は、
もっとクルマ・・・エンジンの勉強がしたいと思い、高校、専門学校と出たのだが、
今もエンジンのコトを想うと、新しいも古いもカンケイ無く、とても楽しめるのである。
「エンジン」と聞いて、私がまず思うのは「ホンダ」である、

ホンダRC166・・・250cc6気筒
「走る精密機械」と言われた、’60年代のホンダのエンジンは見るだけでも楽しい、

ホンダNR750「楕円ピストン」1気筒あたり8バルブ
NRが出たのは今から20年程前であるが、コイツを市販するまでにレースで技術を磨いた、
(「楕円」ピストンがレースに出ていたのはNRを販売する10年以上も前である)
ホンダは、エンジンに関しては、やはりスゴイと思わせるメーカーだ、
近年のF-1では苦労している様であるが、まだまだこれからだと思う、
過去にも失敗しているのだから・・・、

ホンダ1300「DDAC」エンジン、
故本田宗一郎氏の「空冷信奉」によって産まれた「DDAC」・・・デュオ・ダイナ・エア・クーリング、
強制二重空冷エンジン・・・であるが、
空冷エンジン本体の周りを「カバー」で覆い、ソコへファンで冷却風を送る、と言うヤツである、
歴史で見たら、失敗作であるが、私はコイツが大好きなエンジンのひとつである、
画像の左側にあるのは「オイルタンク」で、コイツにも空冷フィンを刻む凝り様だ、
宗一郎氏の空冷信奉は、ご存知の方も多いと思うが、カンタンに書くと、
「水冷も風で(ラジエーターを)冷やすのだから、エンジンそのものを風で冷やした方が
手っ取り早いだろう」と言うモノだ、
当時(昭和40年代の初め)これから来るべき排ガス規制には「水冷でないと」と
言う若手技術者に対し、
上記の「空冷理論(?)」で押し通し市販にこぎつけたのだが、
車体の設計にもマズい点もアリ、販売では失敗した、
エンジン自体は高性能だったが(当時の1600ccクラス以上の性能だった)、
ヒーターが効かない、エンジンからの騒音、オイル漏れ、オーバーヒート等に悩まされた様だ、
でも、宗一郎氏は諦めない、

ホンダRA302・・・空冷V8
当時F-1に参戦していたホンダは、ようやく「勝てる(チャンピオンシップを取れる)」のが
見えてきていたが、
宗一郎氏の「空冷信奉」がココにも来てしまった、
前代未聞のF-1空冷ユニットで戦うとしたのである、
結果は・・・本番では不幸にも事故でドライバーが死亡してしまい、
空冷ユニットの実力は見られずじまいとなってしまったが、
テスト中のハナシによれば、1300のエンジン同様、オイル漏れ・オーバーヒートによる
パワーダウンに悩まされた様だ、
でも、私は宗一郎氏の「空冷信奉」のエピソードが大好きだ、
宗一郎氏の「技術者魂」が良く表れたハナシだからである、
「空冷」が決して劣るエンジンで無いコトは、皆さんもご存知では無いだろうか?

ポルシェ917・・・「空冷」水平対向12気筒・1969年~・エンジン中央部にあるホイールの様な
部品は空冷ファンである
「ル・マン24時間耐久レース」での優勝を初め、数多くのレースでも優勝したユニットである、
長らくポルシェは空冷エンジンを使っていたが、
もしかしたら宗一郎氏も、ポルシェの造るこんなエンジンに惹かれたのカモしれないと思うと、
(実際には「DDAC」や「RA302」の方が世には先に出ている)
「空冷信奉」も理解できなくは無いのである、
現代のポルシェも、そしてほとんどのクルマが水冷を採用しているのは当然のコトであるが、
バイクには空冷エンジンもアリ、
まだまだ、イロイロな冷却方式が見られてもおかしくないと思うのだが・・・、

ヰセキ タフ・・・トラクター大手の「イセキ(井関農機)」が1962(昭和37)年に市販した
「シリンダーヘッドのみ水冷」の2輪車
’70~’80年代にかけて、オートバイは空冷から水冷へシフトしていくが、
当時チューニングパーツでヘッドのみを水冷にするキットが市販されていたが、
画像のタフはそれより10年も前にやっていた、
(正確に言うと、タフが初めてでは無く、他のメーカーがやっている)
バイクにはこんな簡易な構造の水冷も良いかと思うが、現代ではどうだろう?
(エンジン上のフレームに水タンクがアリ、熱い水がホースで上に上がり、タンク内の水が
もう一方のホースで下りてきて、ヘッド周りを冷却する・・・いわゆる自然循環式)
こうして、いろんな方式のエンジンを見るのはとても楽しいし勉強になるのだ、
少し変わり種の不思議なエンジンを見てみよう、

ブガッティヴェイロン「W型」16気筒

BRM「H型」16気筒・F-1用1966~
ヴェイロンのW16気筒は近年の超高性能エンジンとしてご存知の方もおられるだろう、
8リッター4つのターボで1001馬力の怪物、
一方のBRMのH型はカンタンに言えば水平対向8気筒エンジンを上下に重ねた構造、
(厳密に言うとV型180度エンジンの2段重ね)
1度であるがF-1で優勝している、
こんな複雑な構造のエンジン、どうして考えつくのであろう?
そんな複雑なエンジンがある一方で、難解な構造のエンジンもある、

2サイクル「ダブルピストン」エンジン・・・1950年代までは、こうした「変形2気筒?」エンジンが
外国・日本でも生産されていた・画像はドイツTWN(2輪)と思われる
コイツはコンロッドを1本ケチったのでは無く、
燃焼室をひとつとし、一方のピストンで掃気をうながし、一方のピストンで排気を向上させる
目的で開発された、
まだ、2サイクルエンジンの性能向上の為にあらゆる手段が考え出された時代である、

2サイクル「対向ピストン」ディーゼルエンジン
国内では「ミンセイ(民生)」がライセンス生産していた、
元はドイツのユンカース(航空機メーカー)等が開発したエンジンである、
上下方向は高さがあるものの、前後に短くでき、「モジュール式」のように気筒数を増やすコトで
排気量拡大をするエンジンである、
中央に向かって上下のピストンで圧縮する・・・なのでクランクシャフトも上下にある・・・、
今思うと(私も知ってから10年程になるが未だに難解な構造だ)ずいぶん複雑なシステムと
思うのだが、
戦前に開発され、これでもかなりの高性能だったらしいので、民生もライセンス生産に
踏み切ったと言うのである、
(トラックやブルドーザーのエンジンとして販売した)
ちなみに民生とは、今の日産ディーゼルであり
「UD(ユニフローディーゼル)」で一世を風靡したアノ会社である、
現代ではお目に掛かれない構造であるが、こうしたエンジンを知るのも勉強になり
楽しいひと時だ、
上の画像は「円鼓動」と呼ばれるエンジンである、
現代久々に出てきた難解な構造のエンジンであり、
ネットの動画を見ると更に複雑で怪奇であるが、これからが気になるトコロだ、
ロータリーエンジンも気になるトコロである、
マツダが次世代のロータリーをどうするか気になるが、
私は上の画像の「リキッドピストン」社が開発した「Xミニ」と言うコレが気になっている、
ロータリーエンジンであるが、マツダのとはチョット違う作動である、
わずか70cc、3馬力ほどの小さなエンジンであるが、
驚くのは重さで1.8キロしか無いと言う、
もし市販されたら(クルマとして乗れたら)面白いのでは無いか?
数年前であるが、アウディが電気自動車の充電用としてロータリーエンジンを荷室下へ
搭載したのも興味深かった、
レースにもディーゼルで参戦するアウディは変わったコトをやっていて
スゴく興味をそそられるメーカーのひとつである、
以前はバイクのキャブ用として市販されていた(今もある)「電動ターボ」であるが、
アウディがやるとなると、スゴいモノが出るのでは無いかと期待してしまう、
単なる電気自動車では無く、
こんなカメラのレンズ用モーター(キャノンのお家芸である「超音波モーター」)の技術も
使えないだろうか?

カワサキH2R「スーパーチャージャー」
近年は「ダウンサイジングターボ」として流行りの「ターボ」であるが、
もう一方の過給機の雄である「スーパーチャージャー」も忘れてならないだろう、
最近は古くからある「ルーツ式」等ではなく、
画像のH2Rのようにタービンを回すタイプであるが、
こんなタイプもあったりする、
リショルム式はかつてマツダが「ミラーサイクル」エンジンに採用したりしたが、
(マツダは思えば「プレッシャーウェーブ式等熱心にスーパーチャージャーやっていたと思う)
また、陽の目を見るコトがあるだろうか?
過去のモノであるカモしれないが、
可能性も持っている、とも思えるのだ。
画像は少し前のアルファロメオのV6であるが、
外観から見るだけでも楽しいモノもあるが、
中身を少しでも知り、理解すると、夢や未来が見えて来るのカナと思う、
現代のエンジンは排ガスや燃費が最優先で設計され、
見た目やフィーリング等では少しツマラナイとも思えるのだが、
コストや他社のパテントに触れない様に気を遣いながら、ココまでのモノを造れてしまうのは
やはりスゴいと言わざるを得ないだろう、
これから先は、どんなパワーユニットが搭載されるのか楽しみにしつつ、
手元の旧式のエンジンを好調に保ち楽しみたいとも思うのである、
今回は以前読んだ上の本を元に、私の感想を記述した、
上記に挙げたエンジンの他にも、イロイロな変わり種のエンジンが載っているので、
ご興味のある方は一読をおススメしたいと思う。