2015年01月14日
FA20DIT
以前から一度まとめてみたかったのですが、
WRX S4やレヴォーグの2.0に搭載されている
FA20DITエンジンについて書いてみたいと思います。
※以下は完全に主観に基づいて書いております。
ご不快を感じそう、気分を害される可能性のある方はご遠慮下さい。
まず特筆すべきは「思いのほか低速トルクが凄い」ということ。
「水平対向エンジンは低速トルクが薄い」というイメージがあった私ですが、
以前所有していたBLレガシィに比べるとかなりはっきり違いが分かりました。
もちろんBLレガシィはグレードが2.0iということでNA/ターボの違いはありますが、
ターボが効き始めるまでを比べてもFA20DITの低速トルクはかなり豊かです。
前車IS350(2GR-FSE V6 3.5リットルNA)と比較するとやはり排気量の分
極低回転域のトルクは2GRの方が少し上ですが、
1500回転を超える頃になると殆ど同じになってきて
ターボが効き始めるとFA20DITの方がトルクが豊かになってきます。
そして2000回転を超える辺りから怒濤の加速ががやってきます。
トルクの塊、というより背中から思い切り蹴られたような、そんな感じでしょうか。
ただこの点ははターボらしく一気に「ドン」という感じでトルクが出てくるので、
2GRのような高回転になるに連れて・・・というような出方ではないです。
この点はターボの癖のようなものだと思うので、ここを「たまらない!」ととるか、
「癖があって乗りにくい」ととるか人によって好みが分かれるところです。
またこの点はレヴォーグの1.6(FB16DIT)に試乗した際はあまり感じませんでしたので、
高出力ターボであるFA20DITとダウンサイジングターボのFB16DITの性格の違いが
良く出ている部分だと思います。
そして高回転域ですが、FA20DITのレブリミットは6500rpm。
実はSOHCであるBLレガシィ2.0iの場合は6200rpmとあまり違いがありません。
BL時代のDOHCのEJ20はもう少しレブリミットが上だったと思いますが
レブリミットの回転数にあまり違いがないのは驚きです。
2.0iの頃はよく手動でシフトダウンしてレッドゾーン近くまで回したりしていましたが、
高回転域もよくお世話になっていましたが、S4になってからは高回転域に入れることが
殆どなくなりました。
2.0iのEJ20は「回してナンボ」というエンジンでした。
SOHCとはいえやはりショートストロークエンジン、
回せばどこまでも回りそうな気持ちよさがありました。
「使いきれる楽しさ」、これが2.0iの楽しさです。
FA20DITは同じ水平対向エンジンとはいえ対照的。
低回転域からの豊かなトルクの波に乗って下さいといった感じで、
高回転まで回さずとも十二分な加速を味わうことができるようになっています。
おそらくFA20DITがリニアトロニックとの組み合わせになっているのは
そういった性格のエンジンだからだというのがあるのかもしれません。
となると「楽しくないのか?」というと全くそういうことではありません。
FA20DITも「回す楽しさ」はしっかりありますが、
その鍵はSI-DRIVEです。
この点はSI-DRIVEによって味付けが異なりますが、
「I」モードだとリニアトロニックとの絶妙な連携によって、
まるで自分の体と一体になったように思いのままの加速を楽しめるようになっています。
当初「I」モードはエコモードかな?と思っていたのですが、
そうではなく、「さらっと」S4を楽しむためのモードだと思います。
このモードでは前述のようにゆったりトルクを味わって下さい、といった感じで
あまり高回転域まで回すことは少ないと思います。
これが「S」、さらに「S#」モードになると体が持っていかれるかのような
そんな加速を味わうことができます。
FA20DITのパワーを存分に味わえるそんなモードです。
そこでおもむろに手動変速に切り替えると一気に高回転型に変身です。
きっちりレッドゾーンまで回して変速を楽しむことができます。
ただ、あまり高回転域まで回すよりは5600回転ぐらいで変速した方が
実際のところは速いという話もありますので、そこそこで変速したほうがいいのかな?
(以前のブログで書いたマリオ高野さんのお話にそういったことが書かれていました。)
この辺は北米版のFA20DIT+MTはどのような味付けなのか気になるところです。
ちなみに前車ISの2GRもエンジンの性格からすればEJ20に近いです。
一気に高回転域まで吹き上がるところはとても気持ちよかったです。
また2GRは吹き上がる音もとても綺麗でした。
「クォーン」という精緻な高めの音を慣らしつつ加速していくところは
さすがV6、といったところです。
FA20DITの音質については(S4のマフラーの味付けも関係してると思うのですが)
少し低音寄りです。
以前エンジン始動音・アイドリング音を録音してみたのですが、コールドスタートだと
近くにいるとお腹に響いてきます(笑)
レガシィ2.0iの時はエンジン音/エキゾーストノート共にかなり静かでした。
最後に燃費ですが、これはよく似た馬力/トルクを持つ2GRと比べてみると
2GRは街中で平均6~7、高速で10~11ぐらいでした。
対するFA20DITは街中でも高速でも10~11ぐらい。
やはり低速トルクの豊かさが街中の燃費の違いに出たのかもしれません。
ただこれはISで気合いを入れて走った場合ですので、
同じようにS4も気合いを入れて走るようになると・・・(笑)
全体的にFA20DITは良い意味で荒々しさを感じるエンジンです。
パワーの出方なども最近ではターボラグをあまり感じさせない
ターボエンジンが増えているようですが、
FA20DITでは境目がはっきり感じられます。
ただその部分が操る楽しみに繋がっていたりするのもあります。
「どこでアクセルを踏むか、どこでハンドルを切り込むか・・・」
S4に乗り換えてこういったことを考えるのがより楽しくなったような気がします。
ただその「癖」の部分が人によって合うか合わないかということも
多いのではないかと思ったりもします。
それがドンピシャに合えば私のように一目惚れして乗り換えてしまうのですが(笑)
とこんな感じのレビューになりましたが、このFA20DIT、
「また運転したくなる」エンジンであることに間違いないと私は思います。
ブログ一覧 |
WRX S4 | クルマ
Posted at
2015/01/14 19:31:26
タグ
今、あなたにおすすめ