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(C)Ron350
SCの方がそっとシルバーのIS350の運転席のドアを開けてくれる。
そして、タイトな運転席に潜り込むように乗り込む。
いよいよ楽しみにしていた試乗の始まりである。
その感想を以前乗っていたレガシィB4と比較して書いてみたい。
妻も助手席に乗り込み、シートベルトを締めたことを確認すると
おもむろにスタートボタンを押してエンジンを始動させる。
上品なセルモーターの音が短く響き、エンジンが目を覚ます。
B4のセルモーターはやや苦しそうな音を立てるが、
ISのセルモーターは苦しげな様子は微塵もない。
かなりセルモーターが強力なのだろうか。
勇ましいV6エンジンの音が僅かに室内に入ってくる。
静粛性はレガシィと同等といった感じかな、
ただ、振動はレガシィと比較して殆ど感じない。
例えると、どこか遠いところでエンジンが回っているような振動である。
足踏み式パーキングブレーキを解除する。レガシィはハンドブレーキだった。
シフトレバーをDに入れて、ゆっくりと進む。ううむ、クリープは強力だ。
ディーラーからゆっくり道路に出てみる。
ここで気づいたのがハンドルがとてもクイックだということ。
ニュートラルな部分が少ないというのだろうか、回せば回すほど回転するような感じである。
国道に入り加速し少しペースを上げてみようと、軽くアクセルを踏み込んでみる。
さすが3.5L/318馬力だけのことはあり、軽々と1600㎏超の車体を加速させる。
低速トルクは非常に豊か。
また、6ATの変速ショックが殆どなく、今何速に入っているのか全く分からない。
加速は流石に2L/140馬力のレガシィとは全く異なる。
レガシィの場合、思い切り踏み込まないと同じようには加速しない。
しかし、レガシィ自慢のショートストローク水平対向エンジンは、
踏み込めば淀みなく高回転まできっちり回って加速する。
またレガシィの4ATも非常によくできており、変速ショックは少なかった。
足回りは非常に締め上げられている。
ただ乗り心地が悪いかと聞かれればそうとまでは言えない。
300馬力以上を受け止めなければならないので、これぐらいの固さは必要なのだろう。
カーブでも殆どロールしない。
しかし、固い足回りでも段差や凸凹道を上手に受け止めていき、
乗り越えたときのショックもすぐ収束する。
タイヤ幅が広いのもあってか、まるで路面をわしづかみにしているかような感じだ。
接地感を凄く感じる。
ボディからの軋みも全くなく、ボディ剛性は十分あると思う。
ただこの足回りはスポーツ走行のように、キビキビ走るのにはいいが、
ファミリーカーのような用途にはあまり向いていないと思う。
助手席の妻は気に入ったようだが。
後、ロープロファイルタイヤの宿命か、路面の轍に少しハンドルを取られやすいところがある。
対するレガシィは「しなやか」な感じだ。
ISほどは足回りは締め上げられていないが、ゆったりと路面をいなしていくような感じである。
フルタイム4WDであることもあり、非常に安心感のある足回りであった。
318馬力を路面に叩き付けて路面をわしづかみにして進むISに比べ、
4WDで接地してしなやかに進むレガシィ。
そんな感じがした。
そのまま高速道路に行ってみる。
ランプウェイからの加速は凄まじいものがある。
まるでジェット機の離陸のように加速していく。シートに体が押しつけられていく。
ちゃんとした姿勢で座っていないと首がやられそうな感じがする。
ランプウェイから一気に追い越し車線にもいけるぐらいに勢いである。
横で妻がびっくりしている(笑)
またエンジンも非常に気持ちいい。
「クォーン」と澄んだ音を奏でながら、淀みなく高回転まで回る。
レガシィは流石にISに比べればのんびりと加速していく。
ただこちらも水平対向エンジンならではの勇ましい音を奏で、また高回転まで気持ちよく回っていく。
レガシィは必要十分な加速といった感じである。
高速道路で私の重視するポイントは直進性と追越加速である。
直進性はISもレガシィも非常に素晴らしい。
まるでレールの上に乗っているような「オン・ザ・レール」感覚である。
ここは甲乙つけがたいというより、どちらも文句のつけようがない。
追越加速は流石にISに分がある。
どの速度域でも、すぐにロックアップを解除し加速体制に入りそのまま涼しげに加速していく。
このあたりはレガシィはかなり苦しい。
やはり140馬力しかないというのもあるだろうが、4速ATというのも足を引っ張っているのだろう。
4速で巡航中大きなうなり音をたて、3速にキッキダウンして加速体制に入る。
後で調べたのだがギア比はISの方がローギヤードである。(IS:4.083 レガシィ:4.111)
加速重視のISに比べ、燃費重視のレガシィといったことろか。
こういったところからも性格がかなり違う2台なのだろう。
ブレーキもISはよくできている。
非常に剛性感があり、高速からも何の不安もない。タイヤを大きな手でがしっと掴んで止めるような感じである。
うーん、感想としては「驚愕」と言うしかない。
何というか、ここまで尖った一面があるとは思っていなかった。
ただパワフルで固いが、その一つ一つが滑らかさに包まれているという感じだろうか。
うーん、何か濃い、濃すぎる。
もう一つ感じたところが、車の動きがもの凄くダイレクトであるというところ。
ATはトルクコンバーターを介しているため、加速し始めは少し「滑り」を感じるのが普通だ。
それを、このIS350では殆ど感じなかった。
殆ど馬力に任せて加速していくような感じである。
アクセル、エンジン、そしてタイヤが一つになっているという感じと言えばいいのだろうか。
たっぷり試乗を堪能した後、ディーラに戻って車を降りた。
そしてその時点で心は決まっていた。
他の車を試乗しようという気も全く失せていた。
何がいい、悪いということではなく、この車は自分に合っている、そう確信できたからだ。
他の車に乗るより、一刻も早く欲しい、そう思った。
正直なにが決め手になったというわけでもない、
ここで判子を押さなければずっと後悔しそうな気がする、自分の求めていた車はこれだ、ただそれだけだった。
気がつけば契約していた(笑)
納車まで約2ヶ月・・・長すぎる2ヶ月だ。