スジの悪いネタ

ライブドアのホリエもんマネーが政界に流れてたんじゃないかという疑惑話は、この事件の当初から囁かれていた。そういうことがあったかも知れないし、なかったかも知れない。
　ただ、もしそういうことがあったとすれば、政局の要因になりうるし、政局を作りたい人たちにしてみれば流入していてくれたほうが都合がいいのだとは言える。

　昨日の衆院予算委で民主党の永田寿康議員は、堀江貴文容疑者が先の衆議院選挙期間中、武部勤・自民党幹事長の次男名義の銀行口座に３，０００万円振り込むよう社内にメールで指示していたと指摘した。

　事実だとすれば大したスキャンダルだが、ニュースを見ていて感じたのは「随分とスジの悪いネタだなあ」と言うこと。
永田議員も民主党の前原代表も、情報の確度については万全の自信を持っているようだけれども、微妙に胡散臭さを感じる。
　最初にそう感じたのは、この情報の入手ルートについて永田議員が会見で話したことに不自然さを感じるからだ。

　永田議員は「ライブドア関係者が受け取ったメールを、ある記者を通じて」提供されたと言う。これが腑に落ちない。
新聞やテレビ・ラジオなどに籍を置く記者が情報の横流しをしたら、寧ろそれ自体がスキャンダルだ。
　永田議員の言うように「フリーの記者」だとしても、折角の独自ネタを、自分が記事にするより前に第三者の手で公表させるなんて考えづらい。この一点だけを取り出してみても、スジが悪い感じがするのだ。

　それに、メールの文面なんて謀版謀書のできないものではない。さすがにヘッダ情報の偽装が簡単にできるとは思わないが、永田議員が予算委員会に持ち出したのは、所詮「怪文書」のレベルでしかないように思う。
　また仮に、この「怪文書」の内容が事実その通りだとしても、これが「スキャンダル」ではなく「政治問題」になるためには、実際の金銭の授受が確認できなくてはいけない。永田代議士の持ち出したネタは、スジが悪いだけじゃなくて詰めも甘い。

　先の衆院選で、公認こそしなかったものの、堀江容疑者を「小泉改革の体現者」としてヨイショした自民党には、少なくとも道義上の責任があると僕は思っている。彼らが「知らなかったんだから責任はない」とどれほど強弁しようとも。
　だけれども、だからと言って、こういうスジの悪いネタを持ち出してやいのやいの囃し立てるのは、やっぱり間違いだろう。

　この「メール」がガセだったり、内容は正しくても文面自体は「再現もの」だったとしたら、そういうアヤシゲなものを仰々しく持ち出した民主党の政治的な責任が問われることになる。勇み足はいかんよ、勇み足は。