アルファ・ブレラを見てきた

きょう（土曜日）は会社に出て、月曜の朝一番には年度末の関係資料を提出できるよう準備万端整えるつもりだったのだが、目が覚めたら体の調子がおかしい。
　喉がひどく痛み、頭は割れ鐘を撞いてるようなグワングワンという頭痛。今週は元々風邪気味だったけど、終わらせないといけない仕事が山積で、ちょっと無理してたからなぁ…。暦が土曜日になったもんで、少し緊張が緩んだのかもしれない。

　長野から上京してきた友人の歓迎の宴への出席も、申し訳なさ一杯ながらキャンセルさせていただいて夕方まで寝込んでいたが、今ここでスイッチを切り替えておかないとズルズル明日の日曜も仕事にいけなくなりそうな予感がして、ちょっと出かけることにした。

　ちょうど、アルファ・ロメオの新型「ブレラ」が今日から発売だ。ディーラーには現物があるかもしれない。時計を見ると閉店までもうどれほどもないはずだが、ブラブラ眺めてくるくらいの体調には、戻っていた。

　昨秋の東京モーターショーの折に書いたけれども、僕はこのブレラの形にひどく失望していた。ジウジアーロの原型と比べて、あまりにも見劣りすると感じたのだ。しかしその一方で、同じようにモーターショーで失望した１５９をショー・ルームで見たら印象が140度くらい転換する経験もしたので、やはり「お立ち台」ではないところに置かれた姿も確かめておきたかったのだ。



　完敗だった。確かに、ジウジアーロのコンセプト・モデルほど激しく「カッコイイ！」と言う思いを掻き立てられるわけではないが、これはこれで普通にカッコイイ。
　モーターショーのとき、あれほど気に入らなかった尻の出っ張り具合も、何故だか全然目立たない。それどころか真横から見ているうちに、「これはＳＺのシルエットを引用しているのではないか？」という気がしてきたのだ。

　残念ながら、僕の手元にある写真だとそれほど類縁性は感じられない。



けれども、KTR European Motorsportsに掲載されている白いＳＺの側面写真を見ると、Ｃピラーの形状が全然違うけれども輪郭線で見たときに、前後のボリュームの配分や尻の落としこみ方がよく似て思える。そういう意味では、ジウジアーロの原型と市販型のブレラは、巧い具合に別物になっている。

　へぇと感心して中にも座ってみたが、所有することを考えると僕はちょっと二の足を踏む。最初に気づくのは、固定式のヘッド・レストがヤケに小さいこと。屋根がやたらに低いこと。それから1830ミリの横幅が、かなり広いということ。「４座」と表記されているけど身長176センチ強の僕が後席に座ろうとすると、首を真横90度に折り曲げないと頭が納まらないこと。前の窓の下端が高く上端が低いため、オプションで天井は素通しになるのに前方視界にひどく閉塞感があること。

　う～ん、と首をひねりつつ横に飾ってあった現行ＧＴの運転席に座ってみて、びっくりした。前に展示車両に乗ったときには気づかなかったのだけれども、運転席の空間が、ものすごくユーノス500に似ている。懐かしい。
　こりゃ、もし仮に500を手放してアルファを買うとか言うことになったら、アルファGTが最適なんじゃないの？！とさえ思ってしまった。

　土産にカタログやDVDを貰って家路につく。ちなみに本国イタリアでは「『赤いアルファ』は時代遅れのレトロ趣味」と見なされているそうで大層不人気なのだとか。カタログ上も純正色に赤はなく、どうしてもと言う懐古趣味の人にはオプションで用意しているだけなんだとセールスの青年が教えてくれた。
　しかし、1.5トンとか1.7トンとか、ブレラは随分と重たいクーペなのだった。