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2008年07月20日

童夢零

童夢零 広島市交通科学館で開催されている「まぼろしのスーパーカー」展には、レース・カーのコンストラクター『童夢』が製作したコンセプト・カーの、童夢零も展示されている。(フォトギャラリーにも少し掲載)当時の日産ローレルなんかに搭載されていたのと同じ2.8リッターの6気筒エンジンを運転席後方に横置きした、まぁ口さがなく言えば光岡大蛇(オロチ)のご先祖様みたいな車である。

 スーパーカー・ブームのど真ん中を過ごした小学生だった僕は、それにも拘らずなのか、だからこそなのか、実は童夢零にはあまりピンとくるものがない。零のデビューしたタイミングが、子供たちがそろそろ飽き始めていたブームの終焉期にあたったと言う事情もあるかもしれないし、和製スーパーカーの売り文句に何やら「和製アラン・ドロン」「和製プレスリー」めいたB級くささを嗅ぎ付けたからかもしれない。当時発売されたミニカー(トミカ)も持ってたりするのだが、なんかこう、いま一つファンになりきれなかった。

 でもまあ、このコンセプト・カーが製作された背景事情なんかを読むと、案外子供の直感と言うのは侮れないものだなぁなんて言ってみたくなったりする。童夢創業者の林みのる自身が雑誌インタビューなんかで内幕を正直に話しているので、そういう記事に当たればわかるけれど、童夢は、この零を作りたくて作ったわけでも(ある意味)本気で作ったわけでもないからだ。
 あくまで本業はレース屋の童夢が、たまたま「レースの仕事がなくなっちゃったのでプロモーションのために」スーパーカー・ブームに乗っかって、いかにもそれらしい外見のプロポーザルを出して存在を誇示して見せた、というあたりが真相なのだそうだ。

 勿論、本業レース屋の会社がやった、本業に結びつけるための「アドバルーン」であるからにはエーカゲンなことはしていない筈だけれども、その……なんと言うか、エンツォ・フェラーリとロード・カーの開発方針で先鋭な対立をしたフェラーリ社の主要エンジニア達が、こぞって退職しランボルギーニ社に移籍してコンチクショーとばかりに開発にいそしんだような一意専心ぶりと比較すると、やっぱりハートの熱さが違う。ような気がする。

 日産のL28エンジンを選んだのも、林みのるの弁では確か「これだけ嵩張るエンジンでも搭載できる設計だと言うことを示したかった」つまり、もっとコンパクトで高性能なエンジンを供給してくれるサプライヤーがいるなら組んで商売する用意はあるよ、という意思表示だった由。それが悪いことだとは少しも思わないが、しかし「童の夢は零になる」程度には、シビアでしたたかな大人のビジネス的打算である。いま大人の僕が聞く分には、天晴れ也と感心するけれども純真な(笑)スーパーカー少年にはキツい話に違いあるまい。

 でもま、そういう一種のあだ花のように生まれたショー・モデルが、それでも記念碑的に大事に保存されて今もまだこうして実物を見ることができると言うのは、やはり素敵なことだと思うのだった。
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Posted at 2008/07/22 20:03:22

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この記事へのコメント

2008年7月22日 23:38
確かに「和製○○」な感じは否めないですね。
AZ-1やコペンみたいに、軽自動車だとパロディーもアリなんですけどね。


> 一種のあだ花のように生まれたショー・モデル

ここ数年のモーターショーで、意欲的なデザイン・コンセプトを出しているのがマツダぐらいなのが寂しいです。
いつからこんな風になったんだろう。。。
コメントへの返答
2008年7月25日 12:48
まぁスーパーカー・ブームのまっさなかでしたし、童夢自体はデザイン工房ではないんで、致し方ないところはあるんだと思います。
成り立ちからしても、専業のデザイン屋さんにお金払ってまで製作するようなものでもなかったでしょうし。

確かにおっしゃるとおり、近年デザインのアピールをする国産のコンセプト車って、マツダの「異様な」熱心さに比べ他社はさびしい限りです。やってない訳ではないんですけどね。
スタイリングのプロポーザルって大事だと思うんですけどね……
2008年7月23日 10:33
はじめまして

 自分くらいの年代だと、小学校入学時に買ってもらった筆箱が童夢だったという人間が沢山居るので「刷り込み」になってる感は否めないです(確か鉛筆とかライセンス商品が多数有ったので)

 当時の子供たちの間では、カウンタックより人気があった気がしましたが、今となっては「なんとも薄っぺらい」印象受けるんですよね(造形的には)
コメントへの返答
2008年7月25日 12:53
はじめまして、コメントありがとうございます。

童夢零グッズ、確かに色々ありましたねー。下敷きとか筆箱とか、僕も覚えてます。
ふと思ったんですが、童夢零のスタイリングのテイストって、どことなく変形合体ヒーロー・ロボットのそれを彷彿とさせます。ある意味分かりやすい「カッコよさ」ですね。口さがなく言えば「子供向け」で玩具的。
それはそれでひとつの方向性ではあるとは思いますけども、大人の目で見てどうかと言うと……というのもあるかと思います。
2008年7月23日 11:16
そーそー。当時でも「大きく、重たく、古い、けど丈夫」みたいなL28なんですよねぇ。子供の頃は知らなかったけど、比較的最近になってそれを知った時はショックでした。見た目とのギャップにぜんぜんスーパーでもなんでもないと(^^; 

これが定番チューンのLD28クランクを使った3.1Lチューンで少し手が入っていれば、少しはまだ夢があったかな~かと。実際に市販されたとしても、その走りは酷評だったろうから、夢は夢でヨカッタのかもです。
コメントへの返答
2008年7月25日 13:38
ねー。ちょっと(かなり?)がっかりですよね。いっそ開き直ってレース用のエンジンを搭載しちゃってるとかでも『グランプリの鷹』っぽくて面白かったかもですが(笑)。というか、童夢という会社の性格からすれば、そっちのほうがベターだったような気もしなくはないです。

そういう意味では、今回の広島市交通科学館の企画展に展示された車の中では、これが一番「まぼろし」度が高かったのかもしれません。

あ、でもせっかくレースエンジン積んでも、シャシーの煮詰めが散々だったりしたら、これまた酷評ですね。難しいもんです。

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「フェアレデーって本当に呼ばれてたの? http://cvw.jp/b/9433/47108671/
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