惰眠のブログ一覧

暦の上では連休の谷間に当たるのだけれども、僕の勤め先は休業日になっているので、多分空いているであろう街中で改めてアルファのブレラの試乗でもしてみようかなぁ～と漠然と考え、港北ニュータウンにあるアルファ・ロメオのディーラーに足を伸ばした。

　ろくに調べもしなかった僕も阿呆なのだが、ディーラーはお休み。サービス関係の人がそれでも出勤していて、展示車両の１５９をトレーラーに積み込む作業をしているだけだった。
　当初の目論見は外れたわけだが、公道上でアルファ１５９を見ることが出来たおかげで、たしかに結構大柄で１５６と比べるてしまうと重ったるい感じがあるものの上級サルーンの１６６の守備エリアまでカバーする車種であることを考えれば、十分納得のいくスタイルだということが分かった。

　それはともかく、当てが外れてしまったので、フラフラとディーラー周辺を走っていたところ、ストック保管用の駐車場にアルファＳＺ（ＥＳ３０）が停まっているのを見つけた。車内に値札が転がっていたので分かったが、これは売り物である。
　美醜でいえば一般的な「美」とは反対方向にベクトルが向いているのだろうけれども、寿司に山葵が欠かせず鰻に山椒が欠かせないように、破調が一層魅力を掻き立てるということは世の中往々にしてあるもので、単に珍しいと言うだけでない独特の誘引力を、この車は持っていると僕は思う。絶世の美女だけが男にとって魅力的なわけではないのと、まあ同じことだろう。

　ところで、わざわざマル括弧にＥＳ３０なんて書き込んだかと言うと、アルファ好きの人には言うまでもないことながら、レース・シーンで活躍した歴史的名車であるジュリア系のＳＺと区別するためである。
　アルファ７５をベースとしたＥＳ３０のＳＺは、ストイックなアルファ・ロメオのファンからはあまり好感されていないという話を聞いたこともある。
　芸事の世界でもそうだし、車の世界でも例えばスカイラインなんかに顕著だけれども、歴史と伝統のある名を襲名するとなると、とかくハレーションが起こりがちなものだ。

　と言うような話は脇においておくとしても、中部地方在住の友人の一人がかつてES30を所有していたことがあったらしく、なにかの折に僕が「洒落で買ったら面白いかもしれない」旨の発言をしたところ、洒落にならんから止めたほうがいいと真顔でアドバイスされた。
　彼によると、自動車雑誌などはしきりとこの車を持ち上げるが、チューンを施してあるとは言っても所詮はセダンのアルファ７５に過ぎないので、雑誌が書き立てるほどには面白い車ではないし、なにより大層激しくかつ深刻な壊れ方をするとのこと。
　幾台ものエキゾチック・カーも乗り継いできて、壊れまくる車であっても楽しいものは楽しいと評する彼が「あれはダメだ」と言うのだから、まあダメなんだろう。

　まあしかし、そうは言っても『悪女』という言葉の概念を形に表したようなES30のスタイル、僕は魅力的だと思う。実際に付き合うとタイヘンかも知れないけど、見てる分には素敵と言うのも、なんだかそれらしい気がする。