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惰眠のブログ一覧

2006年12月13日 イイね!

形式犯に形式的判決

形式犯に形式的判決初公判があったのは04年の9月だったので、ここまで2年半近くかかった裁判の判決公判が、横浜簡裁で開かれた。一連の三菱ふそうによる欠陥隠し事件裁判のうち最も形式的な事案である、道路運送車両法違反(虚偽報告)に関するものだ。

 裁判所の下した判断は、無罪。ウェブ版の新聞記事では、どの社も裁判の争点と主文しか書いていないもので大変フラストレーションがたまる。裁判所がどのような判断に立ってこの結論に至ったのか、全く分からないのだ。裁判原稿なのに判決理由が全く入ってないって、どういうんだ。各社、横浜支局の司法担当記者どうにかしろよ……。念のためにテレビ局のネット配信を確認して回ると、辛うじてTBSが次のように書いている。

 判決で横浜簡易裁判所は、事故の原因となった部品の破損について、三菱自動車側が強度に関するデータの一部を隠ぺいしたことは認めました。

 しかし、争点の一つになった、大臣からの報告要求があったかどうかについては、「法律に基づく正式な報告要求はなかった」として、宇佐美被告ら3人と「三菱自動車」に無罪判決を言い渡しました。(13日14:29)


 なるほど。感情的には兎も角として、法理としては納得できる。
そもそも法に基づく報告の必要(義務)がなかったのだから、入り口からして罪が成り立たっていない。だから役所のリクエストに応えて『任意で』提出したレポートの内容が徹頭徹尾ウソだったとしても罪ではないと言うことだ。
 それもそれでスゲー話ではあるのだけれども、もともと、法的根拠のある官庁からの要求に従わなかったケースを罰する罪状なのだから、監督官庁の担当官が「オレの言葉は大臣の言葉と思って聞け」みたいに言っても正規の手続き踏んでないならダメだよ、という判決なのだろう。形式犯には形式的判決で十分、と言う感じではあるが。

 初公判のときに書いたとおり、僕は本件事案を公判請求した検察側の意図にむしろ共感するのだけれども、そもそも犯罪の構成要件を満たしていないのでは、どうしようもない。
 むしろこの判決で意味があるのは有罪か無罪かと言うよりも(TBSしか触れていないのでちょっと躊躇はあるのだが)裁判所が三菱ふそうのデータ隠蔽を事実認定したことだ。
 判決要旨が分からないので軽々には結論付けられないが、文脈から想像すると恐らく「当時の被告側の技術的知見では、この程度の磨耗なら大丈夫と考えていた」云々の言い分を認めなかったことを指している可能性がある。そうであるならば、残る実質犯裁判2件の前哨戦として、これは検察側の勝ちと言える。

 もしかしたら検察側は地裁に控訴するかもしれないが、個人的にはそれはあまり望ましくないと思う。虚偽データを提出して実態を隠蔽したと言う裁判所の事実認定を得たところで、満足して欲しい。
 それというのも、1審判決を不服として控訴する検察側の主張が『所轄官庁の担当官が電話越しに口頭で行った要求も、大臣名による文書命令同様の法的効力が発生する』という論理になる可能性があるからだ。
 仮に控訴審でそういった検察主張を認める判決が出てしまったら、官庁による(時として恣意的な)行政指導に大幅な自由裁量を許すことになりかねない。そういう判例は、作るべきではない。
主戦場は、あくまでも2件の死亡事故に関する裁判なのである。
Posted at 2006/12/13 17:14:34 | コメント(0) | トラックバック(0) | 事件・事故 | 日記
2006年12月13日 イイね!

銀杏

銀杏駒沢通りの都心側終点あたりの銀杏並木の下に、現行型のフィアット・パンダが停車していた。以前ちょっと書いたけれど、この車はもともと「Gingo」という名前でデビューするはずだった。Gingoの意味は、銀杏である。

 何で自動車に樹木の名前をつけるのだろうと、ちょっとばかり不思議に思って調べたところ、当時の確かGingoの命名を巡るルノーとフィアットの紛争を報じた記事の中に「欧州で銀杏の樹は長寿と健康をイメージさせるシンボル」みたいなことを書いてあったのを見つけたような覚えがある。縁起をかついだのかもしれない。ユーザーにとっての縁起か、当時青息吐息だったフィアットにとっての縁起かは判然としないけど。

 ところで「銀杏」は(普通はギンナンだが)ギンキョウとも読む。ギンキョウとギンゴ、なんだか似た音だなあと思ったら何のことはない、元は日本語のギンキョウであるらしいのだ。ゲーテが銀杏の葉をモチーフに書き上げた詩を紹介しているサイトの説明が丁度コンパクトにまとまっていると思うが、経緯は梗概、次の通りのようだ。

 将軍綱吉の時代に日本にやってきたドイツ人の医師にして植物学者のエンゲルベルト・ケンプファーは、欧州には自生していない(というか、自生地は中国の一部だけらしい)銀杏を見ていたく驚き、これを欧州に持ち帰りオランダはユトレヒトにある植物園に播種(だろうなあ……船旅だし)したのだそうだ。
 で、色んなサイトに書いてあるところに拠るとドクトール・ケムプファーがこの植物の名前を「Ginkyo」とすべきところを「Ginkgo」と聞き違えた(書き違えた説もあり)とし、それを植物学者カール・フォン・リンネが受け容れたためにギンゴになってしまったとある。中には『ドイツ人はキョウの発音が苦手なので敢えて綴りを変えた』みたいな説もある。

 でもちょっと、僕は個人的にこの「聞き違い」「書き違い」説には与しない。でもっと単純に、ケンプファーのメモを受け取ったリンネの『読み間違い』に原因があると思う。
 活字体だと別の文字だと一目瞭然だけれども、手書き筆記体の場合、小文字アルファベットのgとyは、見間違える可能性があるからだ。特に書きなぐりだと、一層見分けがつきにくくなることがある。
 もちろん、ケンプファーが書き違えた可能性がゼロだとは言わないが、実際に日本に来た彼は自分の耳でこの植物が『ギンキョー』と呼ばれるのを聞いているはずである。なら、彼はメモに(多分筆記体で)Ginkyoと記したと考えるほうが自然だろう。ま、想像だけど。
 大英博物館にいけばケンプファーの直筆メモがあるらしいので、自分の目で確認してみるのも一興かもしれない。

 イチョウには「銀杏」のほかにも「公孫樹」なんて字が当てられる。調べてみると、『イチョウ』というのは葉っぱの形に由来した中国名『鴨脚(イーチャオ)』の転訛で、『公孫樹』は爺さんの代に植えた樹が実をつけるのが孫の代になることに由来した二つ名であるらしい。
 日本では「桃栗三年柿八年」で、いずれも自分の代で収穫にまでこぎつけるものだが、孫の代の実りを期待して栽培植物を植えた中国は、流石四千年の歴史(by日清中華三昧)の国である。
 なんにせよ、カタカナで『イチョウ』と書くよりも『公孫樹』とか『銀杏』と書くほうが、僕は好きだ。
Posted at 2006/12/13 12:30:41 | コメント(0) | トラックバック(0) | ふと思ったこと | 日記

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