みんカラで、ちょっと議論して気になったので、見に行って来た。
展示車両を近所のGRガレージに見に行ったが、試乗はできなかった。
出来るのは座ってポジションを取って、クラッチ踏んでシフトチェンジする位なんだが、クラッチが重い。
EUNOS100→RS4の30年のMT人生で鍛え上げた、私の左足の渋滞耐用限界時間は30分。
がVitz GRMNのクラッチペダルでは渋滞耐用限界時間は5分。
試乗で、クラッチを20回くらい踏んだだけで、30分渋滞した後の左膝笑い症状が出た。
「お前の様な軟弱者はこの車に乗る資格は無い」と車が宣告。
「そのとーりでーす」と、私。 この車は乗りこなせません。
多分トヨタなら何とか出来たと思うんだが、ステージはサーキットだと主張する、乗り手を選ぶクラッチの重さ。
いや、本気ですな。 「女子供はRC Fにでも乗っとけ。」と言わんばかり。
カタログで「究極のVitz」って言ってるし。
究極の意味;物事をつきつめ、きわめること。また、その最後の到達点。
フロントの対向4ポッド採用は分かる。
白くぬる? 速い車は美しく、恰好良くなければならない、だから目立つように塗装する。 分かる。
部下:「リアのブレーキは対向2ポッドにしますか?」
上司:「いや、性能としては必要がない。そこはコストダウンを図ろう」。
部下:(えぇ、そうなの) 「恰好は良くなくて良いんですね。 じゃ、塗装も要りませんね。」
上司:「いや、ユーザーはメカは分からないが、見た目には煩い。塗装しよう。」
部下:「フィスト型のキャリパーの塗装は前例はありませんが?」
上司:「いいんだ、この車は前例に囚われなくていい。挑戦が許される。 見た目に金を掛けよう。」
部下:「塗装を止めれば、リアを対向キャリパーにしても、コスト上昇を圧縮できます。車のコンセプトからもそちらの方がいいんじゃないですか? チーフエンジニア(CE)も分かってくれると思うんですが。」
上司:(CEは150台だから売れるに決まってる。 如何にコストダウンをするかしか言わないんだよ。 良い車を作ろうって言うのはポーズなんだよ。 近畿財務局の忖度を見習えよ。)
「ばかだなー、400万円出して買った車でサーキットに行く奴はいないんだよ。 当社の調査結果では、サーキット行くのは、2500万円でポルシェGT3RSを買う奴か、20万円で買った車に100万掛けて改造する奴しかいないんだよ。 サーキットはポーズだよ、ポーズ。 サーキット生まれと言って、ブレーキキャリパーに色がついてりゃユーザーは満足するんだよ。 フロントは流石にフィスト型ではフェードするから、真に受けてサーキット走られるとやばい。 だから対向4ポッドに変えた。 でもリアは本当はドラムで良いんだよ。 でも塗装すると見た目が異様って言うんで、ディスクブレーキにしたんだ。 本当は、フィスト型に変わっただけでも感謝して貰わなくっちゃいけないんだよ、いっひっひ。」
部下:「分かりました」
私:「究極のVitzって、ビジネスが究極なのね」
メーターは、エンジンの回転数を定量的に得るための大事なインターフェース。
新調することは賛成。
部下:「サーキット指向なら、タコメーターを正面に据えるんですよね?」
上司:「いや、メーターには金は掛けずに、差別化するのが企画室からの指示だ。」
部下:「え、メーターの場所の入れ替えも出来ないんですか?」
上司:「そうだ、でもフルスケールメーターには出来る。 タコメーターと入れ替えてあのスペースで260km/hを表示すると、スピードメーターの表示よりも、燃料計表示の方が詳しくなるぞ。おかしいだろ。」
部下:「なら、スピードはデジタル表示にすれば良いじゃないですか。そっちの方がサーキットっぽく無いですか?」
上司:「ユーザーは、260km/hの表示だけで、ありがたがる。だから、それ以上コストを掛ける必要は無い。 限定車と言っても他の車と同じ、何時ものことじゃないか。 速度メーターの感度の変更と、メーターパネルの変更分しか、予算が下りていないんだ。 その範囲でGRMNらしさを出してくれ。」
部下:「思いっきり、シンプルにする方向でよろしいでしょうか?」(ゴルフのメーターを想像しながら)
上司:「いや、それもだめだ、カタログ映えしない。 カタログ映え、写真でブログに乗った時の見栄えも考えて欲しい。」
部下:「照明用のLEDは追加出来るんですか?」
上司:「だめだ、パネル一枚しか変えられない、何度も言わせるな。 指針の中心位置も変えてはだめだ。」
部下:「えー。それじゃなにも出来ないじゃないですか?」
上司:「馬鹿、フルスケールメーターがあるだろう。それを最大限にアピールするんだ。工夫しろ。」
部下:「分かりました。検討します。」
これが、数字がこれでもかと並ぶメーターが完成した経緯である。
普通は、情報が得にくいメーターが承認される訳が無いのだが、コストが掛からないことが高く評価され、他の案を抑えて選ばれてしまうので有った。
クラッチの重いのはやり過ぎではないか?
部下:「クラッチ重くなりました。これは扱えない人も出てくるレベルです。ストローク伸ばして踏力下げますか?」
上司:「サーキット走る車は、クラッチが重いんだと、ユーザーはありがたがるんだ。男の車だというキャッチフレーズだしな。」
部下:「運動性能を特別な次元にまで引き上げたとは書いてますが、クラッチが重いのは男だとはカタログに書く予定は無いですよ。」
上司:「いいんだ、俺の空冷ポルシェのクラッチは、嫌ほど重い。
http://knboxster.blogspot.jp/2013/05/51.html
友達に乗せると「こんな車を運転出来るのか?凄いなお前」って言ってもらえるんだよ。 それが車を乗りこなすということなんだ。」
部下:(そうかなぁ?渋滞とか我慢の限界を超えるぞこれは)「はぁ、ではこれで、最終確定の手続きに入ります。」
私:「乗り手を選ぶことは悪いことでは無いが、もうちょっと軽い方が、親切だと思うんですけど。」
クラッチの重さについては、どれが正解なんだろうか?
6/1発売後のユーザーレビューが楽しみです。
なお、この上司部下の会話は、フィクションです。 念のため。
「これ、クラッチ踏んで注文を諦めた人いますか?」とセールスに聞いたら、「重いね」は言っても、クラッチを理由に抽選のエントリーを止めた人はいないそうです。
喜ぼう。 日本にはまだ漢がいる。
Posted at 2018/04/22 13:38:05 | |
試乗記 | クルマレビュー