
そんなわけで、ものすごいタイミングで出品されていた、ワゴンR。
送られてきたオークションの評価シートを見てみると、年式こそ古いものの、事故歴はなく、希望のMTなのはもちろん、オドメーターがなんとわずか1.4万㎞!という驚異の個体。車検を取ったばかりで、2年丸々付いていることと、ボディカラーが、蒼系のブリーズブルーメタリックだったのも響いているとか、いないとか。いや、確実に響いています。(笑
ボディには小キズが多数あり、後部に小さな凹みあり、との記述でしたが、これはまあ、自分でコンパウンドがけをすれば、それなりになるはず。
2時間後には「落札できた」と連絡があり、なにせポンコツ軽とは言え、11年ぶりのクルマ購入です。やっぱり心弾んで到着を心待ちにしていたのですが。
実はこのクルマ、ちょっと問題アリだったのです。
落札がちょうど連休直前だったことから、運送の関係で北海道に到着するのは、連休明けだろうという予想を裏切り、意外にも早く、5月2日にクルマが来ることになりました。
それも朝いちに電話が鳴り、クルマが届いたというので仕事を放っぽり出し、さっそく待ち合わせの場所へ向かったのですが。
果たして、そこには水色のワゴンRが佇んでいました。
が。
妙に引きつった笑顔の先輩。
開口一番「思ったより、傷が大きいんだよね」と。
見ると、前後バンパーにはガッツリ擦った跡があり、運転席ドアにも傷が。
これは…。
「傷が多いかも」と言われて、「エスクも林道での傷が多いので、多少は自分で補修しますよ」と、答えていたものの、さすがにここまで酷いとは想像していませんでした。
事前にもらっていた、オークションの外装写真はこれ1枚しかなく、解像度が低いので、この写真からでは、傷の状態は判別できません。まして、助手席側の写真もないのです。
先輩の名誉のために書いておきますが、評価シートで、傷の場所はわかるものの「小キズ」評価でも、それがどの程度なのか、現車を確認しないとわからないのが、遠隔地のオークションです。
なので、道内のオークションならば、必ず現地へ行って状態を確かめるそうですが、今回はそういうわけにも行かず、という状況でした。
先輩も「ここまでひどい傷だと思わなかった」と、すまながっており、まだ名変前なので、ここで断ることもできるのですが「まあ、ひと回り試乗しておいで」と言われ、さっそく乗ってみますと。
なるほど1.4万㎞だけあり、段差でも意外と足がしっかり動き、ダンパーも効いています。ボディも、軋み音などもなく、あまりヤレた印象はありません。室内も年式の割に綺麗で、エアコンもちゃんと作動します。
こうなると、乗ってしまえば外装が見えないこともあり、多少の傷は目を瞑るか、と気持ちが傾き、購入に踏み切りました。
実は軽自動車協会で待ち合わせをしていたので、そのまま名義変更を済ませ、先輩の店へ戻ってリフトアップし、各部を確認すると、本州のクルマだけあり、下回りにサビは見られず、エンジンルームもかなり綺麗です。
ただ、車検を取ったとは言え、記録簿がなかったので、どこまで整備しているのかかなり怪しく、ブレーキフルードは茶色くなっていたので、交換してもらうと、かなりフィーリングがカッチリしました。
さっそく走ってみると、思った以上にエンジンは吹け上がり、軽いので加速もいいかんじ。CVT特有のスタート時のもっさりした感じもないので、MTにこだわって正解でした。
しかし…。
基地に戻って、あらためてじっくり確認すると、傷の酷さがジワジワ心に響いて来ました。
最初の見込みでは、この程度だと思っていたのですが。
ところが、ホイールキャップはおろか、バンパーやボディだけではなく、左のドアミラーもかなり擦ってヒビも入っているので、あちこちの傷が目立ち、ショッピングセンターの駐車場に停めていてさえ、遠目で傷があるのがわかるので、これはもうコンパウンドで磨いてどうの、というレベルではありません。
本州の裏路地や駐車スペースの狭さは、わたしもよく知っています。このクルマもかなり狭いスペースに停められていたのでしょう。多分に入出庫の度に擦っていたのでは、という印象で、特にまずいのが、擦った跡にタッチアップどころではなく、ベタベタと、塗料を無造作に塗っていること。おかげで余計傷が目立ってしまっています。
後部に凹みあり、と記載されていたものも、バンパー付近を当てたのだろう、くらいに思っていたら、なぜにリアゲートのこの位置を、こんな風に当てるのか?という、謎な凹みが。(泣
ヘッドライトが妙にくすみもなくきれいなのは、バンパーをやっつけた際にヒビを入れてしまい、そのままでは車検が通らないので、交換したものだと推察されます。
ワックスがけはおろか、洗車もあまりされていなかったようで、ボディから艶は失われてしまっていますが、救いはカーポートにでも駐車されていたのか、ルーフの焼けがなかったこと。
元オーナーは、おそらくはMT経験しかない高齢者だろうなと予想していましたが、案の定、リアゲートには高齢者マークが貼られていた形跡がありました。なので長距離を走ることはほとんどなく、近隣の買い物程度しか走らなかったことから、13年でわずか1万4000㎞、というオドメーターなのでしょう。
かわねこが3人目のオーナーで、車検証を確認すると、初年度登録は2月だったので、車検切れを機に免許返納で手放し、引き取った地元のクルマ屋さんが4月になって車検を取り、業者オークションに出した、というところではないかと、勝手に推測しています。
この晩は、納車の嬉しさよりも外装傷の予想以上の酷さに、やっぱり早まったか、と、かわねこのメンタルが傷以上にかなり凹んで眠れませんでした。
しかし、もう買ってしまったものはしょうがありません。機関系は好調で問題ないこともあり、ひと晩悶々と悩んで、開き直りました。
と言っても、仕事車ということは、現場以外にも打ち合わせなど、客先に赴くことも少なくなく、新規の客先だったりすると、この外装ではさすがにまずく、今後もこのままというわけにはいきません。
かと言って、これを鈑金屋さんへ持ち込めば、部分補修ではなく全塗装のレベル。安く買ったクルマにそんなお金はかけられず(それならエスクを全塗装したい(笑 )、とりあえず、修理したとハッキリわかる程度の素人修理でも、今のままよりは、はるかにマシです。なので、パテ盛りとか塗装作業は、正直苦手な方ですが、できる限り自力修理に踏み切ることにしました。
さて、前回のブログ冒頭に書いた「水色のワゴン」という曲には、こんな一節があります。
海がえりの車 ゆっくりかきわけて ふるさとのナンバー・プレート どこまで行くの?
このままずっと 追いかけたいね 懐かしい街角 とおってきたの?
かわねこ自身は東北の出自ですが、かわねこ家の本家は神奈川県にあるのです。幼少の時代は、そこもかなりの田舎だったので、第2のふるさとのようなものでしたが、実はこのワゴンR、届いた時に付けられていたナンバープレートは、その地元のものでした。
名変時に、古い車検証を確認させてもらうと、その住所はかわねこ本家がある町の、隣町のものだったのです。
なので、それこそ懐かしい街角を、通っていたこともあるかも知れません。そんなこともなにかの縁かなと思っています。
このクルマが車検を受けたのも、オークションに出された前日だったことから、かわねこが偶然とは言え、あの日に先輩の店に相談に行かなかったら、この個体には出会えていない可能性が高いです。
ボディの傷に関しては、焦ってもしょうがないので、この夏じっくり時間をかけて補修することにし、まずは必要装備をぼちぼち揃えて「かわねこ仕様」にしていくことにしました。
てなわけで、初手からネタ満載になってしまいましたが、6年半ぶりに2台体制が再開。
ここから「あ~るくん」こと、ワゴンRとの新たな航海が始まったのです。