
てことでいよいよメインイベントの「しらせ」に向かいます。
午後になって少し見学客も増えていましたが、それでも混んでいるほどではなく。
しかし予報通りと言え、無常の雨が降ってきていますが、がんばって撮影。
艦艇ながら、オレンジ色の塗装と、ロービジではないのはこの艦ならでは。
艦自体が大きいのですが、それだけにアンカーの大きさが際立ちます。もしかすると、ひゅうがクラスのより大きいのかも知れません。
艦首下に見えている丸い穴は、砕氷時に汲み上げた海水を吹き付けて、砕氷しやすくするための装備です。
前甲板に搭載された、物資を積み降ろすためのゴツいデリックがソソります。(笑
さっそく乗艦。
こちらは調査隊隊員用の部屋。2名部屋ですが、意外とゆとりがあります。
隊長室は、任務内容からも、さすがにゆとりがあります。
調査隊は基本的には、日本から乗り込むのではなく、オーストラリアまで飛行機で移動し、そこから乗艦するはずですが、それでも南極までひと月はかかるので、居住性にはかなり配慮されている様子です。
専用の理容室までありました。半年に渡る任務の艦ならではの装備です。
ただ、理容師資格を持った隊員が必ず乗るわけではないそうで、その場合はお互いに髪を切り合うのだとか。
ちなみに公開されていませんでしたが、当然医務室もあり、常駐の医師もいるそうです。
ハッチの向こうには、艦船ならではのラッタルが。
ただ、おそらくはこれを使うのは艦の運用に関わる海自隊員だけで、調査隊隊員は、我々が使わせてもらった、通常の階段を使っていると思います。
このあたりは、過酷な航海がリアルにわかります。
艦内電話は番号ではなく、こんなかんじで直接呼び出せるようです。
後部格納庫の前に、こんな部屋が。聞くと、ヘリパイロット用のブリーフィングルームなのだとか。
格納庫には、こんな夜店の屋台のようなものも。長い航海、こういうのもメンタル的に必要なのでしょう。
後部甲板は、それほど広い感じはしませんでしたが、これでも通常CH-101「ピューマ」が、2機搭載されています。
格納庫は、暖房が強力でかなり暖かいのだそう。機材の凍結を融かすためにも必要なのでしょうね。
ヘリを格納庫まで移動するドリーですが、護衛艦だと甲板上にレールが敷設されていますが、「しらせ」は自由走行型でした。もっとも、ヘリが大きいので通路は制限がありますが。これをいかに正確に操作できるかが、担当官の腕なのだとか。
それにしても。ドリーに「タロ」って名前が付いているのは、この艦ならではでは。(笑
南極の氷も展示されていました。展示用に必ず切り出して持ってくるのだそうです。
この氷は、何千年、何万年も昔に南極に降った雪が凍ったもの。なにか不思議な感覚です。
今回は、機体がオーバーホール中のため残念ながら搭載がなく、パネル展示のみ。
しかし、この翌週は九州の門司港でも公開される予定で、ヘリも搭載していくようです。
パイロットの方から「門司にも見学にぜひどうぞ(笑」と言われましたが、行けるものなら行きたいものです。(笑
パイロット用のロッカーには、鉛筆で走り書きがしてあるのもリアル。
ベテランの操縦技術が要求されるためでしょう。パイロットは佐官が務めるようです。
昭和基地での物資、人員輸送は当然過酷で、天候が悪いとヘリが飛べないことも当然あり「南極まで行って飛べないと、何しに乗って行ったのかと思ってしまいます。」とのこと。
しかも飛べる場合は、1日でなんと14往復もするそうで、時間に追われる作業とは言え、過酷なことには変わりありません。
砕氷の状況が良く、昭和基地に近い場所に停泊できた場合は、雪上車による陸上輸送や、燃料などはパイプラインを引いて送るのだそう。
実際に現地に赴いた隊員さんならではの話は、実感がこもっていてかなり興味深いものでした。
管制室は、護衛艦のように甲板上にあるのではなく、格納庫上に設けられていました。
後部にもデリックが備えられています。
これはたぶん、補給物資の積み下ろしというよりも、海洋調査用と思われます。
艦橋も公開されていましたが広く、かなりゆとりがあるのに驚きです。
写真は艦長席。赤一色のカバーが掛けられているので、艦長は1等海佐ですね。
フロアマットがおしゃれ。これ、販売してくれないかな、欲しい。(笑
1万2000トンの艦だけに、艦橋もかなり高い位置にありますが、南極近辺の海はかなり荒れると聞いていた通り、ここまで波を被ることも日常茶飯時とか。
しかも、ワイパーはありますが、それでも落とせない窓ガラスに着いた潮は、人力で拭いて落とすのだそうで、外側にそのための通路があるそう。
海自艦なので、ラッパはなくてはなりません。
4本もあるのは意外でしたが、
8月に護衛艦「まきなみ」を見学した際に、4人編成の演奏を聴かせてもらったので、そのような機会もあるのでしょう。
艦橋は広いものの、それなりに見学者も大勢いたので、あまり写真は撮れませんでした。
舵輪はオーソドックスなもので、大型艦のため、スロットルは機関室で制御するため、艦橋にレバーなどはありません。
食堂もかなりの広さ。しかもここは調査隊隊員専用で、海自隊員は別室での食事になるとか。もちろん、メニューは同一だそうですが。
自販機が2台も設置されています。専用のカードが支給されるそうで、そのカードにチャージして買うことができるようになっています。
人気があるのは、レッドブルやモンスターなどのエナジードリンクだそう。さすがマッチョマンが多い、海自隊員。(笑
下部甲板に設置されていた、ゴツいウインチは調査用で、これは海底の泥を採取するために使うとのこと。
「しらせ」は、これまで見た艦船とかなり趣が異なっており、戦闘艦ではないので、機密事項が少なく、かなりの部分が公開されていたのが印象的。
また、任務が特殊なために艦内のつくりが艦船ぽくなく、明るい印象だったのと、全体にスペースに余裕がある印象でした。これも長い航海のための配慮なのでしょう。なかなかに興味深いものでした。
艦齢自体も古く、今後は後継船の建造が計画されて、その運用が海自から離れ、JAMSTECに移管されるそう。
北海道を離れた後は門司と横須賀で一般公開されるそうですが、その後はおそらく物資搭載に入り、11月には日本を離れ、帰国するのは来年の4月になるのでしょう。
本当に過酷な任務、お疲れさまです。そして見られて良かった。
しっかり堪能して退艦時には、いよいよ雨が強くなってきました。
稚内を離れる頃には、ライダーさんが可哀想になるほどのかなりの土砂降りにもなったので、見学にはいいタイミングだったようです。
往路は日本海側のオロロンラインを北上したので、帰りは内陸の国道40号線を南下。雨だったので写真はありません。
あとはもう帰投するだけなので、音楽を聴きつつ、のんびり雨のドライブ。さすがに士別剣淵から旭川北までは、高速を使ってショートカットしましたが、7時間半ほどで帰投。往復900㎞の、ひさびさのエスクでの一気走りを愉しんだのでした。