すでにふた月近く前の話ですが、10月初旬に法事で実家へ帰ることになりました。
当初は弾丸帰省のつもりで、苫小牧~八戸のフェリーと、八戸でのレンタカーも予約していたのですが。
たまたまスケジュールに少し余裕があり、これなら1日休みを増やせば、苫小牧東~秋田のフェリーに乗るのもアリかなあなどと、当初は漠然と考えていました。
試しに費用をキッチリ試算してみると、秋田航路を使うと、八戸航路に比べて航送料がかなり安くなること、高速に乗らずに済むこと、帰りの秋田出港は早朝なので、前泊が必要になりますが、ちょうどポイントが貯まっていたので、安宿なら手出し無しで泊まれそうなことから、軽自動車のあ~るくんで行けば、差額はわずが3000円ほどで済むことが判明しました。
さらにこの時期、いつも親戚には北海道の農産物を送っていますが、送料が高騰した昨今、これも積んで行ってしまえば、送料が浮くぶん、むしろ安くつくかも、と気づいたのです。
問題は例の補修失敗で、あ~るくんの外装がかなり酷い状態のままだったことですが、やはりクルマごとフェリーに乗船できる利便性には代えられず、ここはガマンして当初の予定を変更し、あ~るくんでの帰省となりました。
出発が土曜日だったため、少し早めの午前中から基地を出発。
せっかくなので、ひさしぶりに十勝港にも寄ってみました。
ちょうど漁船が水揚げをしていたこともあり、なんだかヒッチコック映画ばりの様相。クルマに爆弾を落とされないか、ちょっと心配なほどでした。
そしてこちら方面へ来たならば、寄らずにおれない、ねこや食堂。
時刻が15時台とあって、さすがにうどんのオーダーはしませんでしたが、コーヒーと焼きプリンを堪能。
ここ、コーヒーが美味しいうえに、ポットで出て来るので、たっぷり2杯分楽しめるのです。
海沿いの景色を堪能しつつも、日が落ちるのが早く、暗くなってくると途中で遊ぶ気もなくなって来るので、のんびり走っても、苫小牧東港新日本海フェリーターミナルに到着したのは、出港の2時間以上前の17時半。
さすがにお腹も空いてきましたが、いつも通りなら、出港1時間前の18時20分には乗船できるはず。乗船してしまえば、船内のレストランもオープンしているので、出港前に夕ご飯が食べられそう。
と目論んで、コンビニに買い出しにも出かけず。この港、近くにコンビニもないので買い物をするには、10㎞ほど離れたむかわ町内まで戻らねばならないのです。
しかし。
ちょうど農産物の出荷時期なこともあってか、大型トレーラーがひっきりなしに乗船していきます。
ふだんならトレーラーを含む、大型トラックは1階甲板に積まれ、スロープを上がる、2階甲板は乗用車と、せいぜい2t車くらいの乗船なのですが、この日は大型トレーラーもさかんに2階甲板へ登って行き、やっと乗船開始になったのは、なんと出港の15分前。この15分で、待機していた乗用車30台ほどすべてを乗船させたのは、さすがですが。
到着が早かったかわねこは、比較的早めに乗船できましたが、ふだんなら船室に荷物を置いてひと息ついてから、ゆっくり甲板へ出て出港風景を眺めるのですが、この時はベッドに荷物を置いて甲板へ出るとゲートが閉まり、まさに出港が始まったところでした。
主機の振動が伝わり、街明かりが遠のいていくこの瞬間が、旅を実感させるので、かわねこはもっとも好きなひとときです。
さすがに腹ペコなので、あまりのんびりはせず、さっそくレストランへ。
長い時間航海するフェリーの食事は、煮込み料理が美味しいのが定番です。その昔は、揚げ物とかサラダ類はあまり美味しくなかったのですが、近年は冷蔵設備やフライヤーの性能向上もあって、ほとんど外れはなくなったのは、ありがたいところ。
今宵は美味しそうな香りに惹かれて、カレーをチョイス。今回ばかりはオーダーを大盛りにしてしまいました。(笑
船室はここ最近定番の2等A寝台。その昔、余裕があった時代は個室の1等を取っていましたが、日中を過ごすのならさて、この航路は夜に出港して朝に着くので、ケチって寝台です。
新日本海フェリーの寝台席、現在の呼称は「ツーリスト」なのですが、未だに呼びつけないので、ここでは寝台と呼びますが、昔ながらの二段ベッド式のB寝台と、近年の改修で取り入れられた、カプセルホテル的なA寝台、さらに天井が高い、一段ベッドのS寝台があります。
S寝台は、昔は新潟航路などで個室より安いことから使っていました。天井が高く、開放感はありますが、近年はケチって使わなくなりました。
そして今回は、ひと晩過ごすので、少しだけグレードの高いA寝台にしました。
二段ベッドのB寝台でも、最繁忙期の盆休み時期でもない限り、同じベッドの他の段に人が入ることはほとんどありませんが、A寝台のメリットは、導風口が付いていること。船の空調って、個室以外では個別の調整はできず、全体に暑いことがデフォルトです。おそらくは、寒いと体調を崩す乗客もいる可能性があるため、薄着にすれば済む、暑め寄りに設定しているのではと思います。
そのため、昔ながらの大部屋2等も、新日本海航路にはわずかに残されていますが、夜間は消灯されてしまうことと、消灯しても防犯灯が点いているので、真っ暗じゃないと寝付けないこと、二段ベッドのB寝台は、Tシャツでも暑くて寝苦しいことが多いことから、船内で一泊する場合は、数百円ほどの差額なので、最低でも少し快適なA寝台を取るようにしています。
ちなみに夜出港の翌日夕方到着、と言った長時間航路ならば、数千円の差額を払っても、個室(新日本海フェリーでの呼称は、1等が「ステート」特等が「デラックス」を取るのがオススメ。ビジホに一泊したと思えば、個室でゆっくりできるメリットは大きいと思います。写真は以前利用した1等和室のもの。
大風呂も、昔は窓のない船体中央に、味気ないステンレスの浴槽が置いてあり、3人も入ればいっぱい、なかんじでしたが、現在ではどの航路でも風呂のスペースは大きく取ってあり、大きな窓が付いていて、日中なら海を見ながら入浴できるのが、特長です。
お風呂も大概は、出港前から開放されていますが、どうせ入るなら外洋に出て、波打つ湯船に浸かりたいのが船マニア。(笑
ちなみに画像は、さすがに浴室の撮影はできないので、公式のもの。
唯一、出港後のお風呂だと、売店が営業終了しているので、お風呂上がりのアイスクリームが自販機ものになるのが惜しい。でも、自販機があるだけマシですが。
ちなみに夜行航路の場合、ほとんどのフェリーは22時で消灯になります。
ロビーなどの公室や通路は明るいままですが、大部屋やベッド室も部屋全体が消灯になります。もっとも、ベッドには明るい読書灯が備えられていて、どうせ寝転がって読書することが多いので、消灯になってもなんら問題はありませんが。もちろん、個室だと消灯は自由です。
いつも本を読んでいるうちに、心地よい揺れで寝落ちするパターンで、今回も23時前に寝落ちし、翌朝は6時に起床。
天気が良いと、水平線上から昇ってくる朝日を拝めるのですが、この日は残念ながらどんにょり天気で陸地も見えず。
秋田港入港時も小雨の中だったのが残念ですが、こればかりは仕方ありません。
海上のうねりなどの関係でしょう。今回は予定より5分ほど早着、とのアナウンスがありました。フェリーではたまにあることで、マニア的にはふだんならちょっと損な気がしますが、今日は法事の予定があり、遅れるわけにはいかなかったので、ありがたいところ。
無事下船して、お遊び無しでまっすぐ目的地へ向かいます。
-つづく-