広義の仮ナンバーには2種類あります。
右上から左下にかけて斜めに赤線が入ったナンバープレートと赤枠で囲ったナンバープレートです

斜めに赤線が入ったナンバープレートは正式には「臨時運航許可」といい、公道を走行できない車、たとえば、車検が切れた車や抹消登録してナンバーの無い車両に取り付けることで、暫定的な公道走行許可を与えるナンバープレートで、走行ルートを事前に申請することで特定の車両と特定の運転者について市区町村が一回限り運航を許可します。本来は修理工場とか販売店から陸運局までの走行が目的ですが、遠方から車検の無い車両を自走で運ぶ場合などにも使用できます。
住民でなくてもどこの市区町村で借りられますが、走行ルートに関係しない市区町村では借りることはできません。
借りられる期間は原則として最短に限られ、正当な理由が無いと申請期間が認められません。
走行ルートなどにより最長5日間の許可が与えられます。
赤枠で囲ったナンバープレートは「回送運航許可」と言い、業者が車検切れの自動車や登録前の自動車を、検査や登録のために陸運支局や整備工場へ運搬する、または、販売や陸送業務のために一時的に公道を走行(回送)する許可を与えるものです。
正式名称は「回送運行許可番号標」と言いますが、回送用ナンバー(ディーラーナンバー)とも呼ばれます。
「回送運航許可」では陸送・整備・販売・登録などの業務目的で特定しない複数の車両にナンバープレートを取り付けて走行(回送)できます。
業務に必要な車両の回送が目的で、車両や運行経路などの指定(制限)がなく、何回でも業務のために車両を動かすことが可能です。
その許可は運輸支局または陸運局であり、許可申請をすることができる業種は「販売業」「分解整備業」「陸送業」「(自動車)製作業」の4業種に限られています。当然運転可能な者はそれらの企業の従業員に限られます。許可証は最長5年間有効であり、業に関係する目的で走行する場合に車両や走行ルートなどについて事前の申請を必要としないので自由度が高い仮ナンバーです。
許可主体は運輸支局または陸運局で、前述の4業種の業務実態などの実績が必要で手数料や申請手続きも複雑です。
後者の「回送運行許可番号標」はまさにプロの業者しか取得できない特殊なナンバーですが、それに比較して「臨時運航許可」は誰でも非常に簡単に取得できます。
有効期限の切れた車検証、または、抹消登録を証明できる登録識別事項等通知書と有効な自賠責保険証書と免許証があれば、近くの役所で自動車臨時運航許可申請書を提出するだけでその場で許可されて仮ナンバーと臨時運航票を借りることが出来ます。
こんなに簡単に仮ナンバーが借りられるのは不思議です。
たとえば昨日車検が切れた車両ならともかく、何年も放置してあった車両にも同じように簡単に仮ナンバーが与えられるのです。これは便利なシステムで有り難いのですが、何年も放置してあった車両はブレーキが効くかどうかわかりません。
何年も放置してあった車両は正常に走行する保証は全く無く、申請者の責任のもとで仮ナンバーを申請すると安全性(車両の正常な作動)を全く確認すること無しに仮ナンバーが貸与されることです。これは非常に恐ろしいことですね。
これまでに仮ナンバーでの大きな事故は知りませんが、いつ大きな事故が発生するかわからない状況です。
長期放置してあった車両はエンジンも掛からない場合が多いと思いますが、運良くエンジンは掛かったが運悪くブレーキが効かなかったというのでは大変です。
ネットオークションで買った車を仮ナンバーで長距離回送するというのは非常に危ないですね。
出品者に依頼して事前に仮車検を取得するか走行に耐えるだけの最小限の整備を依頼してから回送するべきです。何年も放置してあった抹消登録済の車両は積車で運ぶか陸送業者に依頼して運んでもらうのが良いと思われます。
なお、市区町村に提出する自動車臨時運航許可申請書ですが、市区町村によってはご丁寧に書式に英語も併記されています。近年中古車ビジネスに得体の知れない外人が関与するケースが多いのですが、彼等の便宜のために英文も併記され英文の記入でも受理されるのかと思いますが、注意事項については英訳文の記載は無く、仮ナンバーの主旨が判らない外人がこの制度を使うのは恐ろしいことです。
「回送運行許可番号標」を中古車屋さんが持っているとナンバーの無い中古車の試乗が簡単に出来て便利だと思ったことがありますが、「回送運行許可番号標」の主旨が回送であり、試乗ではないので残念ながら有効なナンバーがついていない中古車の試乗は無理ですね。
Posted at 2025/06/26 23:05:24 | |
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