
龍飛へ向かうと、途中に雰囲気の良い漁村があったので、思わずクルマを停めてしまいました。
こういう「舟のガレージ」って、なにかいいですねえ。
漁師さんにとっては、大切にするのは当たり前なのでしょうけれど、舟は生活の一部というかんじがします。
岬の手前に青函トンネル記念館があり、見てみようかとクルマを降りました。
記念館内にある、140m降下するというケーブルカーにちょっと興味を持ちましたが、残念ながら次の発車まで1時間もあったので諦め、岬へ移動。
竜飛岬と言えば、津軽海峡冬景色…よりも、やっぱりこの階段国道。
ここ、20年以上昔に、GSFでのツーリングでも来ていたのを思い出します。
階段を降りてみてもよかったのですが、降りると当然登ってこなくてはならず、先ほど蟹田の展望塔階段で体力を使ったのでパス。(笑
なので迂回する道路をクルマで降りてみましたが、下の階段はこの地味さ。なんと民家の軒先です。
ここからは南下です。道端になんかいるな、と思ったら、猿でした。走行中に撮ったので、写真はぶれまくりですが。さすが東北。それもけっこうな数がいました。
ありがたいのはエゾシカと違って、頭がいいので、ホーンを鳴らすと避けてくれること。(笑
龍白ラインは標高が高いせいでガスっていました。
が、降りてくると晴れて海が見えるのが嬉しい。
十三湖からは、国道を外れて県道を南下。遠くには、岩木山も見えてきました。
のんびり走れるのは良いけれど、さて今日はどこに泊まろうか。
まだ風は強いけれど、天気は回復したので今日こそ幕営したい。
そんなことを考えつつ走っていると「木造(きづくり)」の地名が目に入りました。
それはかわねこには、とても懐かしい地名なのです。就学前の幼い頃、伯父一家が木造に住んでおり、訪ねたことを遠い記憶の底に思い出しました。
なので地名に惹かれて、木造出来島の海岸へ行ってみます。
伯父を訪ねた際に、かわねこが生まれて初めて海水浴をしたのが、この木造でした。お盆の時期だったのでしょう。海岸にクラゲがたくさん打ち上げられていて、その不思議な生物をじいっと観察した記憶があります。
海水浴場ならテントが張れないか、と思いましたが、まだ海開きの前。トイレも閉鎖されており、海岸も清掃前でゴミだらけ。さすがに幕営は諦めました。
素直にキャンプ場を探したほうがいいかな、とスマホアプリで検索してみると、さらに南下した深浦にはキャンプ場があるようです。
まだ距離はありますが、日が長い今の時期なら、暗くなる前に辿り着けるかもと、行ってみることにしました。
と、手前の鰺ヶ沢には、国道沿いにスーパーがあったので、これ幸い夕食と、暑かったので氷を調達。
水と食料さえあるなら、かわねこ的には最悪「野宿」という選択肢もあるので、ちょっと気が楽になりました。
とは言え、疲れてきたので深浦のキャンプ場まで辿り着く前に、条件が合えば海岸ででもテントを張りたいのも本音。
このあたりの海岸には海水浴場も多く、トイレなどがあるかも、と、行ってみるものの、いずれもゴミだらけだったり、トイレが使えなかったり。
そんな中、国道沿いにかなり広い駐車帯があり、大きなトイレがあるのを見つけました。
中もきれいで、ちゃんと使えます。ここも海水浴場客用でもあるのでしょう。着替え室までありました。
このトイレなら使いやすそう。でも問題はどこにテントを張るか。道路向こうの海岸はどうせゴミだらけだろうと思い、見渡すとトイレ横の駐車スペース脇には、雑草が生えていますが、なんとかぎり、テントは張れそうなスペースがあります。
もうキャンプ場を探す気力は失せて、ここで強引に展張を開始し、風は強かったけれど、設営完了。
トイレからも少し離れているので、そこに寄るクルマがあっても、こちらまでは来ないだろう。
海が柵越しなのと、国道が眼の前だけど、贅沢は言えないな。
と思いつつ、テントを張り終えると落ち着いたので、ちょっと海岸まで散歩に歩いてみました。
するとなんとしたことか。
道路下には、広く平らなスペースがあるではありませんか。
しかもこちらにもトイレがあり、ちゃんと使えるどころか、自動点灯の灯りと、トイレットペーパーまで装備されています。
国道より少し下がっているので、クルマからは見えるものの、先ほどの駐車スペースよりも目立たず、しかも周りがきれい。海も眼の前です。
これはこちらにテントを張らないほうがおかしい。
というわけで、打ち込んだペグを引き抜き、さっそくテントを移動します。
ここは駐車スペースではない通路ですが、脇を通れるようにあ~るくんを寄せて停め、実際翌日まで誰も来ませんでした。
いやあいいです。
眼の前は海。風はまだ強く、少し冷たいのと、水平線近くに雲がかぶってしまったものの、沈みゆく夕日を眺めているだけでも幸せ。
そして今日の夕食はこれ。
日中が暑かったので、実のところ火を使う料理をあまりしたくなかったのと、スーパーの惣菜コーナーを見ていたら、安かったので。
実際この内容で500円は、地元ならではのコスパで、なかなかの美味しさでした。
ちょうどちび麺も安売りされていたので、お湯を沸かしてカップ麺で味噌汁代わり。寿司の相手なので、ラーメンではなく、天そばです。
海は強い風で白波が立っていますが、海水浴場だけに消波ブロックが効いていて、潮騒もいいかんじに優しい。
ぼぉっとしていたら、背後で急に列車の音がして驚きましたが、道路の向こうは線路なのでした。
夜中に貨物列車が通ったらうるさそうだなあと思いましたが、幸い早い終電の後は何も通りません。
最後に逆転したような気分で、心地よく暮れなずむ海を眺められたのは、贅沢なひとときです。
夜半には吹き荒れていた風も止んでくれ、国道を通るクルマも少なくなったので、静かな夜を過ごすことができたのでした。
つづく