
吹け上がりが軽く、そこそこにパワーもあってまずまず軽快に走り回ってくれる、職場車のサクシード。
コイツの欠点は、FWDで、なおかつトラクションがかかりづらいので、特に下り向きでスリップすると簡単にスタックすること。
この特性を知っているので、やばそうなところには入らないように乗っていたのですが。
今日はやられました。史上初3度のスタック。(泣
原因はぜんぶホワイトアウト。
1度目は、何を隠そう今朝、自宅裏で。今日は朝から吹雪もよう。時折突風が吹くと、地上の粉雪が舞い狂って視界を遮ります。
自宅を出てすぐに、いつも通る裏通りに除雪作業が入っていたので、何気にふだんと逆方向へステアリングを切りました。直後に突風でホワイトアウト。そのまま直進して、一瞬の吹雪が収まった瞬間、がすっという抵抗。
「あ、ここ除雪されてねーじゃん」と気付いた時にはもう遅い。(汗
フロントバンパーが埋まってタイヤは空回りするのみ。
後に積んでいるスコップで雪を掻きだし、ヘルパーをかませましたが、動いてくれない。この時は自宅近くなのが幸い、引っ張った方が早いと判断し、近所の同僚を呼んで引いてもらい、無事脱出。
でもって、今日は道東へ出張でした。
オホーツク海側の街、斜里町で取引先と客先へ同行。打合せを済ませ、斜里を出発したのが16時過ぎ。宿をとっていた、北見へ向かっていました。
往きに小清水町の手前で、吹き溜まりにトラックが突っ込み、通行止めをくらっているので、内陸の国道334号はやばそうだと、海側の国道244号を網走に向かっていると。携帯が鳴って、先ほど別れた取引先の担当さんから「244号ダメだわ。この先で通行止めになってる。」と連絡があり。
ならばいったん引き返すしかないのですが、なにしろこの時点で相当な猛吹雪。ほんの30分前まで、どうってことなかったのに。
既に国道上の各車はハザードを点けて徐行中。視界がほとんど効かないので、その辺に停めてUターンというわけにも行きません。
と、見知った国道脇の道々入り口が見えました。ここに入って、右折を2回繰り返せば国道に戻れます。
が、なんと入ったすぐ先の交差点が1m近くも吹き溜まっており、交差点で徐行したらそのままスタックしてしまいました。(視界が効かないので、停まってから状況がわかったのです)
念のため、と思って持ってきていた、ゴアテックスの冬スキー用ジャケットを羽織り、長靴に履き替えてまたスコップ作業。しかし思った以上に腹下にかかえているらしく、揉み出しすると、多少は動くものの雪山から抜け出せません。
もがいていると、幸い除雪に来たらしいショベルが通りかかり、引き出してもらえました。
経験則で、こういう時に人通りのない裏道に入るのは厳禁です。いったん国道を戻り、道々ながら清里へ向かう、比較的広い道を南下してみると、幸いここは時折大きな吹き溜まりがあるものの、無事国道334号へ戻りました。が、この道も既に小清水町郊外で通行止め。網走にも行けない、美幌にも行けない、となってしまい、小清水か斜里で宿泊を余儀なくされるか、とも頭をよぎりましたが、まだ手はあります。
女満別へ向かう道々なら通れるかもしれない、と行ってみるとなんとか開通している様子。
が、この道々、道なりではなく、ところどころ右左折を繰り返すのです。
そして3度目は小清水を抜けたあたりの高台で、またもホワイトアウト。先ほどの状況から、徐行するとそのまま停まってしまうので、少し速度を上げ気味に直進していました。ふっ、と吹雪が途切れたその瞬間、視界の右隅に映った「→女満別」の標識。
あっ、とブレーキを踏もうとしたとたん、目の前にはバンパー高さほどの吹き溜まりが。「やばい、ここで止まったら乗り上げて亀の子になる」と咄嗟に判断し、アクセル全開。吹き溜まりを越えたものの、その向こうは少し低くなっているとはいえ、サイドシル下までの雪。さあこれはやばい。日も暮れかけて暗くなる中、また除雪作業開始です。(泣
積雪そのものは大した量ではないのですが、路面のアスファルトが、おそらく雨か融けた雪でアイスバーンになり、その上に雪が乗っているので、タイヤがグリップしません。
クラッチを傷める覚悟でなんどか揉み出しを繰り返すと、数メートルは後退できましたがそこまででした。リアバンパーは雪で埋まり、自力脱出は極めて困難。
しかもあたりに人家はまったくなく、農家の倉庫があるのみ。
腹下をスコップですくっていると、先ほどの曲がり角で大型トラックが停まりました。
それまで3台ほどクルマは通りましたが、この状況下みんな停まる余裕がないのでしょう。通過していきます。4駆でも通りかかったら、停めて引っ張ってもらおうかと考え始めたところでした。
声をかけてくれた白髪頭のおじさんは、後続の2tトラックも停めてくれました。どうやらこのふたりは知り合いのようです。
2t車は車高の高い4駆。運転していた兄ちゃんは「けっこう深いねえ。だいじょうぶかなあ」と言いながらも突進してサクシードの直後に付けて引っ張ってくれました。
おじさんもフロント側を押してくれ、無事脱出。
恐縮するわたしに「いやあ、お互いさまだから」と言い残し、2tの兄ちゃんは行ってしまいました。
見るとおじさんの大型は、牛の飼料輸送車でした。仕事中なのに申し訳ない。
さらにおじさんは「どこまで行くの?北見かい。俺、女満別まで帰るからうしろ、付いてきなっ。」と言い残し大型に戻ります。ああ、どこまで人が好いのでしょう。ありがたや。(´Д⊂ヽ
大型の後について大空町に入ると、吹雪は嘘のように止み、なんとアスファルトも見えているほど。
女満別の市街を抜けたところで、おじさんの大型はハザードを2回点滅させると、左折していきました。
ふだんからうちのサクシードには、スコップ、スノーヘルパー、ワイヤーなどは常備しています。加えて今回やばそうだとゴアテックスのジャケットと、万が一に備えてシュラフも積み込んではいました。
今回、凄まじい悪天候だったとは言え、自分の判断ミスもあり、反省しています。
幸い親切な方々に助けていただき、なんとか抜け出せましたが、これら装備を持たず、誰も通りかからなかったら、これは確かに遭難するな、というレベルの猛吹雪であったのは間違いありません。まさに方角が不覚になる、ホワイトアウトでした。
これからの時期、道内ではまだ吹雪が続く時もあります。みなさんお気を付けて。