
日も傾き始めた、海沿いの道をのんびりと西へ向かって福島町に入り、今日の宿泊地を目指します。
実は今回、出発前日にエスクのベッドキットを新たに組んでいました。いや、これまでも2017年に製作した「17式車営台」(笑 があったのですが、
5月の連休旅でどうにも使いづらさを感じ、改良版である「22試」を試作したのです。今回は仮組みの状態ですが、これの使い勝手を確かめるのが、道南旅の目的のひとつでした。
そんなわけで、宿泊地は宿ではなく、キャンプ場ですらありません。吉岡地区にあるトンネルメモリアルパークという、公園の駐車場で車中泊です。
ここは、90年代後半と2006年にもGSFでのツーリングで来ていたので、再々訪となります。
数台程度の駐車場の他に、あまり清潔とは言い難いながらも、それなりに管理されている水洗トイレがあり、公園内には古ぼけてはいますが水場まであり、ちゃんと水が出ます。
前回の時に、散歩に来ていた地元の方に尋ねると、青函トンネルを作った際の余剰予算で整備したのでは、とのことでしたが、おそらくは災害時の避難場所としての機能を重視しているのでしょう。
公園の山側の方は、宅地ではなくJRの変電所になっているため、地元の方ですら散歩に来る方くらいしか見かけません。
なぜか福島町のホームページにさえ、ここの紹介がないため、観光客にはほとんど知られておらず、今回もわたしだけで、誰も来ませんでした。
※福島町では、ここをキャンプ・車中泊可と認定しているわけではありません。使用する場合は自己責任にて使用し、くれぐれも公園内を汚したりしないよう、お願い致します。
公園中心には、青函トンネル建設のモニュメントがあります。
木が茂っているので、セミの大合唱がうるさいほど。内陸であまり聞かない、ミンミンゼミや、ツクツクホーシなのが、遠くへ来た感じを盛り上げてくれます。
南側には、こんな石碑が。前回もあったような、なかったような。
碑文によると、第二次大戦中に福島町沖合で米軍と戦闘し、被弾した駆逐艦「柳」を漁船で曳航したり、戦死者、負傷者を収容した記録だそうです。
公園入口付近に、トンネル内で使用されていた、電気軌道車が展示されているのもそのままです。ただなぜか自転車が置いてあり、最後まで誰も取りに来ませんでした。^^;
ちなみに2006年の画像。16年前は軌道車もまだきれいでした。
高台なので景色が良く、海の向こうに見えるのは、青森県の竜飛岬。直線距離でわずか20kmとあって、こんな近くに見えます。
このロケーションだけでも、ここに来る理由になります。
日が暮れ始めると、あんなに騒がしかったセミたちが、いっせいに静かになったのが笑えます。あとは潮騒と、下の国道を通るクルマの音がたまに聞こえるだけ。
さて、本日の夕食は、函館といえばこれ、のひとつ。ハセガワストア「やきとり弁当」。北斗で仕入れてきました。
有名なやきとり弁当ですが、いわゆる鳥の串焼きではなく、豚の精肉を使っていて、注文すると店内で焼いてくれるのが特徴です。地元の方らしきお客さんが、次々とやきとり弁当を数個も注文していたりと、焼き担当さんは大忙し。整理券をもらって30分近く待ちましたが、待ったかいはあります。
昔は大きさとタレ味か塩味かのバリエーションでしたが、いつの間にかつくねや野菜焼きもセットされた「バラエティ」なるメニューもできていて、今回はこれにしました。
暮れかかる海を眺めながらの、ひとりきりのディナータイムは、至福のひとときでした。^^
便利な世の中になって、スマホで検索すると、福島町内の以前行った温泉施設の他に、クルマでわずか3分ほどのところにも温泉施設ができていたのがわかりました。
行ってみると露天風呂もある、なかなか良い施設なのに、料金が驚きの400円。
おそらくは町内の銭湯の役割とみえて、石鹸やシャンプーはありません(プラス100円で石鹸とシャンプーのセットは買えます)。しかしこの金額でそんな細かい文句など、あろうはずもありません。
今日は暑かったので、ゆったり浸かって禁断の2個目のアイスクリームにも手を出してしまいました。そのアイスも100円と、良心的価格。
公園に戻り、暗くなった海を眺めていると、福島市街の方向で花火の音が聞こえました。そういえば、来る途中、祭の看板と浴衣姿の子供を見かけましたね。
若干樹木に遮られ気味なものの、大玉はそれなりに見えたので、花火まで堪能して盆感たっぷり。(笑
ところで今回のベッドキット試作内容は、これまでの17式が助手席シートバックを目一杯寝かせ、畳んだ後部シートバックと高さを合わせたものに対し、今回の22試は、助手席を最前へスライドさせてシートバックを前傾させ、後席とトランクルームでベッドスペースを確保するもの。
17式は全長に余裕があり、製作した当時は、22試の後席とトランクを使うレイアウトは(短いとは言え ^^;)足がつかえるのでは、と、採用しなかったのですが、展開状態でかろうじて運転もできるものの、ベッドがうざったいので移動の際はいちいちたたむ必要があること、助手席を寝かせることから、ベッドの高さがあり、天井が低くて圧迫感と、乗り降りがしづらいという欠点がありました。
今回の22試は、10cm程度ながらもベッド高さが下がり、圧迫感と乗りやすさが改良されたのと、展開状態のまま移動できるのが特徴で、運転していて目一杯前にスライドさせた助手席が気にならないか、のチェックもしていましたが、これはすぐに慣れて問題ありませんでした。
肝心の寝心地は、上半身部分の横幅が少し足りず、左腕の置き場に余裕がない感じですが、これは天板を作り直せば改良できそうです。懸念の足のつかえもさほどではなく、若干の改良でじゅうぶん実用になりそう。
しかしひとつだけ誤算がありまして。この日は、蒸し暑い夜でした。
虫除けに、100均の日除けシートをドアに挟み込んで網戸代わりにし、窓全開にしたもののほとんど風が入ってこず、暑いことこのうえありません。もちろんシュラフにもぐるなんてもってのほかで、シュラフを敷き布団代わりにして寝転び、お腹だけ冷やさないよう、ブランケットをかけましたが、これがまたフリース地なもので暑い。(笑
ブランケットは厚いのでやめ、それのケースをお腹にかけ、足先に熱がこもるので、ラゲッジトレイを開けて少しは良くなったものの、なんとも寝苦しい。もっともこれはベッドキットではなく、車中泊の欠点ですね。こんな夜は、テントの方がまだ快適なはず。
そして朝4時起きで、12時間のドライブ後とあって、暑い暑いと言いながらも持ち込んだ本を数ページ読んだだけで、寝落ちしました。(笑
しかし深夜には、海風の影響なのか驚くほど気温が下がり、寒さで目が覚めました。これは風邪をひいてしまう、と、窓を閉め、シュラフにもぐりこむと、実に快適に眠れたのでした。
つづく