
そんな半介護帰省ですが、それでも幸か不幸か親は足が痛むらしく、あまりひょこひょこ歩けなくなったのと、立ち上がるのがしんどいらしくて徘徊したりはなく、炬燵でのんびりテレビを見ていれば機嫌が良いのは助かるところ。
三日目、墓参りも済ませたので、帰途へ就きます。
八戸までは、高速を使えば2時間あればじゅうぶんですが、思ったより親も元気だったので、早めに出て、東北路を楽しむことにしました。
時間があれば、男鹿半島あたりを回りたかったのですが、さすがにソレは無理なので、仙岩峠を越えて田沢湖をかすめてから、北上します。
思えば田沢湖も、その昔81スイスポで来て以来なので、ずいぶんと久しぶりでした。
この日もあいにくのどんにょり天気が続きましたが、湖畔のあたりでは少しだけ陽が差して、紅葉の山々を照らしてくれました。
国道105号を北上し始めたのはいいとして、そういえば昼を食べていません。
どこかお店を、と思いながら走りますが、このあたり意外なほど店がなく、飲食店どころかコンビニすらありません。
と、仙北市の道沿いに建つ会館のトイレを借りに入ると、隣になにやらお店が出ています。
外のテーブルで、ご夫婦が蕎麦をすすっているのが見え、なんだかその雰囲気が良かったので、わたしもここで昼食にしました。
おばあちゃんふたりがやっている店で、食べるところはオープンなテーブル。イートイン、なんてお洒落なものではありませんが、この雰囲気が良いのです。
フードコートの蕎麦だと、だいたい出来合いの汁と麺で、どこで食べても味気ないものが多いですが、ここのはさすがに素朴ながら味わいあるものでした。
蕎麦ももちろんですが、付け合せの白菜漬けがことのほか美味しかった。^^
お腹を満たしてさらにのんびり北上し、北秋田市で、国道105号から285号に乗り換え、東へ向かう…はずだったのですが、なんか変。
時折差し始めた太陽の位置から、どうも西へ進んでいるな、と気づいて見かけた駐車帯へ入って、地図を確認すると、やっぱり右折ポイントを思い切り過ぎて直進していました。^^;
すぐに気づいて良かった、と、Uターンしようとした際に、脇にある石碑に気付きました。
よく見ると「庚申」と刻んであります。注連縄も張ってあるので、道祖神かなにかと思って、帰投後調べてみると庚申塔という、まあ記念碑のようなもの、らしいです。
さらに東へ進み、本当ならちょっと十和田湖にも寄ってみようかな、とも思っていましたが、遅くなりそうだったのでパスし、国道から県道128号に入ってみると、なかなかに景色の良い道で、走りがいがありました。
国道454号へ接続してからも、楽しめるワインディングで、ルート選択は正解でした。
と、道端に「大石神ピラミッド」の看板があり、陽はだいぶ傾いて来ていたものの、ちょっと気になって行ってみることに。
林道のような細い道を登ったところに、それはありました。
うーん、大石と言うか大岩はともかくピラミッド、と言われても…というかんじでしたが。^^;
暮れかかった山中の静かな雰囲気は、悪くないものでしたが。
近くには「キリストの墓」なるものもあり、テレビで紹介されているのを見たことがあるので、こちらもちょっと気になりましたが、陽が沈み、どんどん暗くなってきていたので、ここはパス。
ただこの通りに限らず、北東北圏って、道沿いに神社の鳥居をずいぶんたくさん見かけました。
新郷村のこのあたりだと、1㎞もない間隔で次々に鳥居が現れる印象で、土着信仰の強さをうかがわせます。
道を走っていても、それが独特の良い雰囲気を醸し出しているような気がします。
そんなこんなで、すっかり陽も暮れた八戸市に到着。レンタカーの返却時刻までまだ少しあるため、どこかで夕食を、と思いましたが、八戸駅へ向かう道筋には、見事に飲食店がありません。
街道沿いなのになあ、と思いつつ、ないものは仕方ないので、官庁街の方へ走ってみましたが、こちらもお店が見つからず。
八戸では、なんどか乗船前に夕食を食べていますが、いつもこれという店が見つからず、ウロウロするのが常です。(単に店を知らないだけですが)
スマホで検索してみると、近くにとんかつ屋さんがあるらしい、と、行ってみると、これまた昭和な佇まいのお店が。^^;
昔ながらの、大将ひとりでやっているかんじが懐かしい。壁に貼られた手書きのメニューもそそります。
とんかつ定食が、ずいぶんお安いなあ、と、注文してみると大将から「ごはんの量は?」と聞かれたので「あ、普通で」と答えたのですが、出てきたのはどう見てもどんぶり飯。これで普通なの…。良かった、勢いづいて大盛りで、とか言わなくて。^^;
とんかつは、有り体に言えば、特に美味い!と褒めるほどではありませんでしたが、さすがに揚げたてのサクサクなので、それなりに楽しめました。意地汚いのでごはんを残せず完食したら、さすがに苦しかったけど。(笑
食べている最中に、地元の方と思しきお客さんが次々と入ってきました。後ろの席に着いたカップルと大将が
「わかります?私○○の娘です。」
「おお、久しぶりだねえ!」
「小さい頃は、よく親に連れられて来ましたねえ。」
などと、昔ながらのお店らしい会話をしていたりするのも楽しい。
夕食を終えると、3日間付き合ってくれたデイズともお別れ。 東北路には、軽くらいのサイズが走りやすくていいのかもしれません。
フェリーターミナルまで向かいましたが、シャトルバスと言えば聞こえは良いものの、実際はただの路線バス。繁華街などを通り、小1時間ほどもかけてターミナルへ到着。途中、大きな飲食店が並ぶ広い通りを横切ったのだけれど、あれ、どこだったんだろう。こんど調べておかなくては。^^;
帰りの船は、なんどか乗船している「シルバーエイト」。2013年就航の一隻で、他船がすべて新造船に入れ替わったので、今やシルバーフェリーでは最古参になってしまいましたが、これも快適な船です。
この船の寝台はB寝台がなく、A寝台のみ。
しかし個室なので快適です。狭いながらもデスクと椅子もあり、確かこれまでなかったはずの、船内用のサンダルまで装備されていました。わざわざサンダルを持ってきたのに。^^;
そして八戸港が離れていきます。
帰りもゆっくり揺れるお風呂に入って、のんびり読書して爆睡。
翌朝6時、定時に苫小牧港入港です。
朝焼けがとても綺麗でした。
こうしてどたばた帰省は終わり、よりどたばたな日常に戻っていくのでした。^^;
おわり