
あ~るくんのボディカラーは、ブリーズブルーという、水色です。カラーコードはZLU。
街を走るワゴンRでも、それなりに見かけるカラーなので、ごく一般的なものだと思っていたのですが。
タッチアップを探すと、意外なことにどのお店へ行っても在庫がありません。
かなり探し回ってわかったのは、なんとこのカラー、市販ペイントの標準色ではなかったのです。もう古いから標準色ではないのか、台数が少ないから標準色ではないのか、判然としませんが。もっとも、それこそ星の数ほどあるのでは、というボディカラーのすべてをラインナップするのは、塗料メーカーとしても、現実的ではないでしょうけれど。
スズキ車の水色、というと、個人的にはHA36アルトの水色も連想し、こちらはフィズブルー(ZJH)という、ブリーズブルーより少し明るい水色で、現行型MH85ワゴンRの初期モデルにも設定がありますが、これは街で見かけても少し色合いが違うな、とは感じていました。
ところが、同じMH23SワゴンRの水色でも、ブリーズブルー以外のものがあるのに気づきました。
画像上はアクアベールパール(ZPS)と言い、一見画像下のブリーズブルーに似ていますが、もっと明るい色になっており、MH23Sの後期モデルから採用されているので、よく観察するとこのカラーの車両もそれなりに見かけます。
個人的には、あ~るくんのちょっとグレーがかった、落ち着きのあるブリーズブルーの方が好みなのですが。
ちなみに今回調べて、ブリーズブルーは、ジムニーの限定車クロスアドベンチャーにも採用されていたと知りましたが、スタイリングが違うためか、色合いも違って見えますね。
もっとも、同じメーカーの同じ色記号であっても、車種によって実は微妙に色が違う、ということもあるそうで、その昔、先代のD21テラノを全塗装した時に
こんな話も聞いています。
そんなわけで、クルマのボディカラーあるあるですが、同じように見えても実は異なるカラーで、スズキの水色だけでも、けっこう種類があるのです。
意外なことに、ブリーズブルーだけではなく、アクアベールパールも、フィズブルーでさえもあ~るくんの次世代、MH34Sから現行型初期までと、設定期間が長かった割に市販ペイントの在庫はなく、なぜかあ~るくんより古い、Kei用のスカイブルー(Z4A)は在庫があったり。
これまでは、先代D21テラノのダークブルーとか、81スイスポのスペリアホワイト(いわゆる軽トラの白)とか、エスクのブルーイッシュブラックも、タッチアップ探しに困ったことがなかったので、これは予想外でした。
しかし、ソフト99では、カラーコードがわかれば、店頭で調色してくれるサービスを行っており、十勝のホームセンターでもこのサービスをやっていたので、さっそくタッチアップをつくってもらいました。
しかし、いざ塗ってみると…色が違います。
タッチアップの方が明らかに濃いのです。
外鈑塗装が、13年で色褪せて薄くなっていることもあるとは思いますが、それを考慮してもコレは厳しい。
前オーナーがベタベタ塗っていたタッチアップもずいぶん色が濃いので、もしかすると同じサービスでつくられたものを、わりと近年に塗ったのかもしれません。
クルマの外鈑色は、どうしても紫外線で退色しますし、それどころか同じ車種の同じ色でも製造ロットによって、微妙に色味が違うことすらあるので、一般的に販売されている社外メーカーのタッチアップが、新車でも合わないことは、ままあります。
プロの鈑金屋さんは、実際の外鈑に合わせて調色し、場合によっては、部位によって調色を変えて合わせてくれるものなので、市販品では多少の違いはあっても仕方ないとは言え、この差はちょっと大き過ぎます。
そこで、つくってくれたホムセンに色見本を持ち込み、少し薄めに調色できないものか相談しましたが、色記号に合わせたデータで作るのみで、一切調整はできないと、けんもほろろな残念回答。
この調色サービスでスプレーペイントをつくってもらい、外装傷をパテ盛りして修理するつもりでしたが、色が手に入らないので、計画が暗礁に乗り上げてしまいました。
鈑金屋さんに調色だけを頼んでも、基本的には受けないはずで、仮にやってくれたとしても、今度はそれを塗装するエアガンなどが必要で、このためだけに塗装機材一式を購入するわけにもいきません。だからといって板金はDIYで、塗装だけプロに、というのもまず受ける鈑金屋さんはないはず。
そうなると、鈑金一式すべてプロにおまかせコースになりますが、仕上がりは間違いないものの、金額を考えると、これも現実的ではありません。
あとはいわゆる近似色、も考えましたが、だからといって片っ端から水色のタッチアップを購入して合わせるわけにもいかず、それこそ色が合う可能性の方が低いので、これも現実的とは言えません。
そこで、もしかすると塗料メーカーが変われば、色合いも多少変わるのではと、一縷の望みをかけて、ホルツのタッチアップを購入してみました。
ホルツも標準色ではなく、オーダーカラーとなるため容器は無印ですが、ネットで普通に販売されています。
すると。
画像下がソフト99のもの、上が今回のホルツ。
やはり全体に色は濃い目なものの、ソフト99よりは薄いので、これならボカせばギリギリなんとかいけそうかなあ、というレベルであることがわかりました。
そこでスプレーもさっそく購入。
と、スプレーの方は、タッチアップよりさらに薄く、意外なほど色が合っています。画像左側の方は、わざと濃い目に吹いたところで、そこのタレ部分以外はあまり違和感を感じなく、じゅうぶんに使えそうです。
今回の話、ウチのは古いクルマだからとか、不人気色だからかな、と、友人にこの話をしてみたら、意外なことに、スバルのイメージカラーである、あのWRブルーでさえも、タッチアップは純正ですら、色が合わないのだと聞いて、驚きました。
このように、塗装の世界は奥深く、難しいものなのでしょう。
そう言えば以前、プロの鈑金屋さんに、「職人として活躍できるかどうかは、調色時のわずかな色の違いを見分けられるかで、それは経験だけではなく、天性の才能もあるのだ」と、聞いたことを思い出しました。
ま、ウチの場合はどっちにしろ素人修理ですし、目標が「ぱっと見でも、明らかに素人が修理したな、とわかるレベル」というハードルの低さです。それでも「傷のままよりマシ」だからなので。
一時は手詰まり感で、精神的にもかなり参っていましたが、これで資材のメドは立ち、素人修理が現実に向けて動き出しました。
あとは、かわねこ基地作業場は当然露天なので、パテ盛り、塗装の工程に、2日間確実に雨が降らないお休みを確保できるかが課題です。
しかし早くやりたいのはやまやまですが、今年の十勝の夏は例年以上に雨が多く、また、降っていなくても、塗装の天敵である湿度が異様なまでに高い日が続いているため、いつ作業にかかれるかは、天気予報をにらみながら、もう少し先となりそうです。