
とかく不人気車と言われがちだった、わが三代目エスクードも、生産が終了して早6年。
個人的には人気とか不人気とかは、わりとどうでもいいことですが、中古相場が下がってきたのか、最近でこそたまに見かけるようになったものの、かわねこが購入した頃の北海道内では、それこそ見かけるのが稀なクルマでした。
それもそのはず、新車時の国内販売台数は、年5,000台程度しかなかったと聞いています。そもそも当時のスズキが、ろくにプロモーションもせず、エスクードをどれだけ販売する気があったのやら、いささか怪しい感じでした。
しかし、実はこれは日本国内での話で、海外では少し事情が違っていたようです。
2012年に、スズキは北米市場から撤退してしまったのは周知の通りですが、それまでは、三代目も「GRAND VITARA」の名で、北米で年間数万台近くも販売されていました。あのボディ幅でも、北米においてはコンパクトサイズであろうことから、それなりの人気を博していたようです。
さらにヨーロッパでは、手頃なサイズ感と価格、高い走破性からかなりの人気車種だったそうで、その販売台数は、実に日本国内の10数倍だったとも言われています。
ために、日本国内では「ついでに」販売していた感が濃厚です。これは三代目だけではなく、ハイブリッド化された現行の四代目でも感じていますが、スズキはどこまで真面目に国内で販売する気があるのか、あるいはヨーロッパでそれなりの台数が売れているから、日本は「ついで」でいいや、なのか。
そんな三代目エスクード。
海外のドキュメンタリー番組を観ていると、たまに画面に映り込むことが見受けられ、オーナーとしてはつい目がいってしまうのですが。(笑
例えばアフリカ。
野生動物保護レンジャー用のクルマとして、使われているようです。
初代エスクードは、日本では望まれたサイズ感と、都会でもカッコよく乗れるデザインもあって人気を博しましたが、アフリカでもコンパクトで安価だけれど、走破性が高いことからか、かなりの人気車種だったようです。
20年ほど前に現地に赴任していた友人も初代に乗っていて、頼まれて部品を手配し、送った記憶があります。
また、現地での白サイ保護の活動にスズキが車両提供などの支援を行っているそうで、そんな流れで、三代目もアフリカで認知されているのではと想像しています。
この他にも、ナショナルジオグラフィックとかを観ていると、研究者がフィールドに行くためのクルマとして三代目を使っているのが、意外なほど散見されるのです。
勝手な推測ですが、ランドクルーザーやディフェンダーほどに堅牢性は高くないものの、それなりの走破性を持ち、乗り心地も良く、しかも安価で使いやすいあたりが受けているのはないかと思っています。
そして、現在ラリーのXCRクラスが盛り上がりを見せていますが、ヨーロッパでは、以前からクロスカントリーラリーが盛んなようで、現地の販売店で製作されたのであろう、こんなラリー車が数多く走っているようです。
日本では、ほんの一瞬しか販売されなかった3ドアも、レギュラーモデルとして販売されていて、人気を博していたとか。
ちなみに福岡県では
「TDA」という名称で、2台が時間差で出走するという面白い形式での、4WDでのダートトライアル競技が開催されており、ここでも実際にエスクードが活躍しています。
なのでXCRクラスでも、誰かエスクードでラリー車を仕立てて走ってくれませんかね。(パーツがないので厳しいのは承知の上)(笑
蛇足ながら、台湾でも三代目は「GRAND VITARA JP」の名で販売されていました。ネーミング末尾に「JP」が付くのは、ノックダウン方式により、台湾国内で組み立てられる車種が多い現地にあって、これは日本で生産されたものを輸入していたから。
現地の嗜好に合わせて、ウッドパネルとレザーシートを標準装備し、高額の関税もあって、その価格は日本での約2倍と、まさに高級車扱いだったそうです。
振り返ると、確かに同時期の他メーカー車に比べると、室内のつくりがちょっとプラスチッキーだったりする面も散見していましたが、その代わり必要な装備はひと揃い付いていてお買い得感が高く、気軽に使い倒せる道具感が、かわねこ的には魅力なのです。
当時のメディアやネットによるインプレッションは、高級感がないことを指摘するものが散見されましたが、これは的はずれな話で、そもそもが高級車などではなく質実剛健な実用車、としてこそが、三代目の立ち位置だったと思うのです。
Posted at 2023/12/05 23:06:28 | |
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