
GSFを手放しました。
GSFは、GSX-R系の油冷エンジンを積んだビッグネイキッドですが、90年代後半当時、それまで国内販売を自粛していた750cc以上が解禁され、各社がリッタークラスを投入。ホンダCB1000SFやヤマハXJR1100など、大柄なボディで押出感のあるデザインがもてはやされる中、最後発のスズキGSFは、リッタークラスとしては最小のボディサイズが災いしたのか、不人気車の代表みたいな知名度の低さで「何に乗っているの?」と聞かれて「GSF」と答えると、相手がオートバイ乗りでさえも95%の確率で「なにそれ?」と返ってくるほど。(笑
GSFがちいさいのは、ボディが専用設計ではなく、海外仕様のGSF600のものをベースにしていて、それにGSX-R系の油冷エンジンを、1100から1200にボアアップして積んでいたからです。
「えっこれ1200なの?意外とちいさいね」とはよく言われました。
ちなみに、海外仕様は最初から「バンディット」を名乗っていて、まごうかたなきバンディット系列のモデルなのに、なぜ国内でも250/400クラスでネーミングが浸透していた「バンディット」を名乗らず「GSF」となったのか、未だに謎です。2000年のモデルチェンジ以降はなぜか「バンディット」に変更されたり。まあ今さらどうでもいいことですが。(笑
しかし、コンパクトゆえに当時クラス最軽量で、取り回しが良ったのは美点で、かわねこが選んだのも、そこが大きな理由のひとつでした。
2000年当時、それまで乗っていたカワサキGPz400Fが、13年を経過して乗り換えを考え、いちどは大型に乗るのもいいかな、と思って中古車を探している時に、たまたま見つけたのがGSFで 1年落ち、99年式最終型のワンオーナー車を購入したのです。
本当は1200ではなく、さらに軽く、ジムカーナで大活躍していた兄弟車のGSF750の方を探していたのですが、こちらは1200以上に希少車なので、当然見つからず。そしてGSFの中でも途中からバリエーションとして加えられた、ハーフカウル付きの1200Sだったことも、ツーリング好きなかわねこの琴線に触れたのです。
そしてこれが人生初のスズキ車でした。別にそれまで避けていたわけではなく、単に機会がなかっただけなのです。
乗ってみると、当時はまだ馬力規制がかかっていた、97psの国内仕様でしたが、そのぶん怒涛のトルクでの凄まじい加速フィーリングをはじめとする、じゃじゃ馬のような性格と、回転を上げるとカムチェーンが唸り出す「ヒューン」というエンジン音、ノーマルマフラーでもじゅうぶんなず太い音に、すっかり魅了されてしまいました。
あまり大きな声では言えませんが、ふわわ㎞オーバーの世界を初めて見せてくれたのも、このGSFです。
購入当初は、ボディカラーがあまり好みではなかったワインレッドなこと、ツインエンジンのツアラーかアドベンチャー系のモデルに乗ってみたい意向もあったので、次の車検まで2シーズン程度乗って乗り換えるつもりでいたのですが、すっかり虜になってしまい、結局気づくとあれから24年間も手元にありました。
走行距離も、購入時はわずか6千㎞ほどでしたが、道内は北は稚内、南は函館、西は積丹、東は根室と、ほぼ全域を走破し、道外にもいちどだけですが、帰省を兼ねて東北地方を走っています。そんなツーリングを重ね、オドメーターは3万㎞以上まで伸ばしました。
十勝に移転してからは、主に経済面で乗ることが叶わなくなり、それでも最後の油冷エンジンに固執して手元に置き続けましたが、あれから8年が過ぎても、未だにエンジンが掛かることはなく、今現在再び乗るのならば、素人のメンテナンスではなく、レストアが必要なのでは、という状態になってしまいました。
昨今は少しだけ余裕も出てきたとは言え、しかしシェルパくん1台でもなかなか乗る時間を取れず、ちびくろKSRに至っては、3年ほど前にエンジンが死んで以来、まだ手をかけてやれさえしていない状態で、GSFまでとても手が回らないのが現状です。
これまでも、なんどか手放すことを考えましたが、そのたびに頭の中でカムチェーンが唸る音が響くと、未練がましく思いとどまっていたのですが、まだ当面は手をかける時間が取れそうにないことから、ここまで来ると、新しいオーナーのもとで走らせてもらえるほうが良いのではと、考えたのです。
数年ぶりにガレージから引き出したGSFは、カバーを掛けていても埃まみれになってしまっていたので、長年旅の友として付き合ってくれたことに、感謝の思いを込めて、洗車して各部を磨き上げました。
というわけで、某買取業者に査定してもらいました。しかしなにしろ不動車。廃車扱いではとあまり期待していなかったのですが、ガレージ内でカバーを掛けて保管していたのが良かったそうで、エンジンはキャブオーバーホール程度で息を吹き返すのではとのこと。そのため、思った以上の買い取り値が付きましたが、値段よりも再販されることのほうが嬉しく、決断したのです。
業者によれば、不動車の場合、野ざらしのものも多く、外装が傷んでいると再販化に高額な修理費が掛かることから、エンジン不動よりも外装の状態がポイントなのだとか。年式も古いものの、走行距離も多い方ではないので、じゅうぶん再販可能だそうです。
いずれにせよ、新しいオーナーの元で元気に走ってくれることでしょう。
もちろんオートバイそのものは、未だ降りる気などさらさらないので、これまで通り、20年目を迎えるシェルパくんを愛でつつ、天気の良い休日には走りたいものです。
これで少しは雑然としたガレージ内も余裕が出きて…ないなあ。おかしいな。連休前半、3日もかけて整理したはずなのに。(笑
Posted at 2024/05/01 21:42:31 | |
トラックバック(0) |
オートバイ | 日記