
十勝にもやっと春というものがやってまいりまして、ついに基地敷地内から白いモノが姿を消しました。
昨シーズンは、降雪量そのものは少なかったわりに、雪融け時期に第1、第2ガレージとも浸水事件が起きたりして、今年は早めに周辺の除雪をしていたこともあり、浸水がなかったのが幸い。
てなわけで、シーズンインとなったので、さっそくオートバイを覚醒させることにしました。
例年ならばまず、ちびくろKSRを覚醒させて実用車を確保した後、ツーリング車としてシェルパくん、となりますが、今期は事情でシェルパくんが実用車となるので、まずはこちらを覚醒。
シェルパくんもわが基地に配備されて早17年。車齢では19年になりますが、メインのオートバイでもあり、ここ何年かちょこちょこ手は入れているので、機関は好調です。

で、今年の覚醒メニューはスロットルケーブルの交換。シェルパのキャブはVMの強制開閉式なので、オープンとクローズの2本があり、もちろん両方とも交換です。昨今はツーリング中にケーブルが切れて走行不能、なんてことも聞かなくなりましたが、昔はけっこうあったものです。(遠い目
なんとな~くスロットルが重くなってきたなあ、と思ったら換え時ですが、毎年インジェクターで潤滑していたこともあり、実は交換は初めてです。さすがにこの年数ならいつ切れても文句が言えないので。
ケーブルは昨年秋に購入済みで、タンクを降ろして入れ替えるだけなので簡単。ただ、ケーブルの取り回しを間違えるとスロットルが戻らなくなったり、ハンドルを切ると回転数が上がってしまったり、はあるのでそこは注意。
まあ、取り立ててスロットルが軽くなったりはしなかったので、まだ持ったのかもしれませんが、安心料と思えば高くはありません。
あとはいつものエンジンオイル交換と各部の点検、給脂とキャブクリーナーがけ。例年だと冬眠中に、キャリパーピストンの動きが少し渋くなったりするので、バラして「揉みだし」をしますが、昨年はギリギリまで稼働させていたせいか、ブレーキフィールが非常に良かったので、今年は割愛。
そんなわけでシェルパくんは無事覚醒。とは言え、例年ならキャブに燃料を送ってやれば、セル1~2発でかかるところが、今年はかなりぐずり、セルの長回しを3回くらいやってやっと初爆が来たので、そろそろお疲れのプラグも換えてやるべきだったか。
ということで、足は確保しましたが、問題はちびくろ。昨年秋にエンジンが突然死してしまったので、まずはバラしてみないことには始まりません。ちびくろはちいさいくせにいっちょまえに水冷なので、クーラントを抜いて、チャンバーとキャブを外して、と、ヘッドを外すまでにちょっと手間がかかります。ヘッド外しはここ数年、クーラントのにじみ対策などでなんどかやっていましたが、腰上をバラすのは、実に25年くらいぶり。
シリンダーがナット止めになっているので、分解はしやすいですが、LLCに浸かっているので錆びてないか心配でしたが、幸い普通に外れてくれました。
で、外したピストンを見てみると…。

キックの踏み応えの異常さから、予想はしていましたが、やっぱりこのありさまで、ガッツリ傷が入っています。
しかもピストントップには、ディトネーションらしき傷もあったのは、けっこうショック。

実はこのエンジン。25年ほど昔に、やはり突然死して、バラしたらピストンばかりかシリンダーにも傷が入っていたので、ホーニング加工をしてもらい、0.5㎜のオーバーサイズピストンを入れて復活した経緯があるのです。
あの当時、もう1段階オーバーサイズもあったように記憶していますが、果たして今でもあるのか。
ここは素人判断ではマズいので、知っているオートバイ屋さんに駆け込んでみました。
が。
「2ストKSRの部品はもう出ませんよ」との答え。
ま、まあ、生産が終了して既に21年。後継の4スト110でさえ、生産終了から数年経っています。車体や足回りはまだ110のが流用可能とはいえ、2ストエンジンの補器部品が次々製廃になっているのは、パーツ発注の度に実感していたことでした。
気の毒に思ったのか、店主はネット上でエンジン修理を専門に行っているショップがあり、KSRにも強く、オリジナル部品も製作しているので相談してみたらどうか、とアドバイスしてくれたので、礼を言って基地に戻りました。
そのショップは検索ですぐに見つかり、エンジンOHのみならず、チューニングまでも行っていて、かなりのノウハウを持っていそう。
記事を見ていると「悪名高き桜ピストン」という記述があり、これは店主も言っていましたが、当時の純正ピストンは、製造精度が悪く、割れや不具合が多発したりで、その後製造メーカーが変わったそうです。

ウチのもまさにその桜ピストンなので、もしかすると、それが遠因となってのトラブルか、とも思います。
なんでほぼ毎日元気よく走っていたのに、突然焼き付いたのか疑問でしたが、まれに出ていた、ジェネレーターカバーのビビリかと思っていた振動音は、もしかするとディトネーションだったのかもしれません。
小排気量の2ストゆえ、そりゃあ公道を走っていても全開になることも多く、思えばこのピストンで1万㎞も走れば壊れるか、と、乗り方の悪さを棚に上げて、自分を無理やり納得させました。(笑
ネットの店はオリジナルのピストンまで製作しており、ミクロ単位でホーニングしたシリンダーに合わせてピストンを選定するのだとか。シリンダーは既に入手困難なようですが、それさえ加工可能なら復活できそうです。
しかもOH工賃が実に良心的。これは頼もうか、と心が傾きましたが、記事を読み進めると、やはり1万5000㎞を超えた個体はそれなりに手をかけた方が良いらしく(当然ですが)、ショップは本州なので、エンジンAssyを降ろして梱包し、送って作業してもらうことになるので、どうせならキャブやクラッチも含めてフルオーバーホールに…と欲が出ます。
しかしそこまでやるとなると、いくら工賃単価が安めとは言え、部品代を合わせた総額は、数万円では済まなさそうです。
KSRは、そこまで手を掛ける価値は十分にあるオートバイとは思うものの、残念ながら今のかわねこには、その費用を捻出する金銭的余裕がありません。
ネットで中古のエンジンを見つけて載せ換えるか、いやそれも履歴がわからないのでそのまま使えるか不明だし、やっぱりOH費用を貯めるまでガマンして待つか、でも走ってナンボのオートバイ、いっそのこと諦めて廃車に…などと最悪のシナリオも思案しつつ、ダメ元でカワサキのHPで部品を検索してみたところ。
なんと、エンジン部品がまだ出ることがわかりました。
ピストンも現行の0.5㎜オーバーサイズが、リングも含めて出ますし、その上の1㎜も供給されているではありませんか。
これは少し光が見えてきました。
シリンダーは筋は見えるものの、触診でわかるほどの傷はなく、ダキツキ程度なので、ペーパーがけで均し、新品のピストンを入れてやれば復活するのではないか。
これはかなりの賭けです。そもそも素人ホーニングでシリンダーだけ換えて、、どの程度復活するかわかりません。エンジン屋さんにからすれば、なんて無謀な…と思われることでしょう。
しかしとりあえず復活してくれることが、今のかわねこには重要なのです。
往時の性能は取り戻せなくても、近隣のお散歩オートバイとしてのんびり走らせ、お金を貯めていつかフルオーバーホール(果たしてその頃部品が残っている確証はないんですが)してやる…。というのが、今回の作戦の全容です。
さて果たして吉と出るか凶と出るか。(笑