
明け方、昨日までのどんにょり天気が嘘のように晴れ渡りました。
当然、陽が昇るとテントの中は暑くなってきましたが、ほどよく海風が吹いているので、暑苦しくないのが幸い。
この晴天なら、地面やテントもじきに乾いてくれるだろう。
しかし、どうも両足がだいぶ蚊にやられています。昨夜は蚊取り器が効いていなかったのか、と思ってテントの後方を見ると、居室のファスナー下部が、少し開いているではありませんか。
実は昨夜、雨が止んだ後に急激に気温が下がってきたので、畳んでいた後室のフライを降ろした際に、居室のファスナーをメッシュにしたつもりで、開けてしまっていたのです。これはやられるわけだ。寝ぼけ眼での失敗で、このあとキンカンを塗りまくることになってしまいました。
朝食後にサイト内を散策してみると、なるほど、オートサイトは札幌圏はもとより、道外のナンバーも多く、リピーターのよう。
フリーサイトも、早々に撤収を始めるグループも多く、サイトの北側へ行ってみると、今日は晴れているので海と、水平線に掛かる雲の上に利尻岳も望めます。
フリーサイトの端は、少し小高くなっており、ここならテント脇から海も眺められそう。
天気が良いこともあり、ここでのんびりしたらさぞかし気持ち良いだろうなあ、という思いにかられました。
そもそも、かわねこは明日もお休み。実は昨日電話があり、明後日の午後は予定していない仕事になってしまったのですが、今日帰投しても、明日の十勝は曇り予報で、オートバイもさほど楽しめそうにありません。ならばいっそのことここで1日過ごして、明日帰ればいいのだと、連泊することに決めました。
さっそく受付が開くと同時に申し込みをすると、受付のおばさんは「今日は天気も良いので、海側に移動すると良いですよ」と言ってくれました。しかも、フリーサイトのキャンパーはほとんどが撤収するそうで、ここはチェックアウトが12時なので、午前中には空くはずだとも。
その言葉通り、先ほど良さそうだと思っていた、端の小高い場所に張っていたふた組は撤収。さっそくテントをそちらへ移動し、エスクも脇のスペースに移動することができました。
そうして移動した場所で前室の陽除けの下にいると、実に快適です。
一昨年から愛用している、キャプテンスタッグのローチェアですが、これがレカロのSRばりにスーパーローチェアで、腰を落とし込むと快適すぎて立ち上がるのが面倒になるほど。
さらに今朝まで湿っていた草地で、足が濡れたままだったので、コンロケースの上にタオルを敷いて、サンダルを脱いで足を載せ、頭にクッションを置くと、これがまさに安楽過ぎて「人間を堕落させる装置」の出来上がり。(笑
眼の前に広がる海と山と青空、穏やかな海風。ほんとうに、もうこれ以上なにも要りません。
よく、アウトドア雑誌やネット記事では、キャンプ初心者向けに「キャンプ場で何をするか」という記事を載せていますが、かわねこ的には「なにもしない」のが最高だと思っています。
記事では物を売る必要があることから、何かをする提案をしなくてはならないのも理解できますが、何かをしなければならない、ふだんの生活時間の中で、寝ている時以外にこんな、なにもしない時間はありません。
そんなの家にいても、と言うのは易し。実際に基地にいたら、ついネットやテレビを見たり、なにかをしたりするものですが、幕営の時こそ、日常を離れて、ほんとうになにもしない時間が取れるのです。これを贅沢と言わずして何と言うのか。
そんな、ただただひたすらぼぉっとする、最高の休日となりました。
なにしろ、お昼ご飯を買い出しに行くのすら面倒になり、手持ちのパンとカレー麺で済ますほど。(笑
午後になると、昨日ほどではないけれど、ぼちぼちと新たなキャンパーがやって来ました。
すぐ下のサイトでは、札幌ナンバーのご夫妻が、ロゴスのドームテントとコールマンのスクリーンテントを設営し、火起こしの準備をしています。
うちの前に「お邪魔します」と挨拶をしてきたおねいさんが設営したのは、クロノスキャビンでした。どうも大きさから「2」っぽいな、でもおねいさんの佇まいから、クルマではなくアメリカン系のライダーっぽいから、「1」かな、と気になって訊いてみたところ、やはりクロノスキャビン2でした。なんでも「1」も持っていて、盆のツーリングの時だけ「2」を使うのだとか。
ちなみにこのおねいさん、ライダーなのに小型のコンロまで持ち込んで、ひとり炭火焼き肉までしていたので達人と見た。(笑
ともあれ、候補に上がっていた、「2」の実物を見られたのは行幸です。
こうして並べてみると、居室がちいさいのと、高さが低い「2より、ゆったり感は当然、「3」が勝ります。
なにより、展張したかたちが「3」のほうが居室が長いぶん、ドームテントながら背が低く見えてカッコいいなあと、自画自賛。(笑
ちなみに、サイト内を見て歩いていたら、やはり候補だったオガワのステイシーST-Ⅱも見かけました。こちらも大きさは思ったよりちいさめで、クルマでならクロノスキャビン3で正解だったと実感。
さて、ウチの後方では、地元っぽい女性ふたりが来て設営をしていますが、梱包されたまさにド新品のテントで、ひとりが「なにこれ、どうやるの?わかんない!」などと説明書と首っ引き。久しぶりに見ました。買ってきたテントをそのまま持ち込んで建てるひと。(笑
陽が傾き始め、だんだんと日影がなくなって来た15時過ぎに腰を上げ、少しだけドライブを兼ねて、隣の遠別町に買い出しに行きました。
そして夕方早めの温泉とソフトを堪能した後も、夕飯の時間まで、陽影で当然ぼぉっと過ごすのです。
そんな動かない1日でしたが、やっぱりお腹が空くので、陽が傾いて弱くなってきた頃合いを見て、夕食。
今日はちょっとだけ豪勢に寿司。と言っても、ご覧のようにスーパーのパック寿司ですが。
いいんです。これでも外で食べると、じゅうぶんに美味しいのです。
そして夕食が終わった頃には、水平線上の雲も晴れ、日本海に沈む夕陽を眺めることができました。
空が暗くなると、ここは水銀灯などがないので、星が見え始めます。
近くの金毘羅岬灯台も、灯り始めました。
暗くなった空に、ぽつんと浮かぶのは、焼尻島灯台でしょうか。
ランタンを灯す頃、いつの間にか月も浮かんでいます。
しかし今日は文字通りなんにもしていないはずなのに、なんだか眠く、21時そこそこだと言うのに読書もせずに寝ることにしました。この時間帯から寝ても、朝まで爆睡できる自信はありましたが、星空がきれいそうだったので、アラームを掛けて夜中にいったん起きることにして、ランタンを消し、横になりました。
サイト内は話し声等でざわめいていますが、うるさいほどではなく、気持ち良く眠り始めたその時です。
複数の足音がしたかと思うと、テントの横に止まりました。話し声から、どうも家族で星を見に来たようです。それはいいけど「アーッ!流れたーッ!」「お父さん、どっちの方向っ!?」などと大騒ぎをしていてやかましい。
テント内に灯りを灯していなかったので、不在だと思ったのかもしれませんが、それにしても他にテントがない場所がいくらでもあるのに、なんでわざわざかわねこテントの横に来て騒ぐのかなあ。
これ以上騒がれたら、さすがに文句を言おうかと思ったところで「まあ、見えたからいいか」と言い残し、去って行きました。まったくもう。
つづく