
ではお待たせしました「ひひょの会」V36スカイラインレポートを…
(2ヶ月も開けてからのレポートって信憑性に問題ありですが)
まずは見た目のデザイン、そして乗り込んでみてのパッケージについて。
今回「ひひょうの会」にご同行願ったゲストとして、我が相棒ビークロス&アクシオムの商品企画に携わったデザイナー氏のコメントも交えながらお伝えいたします。(氏のコメントは信憑性に間違いないッ!です。)
1.外観
先代のV35スカイラインから引き継いだスタイル。それにインフィニティブランドの一員として強く意識したフロントデザインから、フーガに共通するデザインというのが一般的な新型スカイラインの第一印象だと思う。これに異論はない。
ただし、キャッチコピーの「ときめき~(うんたらかんたら)」を問うとなればこのデザインでよかったのか議論の余地はある。まぁキャッチコピーは商品があらかた完成して、最後の最後で決まることだからそれに振り回される必要はないけれど、せっかくケンちゃん(渡辺謙)イッチャン(イチロー)が仲良く出て、印象深い宣伝にしているのだから少々惜しい気はする。
外観をいくつかのポイントに整理して「ひひょう」してみた
(1)全体的なスタイル
先代V35が、スカイラインとして開発されたかどうかはさておき、今までのスカイラインにはない、非常にクリーンで効率的なパッケージをうまく表現したスタイルであった。しかし、歴代スカイラインのキャラクターからするとスポーティなキャラクターとしては物足りなかったし、平面的なデザインで、立体感に乏しく、ゆえに質感も低く、高級車としての車格が不足していたように思う。
ただ、北米でインフィニティGシリーズとして絶大な評価を得た以上、V35のデザインはなんとしても生かしたい。一見、先代のキープコンセプト的なデザインのため簡単に思うわれるデザインだが、V36のデザインは色々と課題の多いデザインだったといえる。
そこで、平面的なV35デザインを、基本的な骨格は残しながら、うまく肉付けしてこさえたのが新型だといえる。とくにフロントのボンネットやフェンダーの稜線や質感の高さは、写真では少々わかり難いが、かなりグラマラスである。
またリアエンドに行くに従い、かなり絞りが利いていて、全長が4,755㎜もある車にしてはスタイリッシュに見える。
ある意味、先代のネガティブな印象を払拭しつつ、うまくキープコンセプトさせたデザインであるかもしれない。
(2)サイドグラフィック
ただ、サイドウィンドウのグラフィックは、質感は高くなってはいるものの、ほぼ同じようなデザインのせいかあまりにも新鮮味がない。キープコンセプトをする上で重要な部分だったので、あまり手をつけられなかったのかもしれないが、惜しい気がする。
唯一、V36としての新しいキャラクターとして印象付ける箇所として、リアフェンダーの一筆書きみたいなはらいのキャラクターラインがあげられる。少々やりすぎるきらいもなくはないが、こんなところに歴代スカイラインのサーフィンラインを意識した部分に、Zのようなヘリテイジデザインを垣間見た。ただインフィニティブランドを意識してエレガントにしたかったせいか、リアバンパーにつながる最後のはらいが弱い気がした。
(3)フロントマスク
ナカムラ常務就任以降、ブランドアイデンティティを大切にする日産としては、フロントマスクの統一感は不可欠なものといえる。例外的にキューブなんかはその例から漏れ、独自色を打ち出しているものの、SUVならストラットアングルと呼ばれる中央に太いリブを用いたデザインや、セダン系に見られる横4本のグリル内の横線、L字型のヘッドランプなど。系統別にフロントマスクを整理している印象を受ける。V36スカイラインもしかり。インフィニティブランドとして、L字のヘッドライトに、上下に配置されたダブルアーチと横線4本のグリル。インフィ二ティG35として売り出すには申し分ない仕事だが、スカイラインとして売り出すには非常に印象の薄いデザインだと思う。せいぜいグリルくらいハニカミメッシュにしてみたり、バンパーをもう少しアグレッシブに開口部を変形させたりしてみたはいかがなものか。そこまでしてインフィニティと同じにして、バッチ違いで終わらせてコストカットを果たしゴーンさんにコミットメントしてスカイラインを買うお客さんは喜ぶのだろうか…あくまでもインフィニティとして買うのなら満足のいくデザインだが、それでもちょっと芸がなさすぎる。
(4)テールエンド
スカイラインといえば丸めのテールランプ。先代の前期モデルで消えかかったモチーフを、なんとか復活させ、スカイラインとしてアピールできるデザインにはしたようである。ただ、どこのメーカーも丸型デザインをしているせいか、それほどのアピール感はない。目新しいといえば、トラックリッド上端に配置されたメッキのフィニッッシャー。ただしこれもインフィニティブランドで意味の成すものであってスポーティな印象を与えるスカイラインにとって必要なものなのか?
(5)総評
スカイラインという日本では最強のブランドと、方や全世界で日産がプレミアムブランドとして展開するインフィニティブランドとしてのデザインがかなりせめぎあっていた。本来なら相容れないブランドのはずが、日本という小難しい市場の中でインフィニティブランドを展開できない以上、ひとつのクルマで2つのブランドを両立させなければならないとは、なんだかすっきりしないものを感じる。
まぁ日産がはやくインフィニティを展開できるようしっかりと業績と国内販売が回復させれば問題ないのだが、ゴーンマジックもミスターマリックのようにはいかなくなったのだろう。いやはや大変なものである。
Posted at 2007/03/03 22:15:22 | |
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