米国クルマサイトの「Leftlane」に、ABCテレビの動画とやらが載っていました。
曰く、大学教授が、トヨタ車の「ドライバーが意図しない急加速」を再現した、とか。
動画によって、その様子を見ることができます。
米国市民はこのようなニュースを目にして情報を鵜呑みにし、米国自動車メーカーの保護を図る米国議員はこのようなニュースを材料にして世論を自らの主張に適うように持っていこうとしているのでしょうね。
英語をよく聞き取ることができず、断片的な情報でブログを書くことに抵抗を感じつつ書くとすれば(汗)、けっこうツッコミどころ満載の動画だなぁ、というのが自分の感想です。
映像のテスト車は、トヨタのアバロンですね。
かつて、日本でも先々々代が販売され、先々代は「プロナード」として売られていましたね。FFのトヨタのセダンの最高峰として。北米企画のラージサイズ。
ベンコラ(フロントベンチシート+コラムシフト)でフロントに3人座ることができ、ホンダの短命ミニバン「エディックス(欧州名FR-V)」もかくやの6人乗りができたセダン。まさにアメ車。アメリカの消費者のために、日本のトヨタが開発・生産した(している)セダンですね。
ABCテレビのレポーターが運転席でステアリングを握り、助手席に大学教授氏が座っています。
そして、よく分からないですが大学教授が持っている装置にコードをつなぐと、アバロンが、ABCレポーターが意図しないのに急加速。ワォみたいな。
タコメーターの針が急上昇する画像が挟まります。
うーん「編集して画像をつなげている」とも突っ込めなくはないですねぇ。
そして、本文にもありますが、トヨタのアバロン1車種のみを紹介して、「トヨタの電子制御の設計に不備がある」と結論づけています。
本文では、「トヨタ・マトリックス」も欠陥がある、と書かれています。
しかしあれ、同じ工場で、同じラインで生産・販売されているGMのポンティアック・ヴァイブには問題がない、と結論付けられているようですねぇ。
「GM車では同じような現象はおきなかった」みたいに書かれていますので。
しかし、外板パネルの一部を変えただけで、同じラインで生産されているトヨタ・マトリックスとポンティアック・ヴァイブの電子制御に違いがある、と結論付ける理屈がわかりません。
またそもそも、ABCテレビはトヨタ・アバロン1台をテストしただけで、そのほかのメーカーのテストはしていない。
同じテストを、フォードのトーラス、いやGM大宇によるシボレー車や、オペルベースのシボレー車、あるいはフォード車でもみてみたい、「急加速しない」という画像を見てみたいですが。
「アクセルとブレーキを同時に踏んだときにブレーキを優先する」という制御ロジックとやらを、トヨタ車が採用しておらず、ほかメーカーは採用している、という報道は何日も前から日本語メディアにもありましたが。
自分の英語力では、この動画ではその点への言及は聞き取れませんでした。
しかし、ABCテレビという、影響力が大きいであろうメディアがこのような映像を放映したとなると、けっこうセンセーショナルなことになりそうですね。
そして、この大学教授氏は、今週金曜日の公聴会に出席するのだとか。
米国の世論は、かなりの脅威になりそうです。
また、この映像はあくまで「意図しない急加速」であり、「フロアマットがずれてアクセルペダルを押す」ことと「ハイブリッドカーのブレーキに違和感がある」という2つの問題とは全く関係ないと思います。
しかし、なんだか同時期に発生した一連の問題から、ひとくくりにされているような印象も受けます。
さて個人的に理解できないのが、現在の民主党政権の姿勢です。
トヨタという会社は、日本という国に有数の法人税を支払っているし、部品メーカーを含めて有数の雇用を抱えているし、関係企業を含めて有数の経済活動の根源になっている企業。
国土交通大臣は、トヨタに批判的と取れる発言をしているそうです。
経済産業大臣は、特にコメントが報道されません。
自分は、トヨタ車には魅力を感じません。しかし、日本の利益を考えると、批判すべきことは批判しつつも、最終的に自国の企業であるトヨタが傾かないようなことを政府はするべきと思うのですが。
報道されないところで、いろいろな手を尽くしているのかもしれませんが。
報道などあくまで、営利企業であるマスコミ会社が営利のために行っている情報発信に過ぎませんからね。記事の文章を埋めたり、番組の尺を埋められるような話題であれば、面白おかしく取り上げられているに過ぎないのかもしれませんから。
そうそう、最後にこのレポーターと大学教授氏。「安全」を論じるならばヘッドレストの高さをきちんと合わせろ!
これが最後のツッコミ所ですね。「ヘッドレストの中心を耳の位置に合わせる」というのが、衝突時のむちうち被害軽減につながる、というのが一般論のはずですが。
この映像はあくまで「ドライバーが意図しない急加速」がテーマとはいえ、影響力が大きいであろうメディアのものなのですから、気をつけて貰いたいものですね。
Posted at 2010/02/23 23:57:09 | |
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