今年度のトヨタは、ハイブリッドカーに自ら踊らされているような印象を受けます。
フィーバーもフィーバーし過ぎて、納期が半年以上かかるプリウスは分かりやすい例。
そして今日、先月発売されたばかりのレクサスHS250hも、これから注文しても納車が年度明けになってしまうとの報道が出ましたね。
4月以降の納車。
これによって、現在の制度ではいわゆるエコカー減税の対象外になる見込みとのこと。
プリウスとHS250hはクラスが異なり、価格はざっと150万円は差がある。
エンジンも、同じ直4でもプリウスの1800CCに対してHS250hは2400CCと別物。
しかし、肝心要のハイブリッドシステムが共通とのことで。
それが故に、「プリウスが注文入り過ぎて納期が遅れる」「納車待ちの間に車検が切れる」「エコカー減税の対象外になる」などの報道が走り回ったからか、HS250hに走った購買層に対しても生産が間に合わない。
いくらボディやエンジンの生産性をあげても、ハイブリッドシステムの生産性に大きな制約があり、増産に限度があるようで。
じゃあハイブリッドシステムの生産ラインを増やせば良いかと言えば、すぐには出来ないし、「フィーバー」が過ぎたら過大な資産になり兼ねないからライン増設も難しい。
既存のパナソニックに加えて、新たにサンヨーとの提携を決断したそうですが、今の今まで生産したことないトヨタのハイブリッドシステムを生産しろと言われても、無理な話。サンヨーとの提携は、数年先に効果が現れるお話なのでしょう。
しかし、結果的にトヨタ自身に追い打ちをかけるかのように、年末にはレクサスHS250hのトヨタ版≒廉価版のトヨタ・SAIの発売開始まで待っている。
SAIはレクサスHS250hとプラットフォームや骨格を共通しボディ外板は差別化をしつつも、やはり肝心要のハイブリッドシステムは、プリウス=HS250hと同じ生産ライン。
まだ正式な受注開始はしてないようですが、既にプリウス、HS250hで納車は年度明けなので、SAIの枠が取ってあるとしても、ほとんどの購入車の納車はやはり年度を明けるかと。
これで顧客が普通のガソリン車を買うように気持ちを変えてくれれば、メーカーのトヨタも販売各社も少しは楽になるのでしょうが、ハイブリッドフィーバーはまだ冷めてくれないようですね。
カローラセダン単体の販売台数や生産台数は、前年同月比でどんな推移を辿っているのでしょうかね。
プリウス偏重は、やたら幅広いトヨタ車どうしのカニバリズムも招き、プリウスに関係ない工場や生産ライン、部品メーカーはまだ苦労しているのでしょう。
また、エコカー減税の手続きは大変だわ、車検切れする契約者のケアやら、キャンセル客対応、またキャンセルを見据えた手付金の確保など、販売会社の販売担当のかたがたもかなりの苦労をされているようで…。
クルマメーカーや販売会社からの広告を取っていないスクープ系雑誌の「ニューモデルマガジンX」にこの辺は詳しいですね。
とにかく、トヨタ自身がだんだん自らを窮地に向かわせているように見えます。
トヨタとトヨタ系列、そして顧客といったいろんな人々に大きな機会損失をもたらしてしまっているように思いますね。
さてでは海外では?
海の向こうのアメリカでも、HS250hの供給が遅れると話題に上ってきていますね。
リンク先のLeftlane、またはMotorAuthorityにも記事がありました。
アメリカのディーラーでも、悩みの種になりつつあるようです。
まぁいわゆるエコカー減税については、アメリカは驚くほどスッパリと打ち切ったから影響は日本ほどじゃなさそうですが。
日本では、選挙の結果がどうであれ、いわゆるエコカー減税を延長するかしないかで揉めそうですね。
日経新聞系が「あまり政府が介入し過ぎては健全な競争が阻害される」という論調を展開しつつも、その外の主要新聞や民放報道番組やワイドショーあたりが「不公平だ」という世の中の気分に訴える論調を展開しまくり、結果的に半年くらいは延長ですかね…。

Posted at 2009/08/26 23:01:12 | |
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