“オートカラーアウォード2016” についての4本めの記事です。
今回は授賞とならなかった車両のうち私の印象に残った車両のインテリアについて取り上げます。
その前に、本アウォードの審査方法や2016年の審査等について触れておきます。
【 審査委員のカテゴリーとカテゴリーによる持ち点等の違い 】
■ ACA審査委員
デザインの有識者によって構成されている。持ち点100を3ノミネートに配分する。ベスト(1ノミネート)に60点以上、残りの点数を二分し次点(2ノミネート)に投票する。
■ 分科会審査委員
自動車色彩分科会に所属する会員企業の代表者で構成されている。持ち点30を1ノミネートに投票する。
■ 一般審査委員
事前に一般募集した聴講希望者によって構成されている(受講料6,480円が必要)。持ち点1を1ノミネートに投票する。
2016年はACA審査委員3名、分科会審査委員12名、一般審査委員100名の投票により審査が行われた。
【 2016年の審査結果 】
審査結果はプロジェクターを使い、集計過程を棒グラフに積み上げ、3枚のスライドを切り替えながら発表されました。棒グラフには14ノミネート全てがプロットされていましたが、メモできた順位だけをお伝えします。
一般審査委員100名の集計結果(上位3位まで)は次のとおり。
1位 ホンダ NSX
2位 スズキ イグニス
3位 ニッサン SERENA
分科会審査委員12名 + 一般審査委員100名の集計結果(上位3位まで)は次のとおり。
1位 ヤマハ XSR900 及び Vino Deluxe
2位 マツダ ロードスターRF
3位 トヨタ プリウス
ACA審査委員3名 + 分科会審査委員12名 + 一般審査委員100名の最終集計結果(上位5位まで)は次のとおり。
1位 マツダ ロードスターRF ⬅︎ グランプリ
2位 ヤマハ XSR900 及び Vino Deluxe ⬅︎ 特別賞
3位 ホンダ NSX ⬅︎ 特別賞
4位 トヨタ プリウス
5位 スズキ イグニス
【 2016年の授賞理由 】
授賞理由を
公式webから引用します。
グランプリ マツダ ロードスターRF
● マツダが目指してきたCMF(カラー、マテリアル、フィニッシュ)によるブランド構築の集大成とも言える優れたカラーデザインである。
● CMFと形状が一体となって、非常に調和した美しさを持っている。
● マシーンの鉄をイメージさせるグレーを、液体を思わせるような金属感により、グラマラスでセクシーなデザインとして作り上げた。
特別賞 ヤマハ XSR900 及び Vino Deluxe
● 四輪とは異なるCMFが求められる二輪において、独自の新しい提案をしていることが評価される。
● 特にXSR900は、ヤマハの持つ楽器の技術を用いて、クラフトのようなデザインを完成させたことが注目される。「クラフト」は今の時代のキーワードと言える。
特別賞 ホンダ NSX
● 思わず足を止めて見てしまうような、存在感のある色。色の力を感じるカラーデザインである。
● 陰影へのこだわりが日本的であり、日本人デザイナーの感性が生きている。
● ヌーベルブルーパールは、手の届かない空の青を間近で見るような美しさを実現している。
さて、本論に移ります。一部の画像はネットから拝借したものを転載しています。
【 4社のトールワゴン及びミニバン(スライドドア車)5台(ノミネートの上では4件)】
▼ ムーヴキャンバス。インテリア識別名は “ファインミント ベージュ/ダークブルー”。パノラマモニター対応純正ナビ等はメーカー及びディーラーオプション。車両価格は1,544,400円(G “メイクアップSA II” 2WD CVT)。
Source:
https://www.webcartop.jp/2016/10/52355
▼ ボディカラーと調和するインテリアの配色です。
Source:
https://www.webcartop.jp/2016/10/52355
▼ 純正アクセサリーのシートカバー。
Source:
http://www.daihatsu-chiba.co.jp/blog/2016091669516/
▼ ポルテ特別仕様車 F"a la mode Trois"。特別仕様の一番のセールスポイントはファスナーで取り外しが簡単にできる専用シートカバー。インテリア識別名は “フロマージュ”。大胆なドット柄がシートのみならず天井にもあしらわれています。車両価格は1,949,400円(2WD)。
▼ スペイド特別仕様車 F"Queen II"。特別仕様の一番のセールスポイントはファスナーで取り外しが簡単にできる専用シートカバー。インテリア識別名は “ブラック”。シートのストライプ柄が凝っています。チャコールグレー × ベージュ、ネイビー × ベージュの組み合わせ。天井にはグレーの濃淡のダイヤ柄があしらわれています。車両価格は1,949,400円(2WD)。
▼ FREED HYBRID G・Honda SENSING。インテリア識別名は “モカ(ファブリックシート)”。画像中のナビゲーション(“Gathers”)はディーラーオプション。車両価格は2,496,000円(FF/6人乗り)。
▼ 白木調のパネルはマットで本物のような凹凸感がある。
▼ シート表皮をスペイド特別仕様車(前述)と比較すると地味に映ってしまいます。しかし、じっくり見ていると天候や光の当たり方によって異なる表情を見せてくれます。違いのわかるヒトには訴求力が強いインテリアだと感じます。
▼ SERENA。インテリア識別名は “プレミアムインテリア”。ボディカラーの “カシミアグレージュ × インペリアルアンバー” との調和を狙ったインテリアです。ステアリングホイールは本革巻き。ナビゲーション(日産オリジナル)はディーラーオプション。車両価格は2,847,960円(G グレード)。
▼ インパネ(ミドルエリア)にもステッチ入りの合成皮革があしらわれています。フローティング・センターパネルはピアノブラックで存在感のあるデザインです。
▼ シート表皮はグラデーション織物と合成皮革のコンビネーション。
【 SUV 2台 】
▼ XV HYBRID tS。インテリアカラーは “ブラック/オレンジ/アイボリー”。ステアリングホイールは本革巻き。ナビゲーションはディーラーオプション。車両価格は3,326,400円。
※ 画像はネットから拝借しました。
▼ 4種の素材を合わせた専用シート。高い位置の素材から見ていくと、本革(ブラック)、ウルトラスエード(ブラック、オレンジステッチ)、合成皮革(オレンジ)、トリコット(アイボリー)。
※ 画像はネットから拝借しました。
▼ イグニス HYBRID MZ。インテリアカラーは “ブラック × ホワイト × オレンジアクセント”。ステアリングホイールは本革巻き。全方位モニター付きメモリーナビゲーションはメーカーオプション。車両価格は1,641,600円(2WD・CVT)。
【 未来志向と伝統志向】
▼ プリウス。インテリア識別名は “クールグレー 上級ファブリック”。ステアリングホイールは合成皮革(本革では実現できない昇温・降温機能付き)。T-Connectナビはディーラーオプション。 シート表皮の “クールグレー 上級ファブリック” を選べるのは “S” グレードのみのはずですが、ステアリングホイールの加飾、エアコン送風口のメタリックブルー加飾等からすれば “A ツーリングセレクション” のように見えます。車両のグレードをTOYOTAの公式webで確認しようとしましたが複雑でわかりません。
▼ シート表皮は “クールグレー 上級ファブリック” 。この織物にも昇温・降温機能があるそうです。ジャージのような織物で、引っ掻き傷や汚れには弱そうな気がします。
▼ BRZ GT Yellow Edition(限定100台)。シート表皮はアルカンターラと本革のコンビネーション。ステアリングホイールは本革巻き(ゴールドステッチ入り)。ドアグリップはイエロー/シルバーのフィニッシャー。車両価格は3,369,600円。
※ 画像はネットから拝借した輸出仕様のものです。
【 最後にちょっと 】
オートカラーアウォードで最も楽しみなのはインテリアです。運転中に目に映るのはほぼ室内だけですし、インテリアデザインは見た目だけでなく、操作性や快適性にも繋がってきます。エクステリアデザインよりもむしろインテリアデザインこそ大事だと私は考えています。
XV と イグニス はエクステリアに共通するテイストがありましたが、インテリアにも同様のことがいえます。従来でしたら黒とオレンジの2色使いだったものが、ホワイトやアイボリーを追加した3色使いとなった点は全く同じですネ。
シート表皮で最も注目したのは FREED です。最新のクルマにベロア素材は望めませんが、レザーよりもファブリックの方がシートに期待される機能としては優れていると考えています。ただし、個人的な好みでジャージ素材は除きます。FREED のファブリックシートは新たな価値を示してくれました。
ポルテとスペイドは特別仕様だからこそ実現した斬新なインテリアですね。天井に柄を使うなどという発想は
高級車のビスポークだけのものと思っていました。またファスナーで簡単に取り外せるシートカバーは日本車ではトヨタが初かもしれませんが、
ルノーのキャプチャー(ジップシートクロス)が先駆者ですね。
▼ ポルテとスペイドの特別仕様。天井に注目。
※ 画像はネットから拝借しました。
SERENA の “プレミアムインテリア” にはカジュアルな上質感が感じられます。ルノーのテイストに似てきたようにも感じます。あるいは逆に最近のルノー(ESPACE や TALISMAN などの上級モデル)がニッサンに似てきたのかも・・・。
ムーヴキャンバス のインテリア(特にインパネ)は造形的には好みではありませんが、ボデイカラーとの調和を最大限に追求した配色は好ましく感じます。
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4回続けた記事でしたが、今回で最終回とします。ご覧いただいた皆様ありがとうございました。