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2016年12月09日 イイね!

M2 1028のポエム       後期M2はハイ・ブロウだ

M2 1028のポエム       後期M2はハイ・ブロウだ
M2 1028のカタログにはポエムが記載してあります。 備忘のご紹介。


FOTO:田中希美男さん
illustration:Bow。さん


言葉のない会話。ほんのちいさなしぐさが、なにより雄弁さをもつ時間。
  M2 1028


駆け抜けるその一瞬、ウインドウに切り取られた風景は既視感(デジャヴ)へと変わる。
  M2 1028


他人には理解出来ない。自分でさえもわからない。この車だけが知っていること。
  M2 1028


撫でまわすことはしない。自慢もしない。しかし、優しさは忘れない。
  M2 1028


あまりにも透明なひととき。大人が、いつしか静かな存在感をたたえはじめる。
  M2 1028


すべてを支配する静寂のしじま。やがて訪れる享楽の予感を漂わせながら。
  M2 1028


有情の過去も、やがて訪れる未来も、このドライビングシートから始まる。
  M2 1028


光が影を生み、影が光を誘う。飽くことのない美しさに、都市の鼓動は高なる。
  M2 1028



--------

こういう時代だったのかな。ポエム。美しいね。この年になると染みます。
だけど、このポエムってずっと何十年も1028が大切にされることを前提としてるよね。
凄いよねえ。


M2車輌って前期と後期に分けられると思っている。
その切れ目は難しいけど、厳密にはM2設立以前に企画された1003までだとおもう。
ただ、流れ的には立花さんが主体となった1008までが前期かなって。世に出たのが1001と1002だけ。

前期M2がエンスージャスト達の過去より連綿と続くハイカルチャーを踏襲した(伝統主義的)なクルマだとすると、後期M2はハイブロウ(理性主義的)なクルマだと思ってます。フル4座ピックアップスポーツ(1010)だの、障害者自動車(1031)だの、理性的/知性的でないと理解しえないクルマが多い印象です。後期M2で世に出たのは1015 1028だけ。
(一台だけ1010がナンバーを取った。)




M2車輌に付けられたふたつ名も、前期と後期ではだいぶ印象が違いました。
前期は観念的/主観的で、後期は具体的/客観的。

  1001がCafe Racer
  1002がVintage

に対して

  1028はStreet Competition


随分と具体的。主観的なふたつ名では無くなっている。
客観的にリザルトで示せることでしょう?Competitionって。



M2 1028のリザルト

・幌 標準装備から-17.1㎏
・デタッチャブルハードトップ 素材比重を1.9から1.3に
・トランクリッド 新開発アルミ製 -3.0㎏
・ホイール 高圧鋳造アルミホイール -10.4㎏
・シート 新開発FRP製軽量バケットシート -12.1㎏
・全長3955mm 全幅1675mm 全高1210mm
・ホイールベース2265mm トレッド1405mm(F) 1420mm(R) 重量960㎏



ご参考(田中希美男さんのHP)
http://www.thisistanaka.com/gallery/car/1028/index.html


凄いよね。理性的に納得させられる。2016年のMX-5 speedster(ルーフチョップした奴)の重量が、943kgなので、M2 1028は、ハードトップを脱いじゃえば、ショーモデルに過ぎないMX-5 speedster(フロントスクリーンさえない)より更に軽量ってこと。
当時でいえば、屋根ナシのRenault Sport Spiderのスクリーン付きが960kg。此奴よりも軽量。
こんな1028が市販されたんだよ。ホント凄い。



1001や1002が好きな気持ちってエンスージャスティックな言語化出来ない価値に「感化」されてると思うんだ。
一方、1028はその良さが言語化/数値化できて、その価値に「納得」させられてしまう。



往時のM2って和音の様に思えた。クルマが好きで、めちゃめちゃ知的なヒト達がよってたかった知性のハーモニー。M2の奏でる音は

 過去の名だたるクルマ好きエンスーのリファレンスをほじくり返した、ハイカルチャーな音もする。
 それとは異なる、理性的/知性的/数値に拘る、理性主義的なハイブロウな音もする。

ハイカルチャーとハイブロウとは、相容れない部分があるけど、協和音、不協和音あってこそ深みのあるハーモニーになる。そして全体としては強烈に知的。混然のハーモニー。

(ハイブロウと真っ向当たるのが、ロウブロウ(大衆知、大衆芸術)で、2016年には世界中でこの嵐が吹いたよね。)




1028の頃のM2ドライビング・クリニックはタイヤの摩擦円理論を使っていた。
http://www.kurumano-gakko.com/drive/grip.html

加重をブレーキングで前に移して、タイヤの摩擦円を大きくしてからハンドル廻してコーナリングフォース側に振る、って奴。これも客観性あるよね。そしてハイブロウだ。
ここに書いた1001の時の立花さんの教則とは違うでしょ。



まあ、俺はマルイチ乗りだから、好いんだよ。立花理論で。そうやって作られたクルマに乗るんだ。これからも。

Posted at 2016/12/09 17:00:30 | コメント(2) | M2とはなんだったのか | 日記

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