
わがアテンザの2Lエンジンは、MZRタイプ最初期のもので、可変バルブタイミングなどがつかないシンプルなものです。実直な性格で、故障なく稼働しています。
わがMAZDA2の1.5Lエンジンは、改良前のシンプル版です。
マイカーの1.5Lエンジン
MAZDA2では、2021年に高圧縮化(圧縮比14.0)を主張する改良型1.5Lエンジンが登場していました。わが「普段使いのMT車」の選定では、次の理由でエンジンの新旧は重視しませんでした。
①メーカーはエンジン改良に伴う燃費向上を主張していて、6AT車のWLTCモード燃費は19.0km/Lから20.3km/Lへと7%近く向上していました。一方、6MT車の燃費は19.8km/Lから20.2km/Lになりましたが、向上幅2%では誤差の範囲とも言えます。6AT燃費の向上幅が大きいのは、6ATの制御にも何か変化があったためでしょうか。
②最高出力は110PS/6000rpmと変化なく、最大トルクは14.4kgf・m/4000rpmから14.5kgf・m/3500rpmと変化はわずかです。トルクカーブが示されていないのでよくわかりませんが、最大トルクの発生回転数が500rpm下がっているので、実用域のトルクは数値以上に大きくなっているのかもしれません。
③エンジン換装に伴い、車重が20~30kg程度増加しています。これは車重の2~3%に相当するので、トルクが少し増えても帳消しになるかもしれません。
④ネット上で試乗レビューを見た限りでは、エンジン換装してもあまり違いはわからなかったという報告が多かったようです。
コンパクトMTが絶滅危惧種となりつつある中で見つけた候補車のエンジンは、改良前のシンプル版でした。
シンプルなエンジンの成り立ち
2014年に登場したDJ型デミオは、当初1.3Lエンジンを載せていました。2010年代に登場したマツダSKYACTIVガソリンエンジンが高圧縮比(13.0~14.0)を誇っていたのに、この1.3Lは圧縮比12.0でした。この圧縮比に留めることにより吸排気系を簡素にしたようで、コストを重視したシンプル版であったようです。
2018年にはこの1.3Lエンジンがそっくり1.5Lに換装されましたが、価格をほぼ据え置いた上での排気量拡大でした。そのためか、新搭載されたのは圧縮比12.0のシンプル版1.5Lでした。この1.5Lエンジン(P5-VPS型)はアクセラ、CX-3、MAZDA3にも採用されてきましたが、これらはみな圧縮比13.0で、低圧縮比なのはDJ型(デミオとMAZDA2)のみでした。
とは言え出力やトルクの数値の差は小さく、そもそもDJ型は大幅に軽いので、圧縮比12.0のシンプル版でも問題なさそうです。高圧縮比版との実燃費の違いはわかりませんが、パワー、燃費とも大差ないなら、シンプルで軽い方が好ましいとも言えます。
目立たない長所
このシンプルなエンジンを搭載したDJ型の環境仕様を見ると、排出ガスが「
平成30年排出ガス基準75%低減レベル」となっています。

圧縮比14.0の現行エンジンを見ると、これが「
平成30年排出ガス基準50%低減レベル」に変更されていました。「WLTCモード規制値・認定値」の数字は、NMHC(非メタン炭化水素)が0.05g/km、NOx(窒素酸化物)が0.025g/kmとなり、この2項目の値が2倍に緩くなっています。
高圧縮比にして効率的に燃焼させた結果、窒素酸化物の発生が増えたのでしょうか。かつては都市部で二酸化窒素の環境基準達成率が悪かった時期があり、これを受けて自動車排出ガス規制が強化された経緯がありましたが、その効果か近年の達成率はだいぶ向上しているようです。
非メタン炭化水素は光化学オキシダントの原因物質であり、オキシダントの環境基準達成が芳しくないので、対策が議論されているようです。それゆえ、排出量は少ない方が望ましいと言えます。
排出ガス規制を踏まえた優遇策は現在はないようです。排出ガスが清浄な方が望ましいのは当たり前ですが、これを規制値より大幅に下げても税制等のインセンティブがないのでは、製造事業者、消費者ともにメリットを感じにくいため、認定時に必要以上には低レベルを目指さないことにしたのかもしれません。
ヤリス、フィット、スイフトなどの現行モデルの排出ガスを見ると、純エンジン車やマイルドハイブリッド車は50%低減レベルで、ストロングハイブリッド車だけが75%低減レベルでした。これは濃度規制でなく量規制なので、燃料消費が少ないストロングハイブリッド車が有利なのは容易に理解できます。
そんな中で、わがMAZDA2のシンプルエンジンが75%低減レベルを達成できているのは、目立たない長所として誇りたいと思います。
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2025/06/15 00:58:52