
自験の「実録」を「どぶろっく」バージョンでご紹介します。
村下孝蔵の名を明確に認知したのは、高校時代でした。一番の親友が三田寛子のファンだったため、5作目の新曲を聴いて、「この曲いいねえ」と率直な感想を伝えました。
「村下孝蔵のカバーだけどね」という遠慮がちな返事があり、そこに当時の音楽事情が見え隠れしています。原曲が発売された2ヶ月後に、三田寛子版が世に出たのです。同時発売ではなく、アレンジがほとんど入っていない点でも、かなり珍しい事例でした。
一説によると、寛子さん自身が村下孝蔵のファンで、自ら頼んでカバーをお願いしたという話があります。村下氏名義で52.6万枚という驚異的なセールスを記録したこの名曲には、中学時代に実在した初恋の女性がモデルになっているという話がよく知られていました。しかし、自身の初恋を芸術作品としてプロモーションするとなると話は別で、その部分は、三田寛子がモデルになったとも聞きました。男性が主人公の詩を女性アイドルが歌うパターンは、菊池桃子さんが得意にしており、ファン心理として、名曲を贈られた寛子さんが羨ましかったです。
その後、1999年に、村下氏は46歳の若さで早逝してしまいました。ところが、亡くなってから、その音楽に触れる機会が激増しました。YouTubeが勃興した影響だと思います。ベンチャーズと親交があったくらいギター奏者としても有名だったと知ります。自分自身が成長して、村下氏が描く詩の世界観が理解できるようにもなっていました。
私の中で、「初恋」は忘れ得ぬ名曲に変わりありませんが、一番よく聴いたのは、「踊り子」という別の曲です。純愛系から、ハードロマンと称される西村寿行作品まで、広くエンタメ系小説が好きで、数多の作品を読破してきましたが、この「踊り子」という曲の詩に敵う文章と出会ったことはありません。
――つま先で立ちながら、君を愛してきた。
衝撃的なフレーズでした。
自分にもその経験があり、悲劇的な運命しか待っていないのが分かっていても、足を止められないのが恋の本質です。その瞬間が優先してしまいます。スターダストレビューは、名曲「トワイライトアベニュー」で、「恋は逃げちゃ駄目ね、たとえ痛手が増える日がこようと」と歌っていますが、いつもその路線でした。
ここで避けることができないのが、菊池桃子さんの存在です。純然たる恋愛対象とは違いますが、つま先で立ちながら応援を続けています。いい時代になったなあと思うのは、SNSによって、桃子さんが同じ高さまでときどき下りてきてくれるようになったことです。不定期のトークライブで交流があり、お互い素に近い状態で交流することができます。あるとき、音声で出演していた桃子さんが、「ライブの前は、なにもする気になれないんですよ」と発言した直後に、文字でコメントを入れてみました。
「大きな仕事の前にはエネルギーをためたいですよね」
すると、刹那に反応があり、「そう、そう、本当にそうなのよ」と発言してくれました。声のトーンでニュアンスがより鮮明に分かり、嬉しかったです。
続けて、桃子さんが、「私達ってさあ、価値観とか性格とかが似てるから、こうして長くいつまでも集えるのかなあ」と発言すると、コメントが殺到し、文字が画面を覆い尽くしてしまいました。
相変わらず、村下孝蔵「踊り子」の世界観の中ではありますが、つま先で立ち続けなくても大丈夫な時代になりました。
実録は、以上です。
ここで、「どぶろっく」師匠の登場です。
――もしかしてだけど、昭和の文化式に、文通と交換日記から始めて、グループ交際に進んだ段階なんじゃないの~。
答えを出さずに、いつまでも暮らせない。
バス通り裏の路地、行き止まりの恋だから。
Posted at 2026/06/07 12:27:21 | |
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