80年代を代表するハイソカーであるX70系マークⅡ3兄弟の中で、とりわけスポーティなモデルとして高い人気を誇ったターボモデル。
1G-GTEUエンジン搭載のGTツインターボは有名ですよね。
今回スポットをあてるのはツインターボではなく、華々しく登場したGTの陰でひっそりと姿を消した希少な存在である、SOHCターボのM-TEUエンジン搭載車・E-MX71型を検証してみたいと思います。
まずは、マークⅡ3兄弟のラインナップからおさらい。
1984年8月に登場したマークⅡは、先代に引き続きセダンとハードトップのボディに、ワンカムのグランデ、ターボのグランデターボ、ツインカムのグランデツインカム24という、3種類のエンジンを組み合わせたグランデを用意。
もちろんチェイサーとクレスタも同様のバリエーションが展開されました。
マークⅡハードトップ・グランデターボ
マークⅡセダン・グランデターボ
その中で先代からキャリーオーバーとなるM-TEU型SOHCターボ搭載車はシリーズ唯一ATのみの設定とされ、スポーティなイメージよりも余裕あるパワーを持つサルーンという位置付けでしたね。
クレスタ・スーパールーセントターボ
モデルチェンジから1年2ヶ月後の1985年10月、新開発のツインカム・ツインターボ搭載のGTツインターボがハードトップに追加設定。
チェイサー・GTツインターボ
この時点で入れ替わるようにセダン・ハードトップともM-TEU搭載車は早くも廃止されてしまいます。
ツインターボ登場までの場つなぎ的な役割であったため、X70系の登場からわずか14ヶ月しか販売されなかったMX71マークⅡ3兄弟。
ここからは1G-EU搭載車との違いを見ていきます。
マークⅡの装備一覧。
無印グランデから追加となる装備としては、意外にも195/70HR14サイズのタイヤ、4輪Vディスクブレーキ、ECT-Sの3つのみ。
さらにオプションでターボ車だけが選択可能であるのは、ツインカム24にも設定される15インチアルミのみ。
セダン2000グランデターボにオプションを装着すると、こんな感じですね。
オプションアルミを装着しない限り、内外装といった見た目の部分での違いは前後の「turbo」エンブレムとタコメーター内のブースト表示灯くらいといったところです。
ではグランデターボは普通のグランデにちょっと色を付けただけの存在だったのか?と言うと、実はそうでもないようで。
こちらは初期型チェイサーの価格表。
NA車に比べ、ターボ車は約20万円高の価格設定となっています。
さらに上級のツインカム24はデジパネやTEMS等の豪華装備が沢山追加されるにもかかわらずターボから12万円高の設定。
使い古したM型にターボを付けたエンジンとはいえ、それなりにコストの掛かったパワーユニットだったことが窺えますね。
また、カタログには記載されない足回りのチューニングも、NA車とは違うことがパーツカタログから確認できました。
例えば、フロントのショックアブソーバはTEMSを装着しない代わりに4気筒1800車や2400ターボディーゼル車と同品番。
しかしリヤは1G-EU車と共用。
一方、リヤスタビライザーはツインカム24車と同じものが与えられているのがわかります。
もっと詳しく調べればまだまだ違いがあるでしょうが、2000グランデの単なるターボ版だと思っていたMX71が、見えない部分で意外にもGX71と作り分けられていたのは新たな発見でした。
そんなMX71ですが、あれだけ売れまくったマークⅡ3兄弟においても、当時から全くと言っていいほど見かける事がなかった希少車だったと思います。
自分も今までにマークⅡハードトップに一度だけ出会ったのみ。
大半は普通のグランデでしたし、高性能を求めれば旧態化したM-TEUよりも「ツインカム24」のインパクトが勝っていたのは誰が見ても明らかでした。
自分はソアラのM-TEU車に乗った経験がありますが、下がスカスカのツインカム24とは違い、低速からスムーズに加速していくのが身上のジェントルなターボ。
もう残っている個体はわずかかもしれませんが、もう一度現役のMX71にお目にかかりたいものですね。
Posted at 2017/08/16 16:47:33 | |
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