今回はトヨタ・クレスタ(X50/60系)のカタログです。
「トヨタの最高級パーソナルセダン」というキャッチフレーズを引っ提げて、初代クレスタがデビューしたのは1980年。
兄弟車となるマークⅡ・チェイサーの全面改良から半年ほど前に発表され、新世代の高級車として注目を集めました。
スタイルは兄弟とは異なり、4ドアピラードハードトップの1種類のみ。
マークⅡ系のセダンほど普遍的ではなく、ハードトップほどスポーティではない絶妙な伸びやかさが特徴。
インパネは丸いエアコン吹出口が目を惹くクレスタ独自のデザイン。
シートもオリジナルの高級感あふれるものでしたね。
エンジンは長年使われてきたM型に代わり、新開発の直6、1G-EUを初搭載。
125ps/17.5kgmのスペックはほぼ同じながら、排ガス規制で鈍重なイメージだったM-EUとはまるで別物のフィーリングで、軽快な吹け上がりが特徴でした。
1年後にはライバルの日産L20ETに対抗すべく、熟成のM型にターボを装着したM-TEU型(145ps/21.5kgm)も登場。
こちらはジェントルなフィーリングを狙いATのみの設定。
その他、廉価モデルには4気筒1800ccの13T-U型(95ps/15.0kgm)もありましたが、マークⅡ系に用意された4気筒2000cc(21R-U/18R-GEU)やディーゼルモデルは用意されませんでした。
最高級パーソナルセダンにふさわしく、豪華な装備が満載のクレスタ。
航続距離や到着時刻を瞬時に演算するクルーズコンピュータをはじめ、オートドライブや電子チューナーラジオなど、80年代の幕開けを感じさせるハイテク装備が多数採用されていましたね。
クレスタ(前期型)のラインナップ。
歴代にわたりイメージリーダーであった最上級グレード、スーパールーセント。
販売されたクレスタのほとんどを占める人気グレードでした。
専用サスペンションと1G&Mターボが組み合わされたスポーティバージョン、スーパーツーリング。
シリーズ唯一のリヤワイパーが装備できるのが特徴。
スーパーデラックスは6気筒ながらリヤサスはリジッド、装備はスーパーカスタム並みの普及版。
4気筒モデルはスーパーカスタム、カスタムの2種類。
最廉価のカスタムはウレタンバンパーが未装着で全長が4500mmに収まっていました。
富士山型のホイールキャップも懐かしいですね。
82年の夏には、3兄弟揃ってマイナーチェンジ。
型式も他の2台に倣いX60系に変更されました。
フロントマスクは角目4灯からフォグランプ付の角目2灯にチェンジ。
テールレンズもスモークのかかった新造形に変更。
暗闇で妖艶な雰囲気に浮かび上がる後期のテールランプと、定番の字光式ナンバーの組み合わせは抜群にカッコ良かったですね。
新色のうぐいす色ツートーン「ジェンティールトーニング」はクレスタらしいカラーでした。
とはいえ、盤石のスーパーホワイトもハイソカーとしての魅力を倍増させるものです。
後期型最大のトピックは、ツインカム24バルブの1G-GEU(160ps/18.5kgm)の登場。
トランスミッションは5MTに加え、電子制御4ATのECTも追加。
エレクトロニック・ディスプレイメーターやスポーツシートも新たに用意され、高性能サルーンとしての素質にも磨きがかかりました。
クレスタ(後期型)のラインナップ。
新たにトップグレードとして君臨するのはスーパールーセント・ツインカム24。
「TWIN CAM24」のエンブレムはまさにステータスシンボルのような存在でした。
従来スポーティグレードだったスーパーツーリングは1Gエンジンがラインナップから落とされ、ターボ仕様の廉価版としての位置付けが強くなりましたね。
1800シリーズはエンジンが古いOHVの13T-Uに代わり、軽量の新開発SOHC、1S-Uに変更。
モデル末期には2200ccのL型ディーゼルも追加されました。
街中にあふれていた初代クレスタも登場から35年、すっかりヴィンテージカーと呼ぶにふさわしい存在になりましたね。
兄弟の中でもひときわパーソナル感にこだわったクレスタ。
その後も3代にわたりイメージキャラクターを務めた山崎努氏も、クレスタ独特の持ち味を後押ししていました。
「男は最高のものを独占したい。」
ダンディな紳士が似合う、80年代を代表する高級車だと思います。
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