名機というわけではありませんが、やはり自分の車のガソリンエンジンの設計について少しは知りたいと思ってもバチは当たらないでしょう。
という訳で先代A, B, CLA, GLA に搭載された M270、そして先代 C, E クラスに搭載されたM274 エンジンについて、
Mercedes-Benz M274 Tour Tips and Tricks
PDF版
をGoogle翻訳と意訳を混ぜて何回かブログに掲載していきたいと思います。
()内もしくは※部分は私が記載した解説になります。
メルセデス・ベンツ M274 エンジン解説ツアー
M274 (および類似のM270) 4気筒エンジンの特徴、メンテナンスの必要性と手順

2015 年モデルの 205 C クラスで M274 4 気筒エンジンは米国に導入されました(姉妹エンジン M270 はその1年前)。
ここでは、後輪駆動車向けの縦置き M274 に焦点を当てますが、横置き M270 も基本的に同エンジンであり、この情報の多くは両方に適用可能です。
兄貴分の M276 エンジンや M278 エンジンほど広く搭載されているわけではありませんが、世界中の道路には今でも何百万台ものこれらのエンジン搭載車が走っており、その多くはメンテナンスやサービスのためにショップに持ち込む必要があります。
概要
M274 は、シングル ターボチャージャー装備のガソリン直噴 (DI) エンジンです。
この M271 の後継機の設計目標は、「CO2 排出量削減」、「出力向上」、「トルク向上」、「エンジン騒音の改善」でした。
特に、吸気とエンジンの熱管理を新しいシステムとし、ECO スタート/ストップ機能は標準装備としました。
米国では、M274 は 2 リッター エンジンですが、他の排気量のバリエーションも他国で使用されています(M270 は 1.6L 版ありますよね)。
ガソリン直噴システムには、圧電式(ピエゾ)燃料インジェクターを採用し、極めて高速かつ正確な燃料供給を実現します。
高圧燃料ポンプは最大 200 Bar (約 3,000 psi) を供給し、吸気カムシャフトによって機械的に駆動されます(高圧燃料ポンプがカムシャフトの専用カム山で駆動されています)。
シングル ターボチャージャーは負圧制御されています(惜しいところですが、電気ソレノイド制御だとさらにレスポンスが向上したかも)。
冷却回路とオイル回路は、効率を高めるために慎重に調整および制御されています。
クランクケースとオイルパンは、アルミダイカスト製で、オープン デッキ クランクケースと高強度アルミニウム合金シリンダー ヘッドを備えています。
2 つのオーバーヘッド カムシャフトは、それぞれ(バルブタイミング調整用)ソレノイド アジャスターを備え、従来型のタイミング チェーンによって駆動され、各シリンダーで合計 4 つのバルブを作動させます。
オイル ポンプは、クランクシャフトとは別のチェーンによって駆動されます。
熱管理
ME-SFI エンジン制御ユニット (ME) は、エンジン内の冷却水の温度を厳密に制御します。
これにより、エンジンはより早く動作温度に到達し、排気ガスの排出を減らしながら加熱性能を向上させることができます。
コールドスタート後、ME は負圧アクチュエータを介して冷却水ポンプ切り替えボールバルブをオフにし、冷却水の流れを停止します。
※下図は M274/270 の冷却水用ポンプの図面です。
40/3 はクランクシャフトから駆動されるベルトがつながる場所で、これでポンプ自体を回します。
40/1 は角度が悪く不明ですが、恐らく 40/4 のボールバルブの開度を測定するリミットスイッチとその接点コネクタでしょう。
40/2 が負圧アクチュエータ部分です。ここで 40/4 で示すボールバルブの全開/全閉 制御し、ポンプからの冷却水流量切替制御すると思われます。

ベルト駆動式冷却ポンプからの流量は、真空アクチュエータとボールバルブを使用する ME-SFI ユニットによってオフにすることができます。
冷却液サーモスタット内にはヒーターエレメントがあり、ME からの電気信号によって起動され、サーモスタットを介してエンジン温度を制御するために使用されます。
サーモスタット内にはワックスエレメントがあり、これが加熱されると回転ボール バルブの位置を調整します。
これにより、冷却液がキャビン暖房システムに流れるようにしながらウォームアップ プロセスを微調整できるほか、冷却液の温度を 98°C ~ 108°C の範囲に慎重に調整できます。
(ヒータエレメントは下の図でいうと 48 が本体、R48 が電極コネクタです。MEからの電気信号で 48本体が熱せられて、48bのバルブ開度を可変で変更する仕組みです。
従来型のサーモスタットは弁体のOn/Offによる流量切替しかなかったのに対して、可変流量制御を実現するという「野心的かつ故障率が向上する恐れがある」構成です。)

冷却水サーモスタットには、冷却水の流れを制御するための回転スライドバルブ (48b) があります。ワックスエレメントは、ME-SFI ユニットによって制御されるエレメント R48 からの加熱に応じてバルブを動かします。
パワー トレイン コントロール ユニットは、電動冷却ファンを制御します。
パルス幅変調 (PWM) 信号を使用して、ファン速度をオフ (10% PWM) からフル スピード (90% PWM) まで変更できます。
これらの値がそれぞれ 0% と 100% の2値ではないのは、診断を可能にするためです。PWM 値が 10% 未満または 90% を超えることは決してありません。もしそうなった場合は、どこかに障害があります。
(少し解説すると、このようにすることで0%なら恐らく回線断、100%の場合は
システム異常という風にしていると思われます。)
問題が検出されると、ファンは最高速度で作動します。
ファンは、キーオフ後、エンジンを冷却するために最大約 5 分間、PWM 設定 40% で作動しますが、バッテリー電圧が低すぎる場合は、この動作が抑制されることがあります。安全のため、ボンネットを開ける前に少し時間を取ってください。
(↑少し意味不明です。恐らくボンネットは開けてもファンには直接触れないので大丈夫ですが、「ファンは回転中だからエンジン停止直後にメンテナンスする際は気をつけろ」という意味でしょう。)
エンジンの過熱が検出された場合、発熱を抑えるためにエンジン(バルブ)タイミングが遅らせられます。
仕様によると、この調整はエンジン冷却水温度 90°C、給気温度 20°C 付近で開始され、エンジン速度と負荷に依存します。
ワイドオープンスロットル (WOT) を想定すると、冷却水温度 100°C、給気温度 20°C では 2° CKA (クランクシャフト角度) の遅角が予想されます。
冷却水温度 100°C、給気温度 60°C では 8° CKA の調整が予想されます。
冷却水温度 125°C、給気温度 60°C では 11° CKA が予想されます。
(ごめんなさい。バルタイ制御は全然わかりません。進角・遅角でどう出力に影響があるのかは勉強します...)
という訳で、第1回はここまで。