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イイね!
2011年05月17日

被災したクルマたち その2、被災者ならではの卓見







 東日本大震災で被災されたジャーマンボーイさんのところを訪れて一ヶ月が経過した。その後の様子などは、彼のみんカラブログに詳しく報告されているので、ぜひ一読されることをお勧めします。
 買ったばかりのBMW120iが津波に流され、レストアを試みたが、紆余曲折あってスクラップにせざるを得なかったのはさぞや無念だったでしょう。
 でも、彼は挫けなかった。ネットで探した同じグレードの120iを即座に買い求め、乗り始めている。心意気のあるクルマ好きなのである。

 彼の体験談の中で、どうしても書き留めておきたかったものがあった。
 被災した直後、どのガソリンスタンドに行けば給油できるのか、どの給水場に行けば水を分けてもらえるのか、まったく情報がなくてみんな困った。携帯電話はつながらないし、インターネットにも出ていない。クチコミだけが頼りだ。
「そういう状況だと、コミュニケーション能力が問われるんですね。“自分が何者で、何を求めていて、どういう状況にあるのか”を、わかりやすく、誠意を持って、言葉によって知らない人に伝えなければいけない」
 感情の機微を伝えにくいパソコンや携帯メールでばかり他人とやりとりしていたら、なかなか身に付かない能力だ。
「どこに行けばガソリンや水が手に入るかなんて、あの状況下では誰も知らないんです。さっきはあったけど、もう品切れになっているかもしれない。勘を働かせて探すことになるのですが、それは、それまでバーチャルなコミュニケーションばかりしていた人には、なかなか見付からなかったでしょうね」
 パソコンや携帯メールなどは非常に便利なものだが、その前提条件が崩れてしまった東日本大震災のような状況下では役に立たない。人間の素の状態、原始の状態に戻ってみなければならなかったと、ジャーマンボーイさんは強調していた。
 もうひとつ彼が語っていたことで印象的だったのは、地域やコミュニティの有り難味だ。
「震災まで、我が家では大型スーパーで買い物をしていました。一円でも安いものを求めて、クルマで郊外の大型店に出掛け、まとめて一週間分の食料品を買っていました。でも、震災ではそうした大型店が頼りにならないことがよくわかりました」
 大型店では、震災前に仕入れられた野菜や肉、魚などのたくさん食材が残っていたにもかかわらず、売ってくれなかった。“まだ停電していて、バーコードリーダーが読み取りできないから”というのが、その理由だった。あまりにも、杓子定規だ。そのままにしておいたら腐ってしまうだけなのだから、困っている被災者に分けるべきではないかと、誰でも思うだろう。
「僕も最初は呆れましたけど、大型店の従業員もサラリーマンなので、仕方がないですよね。会社の許可がなければ、勝手なことはできませんからね」
 「腐りかけた食品を売るのか」とゴネるクレーマーの出現を、極限下にあっても大型店は怖れるのだろうか。あまりにも杓子定規な上に、“自分だけは面倒には巻き込まれたくない”という発想ではないか。
「まったく対照的だったのが、もう、ウチは買い物に行かなくなってしまっていた、近くの商店街の肉屋さん、八百屋さん。彼らも被災者なのに、“50円でいいから、悪くなっちゃう前に持っていって”とか、“タダで構わないから”とウチに分けてくれました。頭が下がる思いでした。地域、コミュニティの有り難味、個人商店の底力に感謝ですよ。いかに大手が頼りにならないかがよくわかりました」
 大型店の存在意義を否定するものではないが、地元での消費というものも大切なのだと、ジャーマンボーイさんに教えられた。




 


ブログ一覧 | 被災したクルマたち | クルマ
Posted at 2011/05/17 23:43:48

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この記事へのコメント

2011年5月17日 23:49
とんでもない状態ですね
最近ではテレビでの被災地の情報も少なく
なって来てます。
一日も早い復興を願います。
コメントへの返答
2011年5月18日 0:16
同感です。
2011年5月18日 0:02
スーパーと八百屋の話があまりに印象的でした。
私たちの生活を便利にしているように見えているものが、実はこういう非常時には全く役に立たなくなるという現実を今回の震災で思い知らされたような気がします。
節電云々の話を抜きにしても、一度自分たちの生活を見直す必要がありそうですね。
コメントへの返答
2011年5月18日 0:19
結局、「ひと対ひと」が大切なのだと思いました。

誠意を持って、ナマの言葉で伝えることの大事さが僕もわかりました。
2011年5月18日 0:02
確かに大きな教訓を残した災害であると思います。
原発の問題にしても行き過ぎた利潤追求は災いをもたらすということですよね。
利用してきた私たちにも責任の一端はあるのですが…。
コメントへの返答
2011年5月18日 0:20
“利潤”や“便利”の背景と理由を、よく理解したいですね。

ユッケもそうですが。
2011年5月18日 1:35
こんばんは!
金子さんの記事(ブログ)には
毎回 ビックリさせられますね
(良い意味で)

最初のグニャグニャになった車の写真
たぶんTOYOTA サーフだと思いますが...
言葉も有りません(泣)

大型スーパーと地元商店の接し方の違い
地元の人の 『絆』 ですね!

自分も、震災後
ガソリン不足だった一週間
仕事用の車が燃料が無くて困りました

地元の小さなスタンドが
より多くの人にガソリンを分けたいからと
1台=10Lだけ売ってくれました
ありがたく思ってます....

正常化した今も
感謝の意味で、そこで給油しています!
コメントへの返答
2011年5月18日 6:38
フレーム付きシャシーを持ったクルマがこんなになってしまうなんて、いかに津波が強力だったかがわかります。

ウチの近所のスタンドでは、メーターを確認して「半分以下しか残っていないクルマ」を優先して給油してくれていました。
2011年5月18日 5:24
おはようございます♪
お友達お誘いありがとうございます^^

震災で被災された方々にお見舞いを申し上げると共に1日も早い復興を願うばかりです。

自分も大手スーパーで買い物をする側ですが昔は商店街で買い物が当たり前でしたよね!
人と人が面と向かってコミュニケーションをする場所でも有りましたよね~

スーパーでは無い光景でもありましたね。

被災地の復興にも自分も出来るだけ協力していきたいと思っています。
コメントへの返答
2011年5月18日 6:42
teru蔵さん、コメントありがとうございます。

面と向かったコミュニケーションが面倒臭くなってしまう時もありますが、大切にしたいと思います。
2011年5月18日 7:26
ジャーマンボーイです
記事化感謝申し上げます〜

震災から二ヶ月越、、、、
復興にも極端な温度差が出て来てます。
政府の対応、それにつられる形で、
自治体の窓口の混乱、、、

現在でも申請の複雑さ、
対応の混乱、遅さにより、
失ったクルマの処理が出来ていません。

残念ながらこの複雑な日本国のシステム、
一般のドライバーは申請すらムリでしょう。

せめて、ご覧の方、お友達には、
申請方法を教えてあげようと考えます。

コメントへの返答
2011年5月18日 7:53
ジャーマンボーイさん、お察し申し上げます。

ぜひ、ご体験とお知恵をお知らせ下さい。
2011年5月18日 8:12
おはようございます。
言葉が出ないですね・・・
でも!この様な時こそ皆で出来る事や
協力する事しないといけないですね。
今の国の考え方どうにかならないのですか?
野党だの与党だの言ってないで、
国全体で動く時じゃないの?
被災された方々に一日も早い復興を申しあげます。
コメントへの返答
2011年5月18日 17:13
復興のために、被災者の方々へ協力したいですね。
2011年5月18日 8:38
おはようございます。
私が被災地に行ったのは、
地震発生から約1週間のときだったのですが、
自分の身を守りながら支援物資を運んでいたため周りを見る余裕が殆どありませんでした。

最近では報道などのメディアでしか見ることが出来ませんが、
これからも「自分の出来ること」をやっていきたいと思います。
コメントへの返答
2011年5月18日 17:13
僕も、自分にできることを続け、協力したいと考えています。
2011年5月18日 12:38
こんにちは。

自分も津波で愛車が流されました・・・・

あれから、2ヶ月未だに発見出来てない状況

管轄の部署にても、分からないとの見解で・・・

どうしてらよいか・・・

コメントへの返答
2011年5月18日 17:14
お気の毒です。

再会できることをお祈りいたします。
2011年5月18日 16:01
そんな中で、

俺は近所のスタンドの親父に「特別満タンにしてもらった」とか、お店の人に玉子を「特別安く沢山わけてもらった」と、どういう意図なのか「特別」を吹聴したがる人が居ますが、どうも好きになれません。

また企業でもボランティア活動の社内規程化をするところが増えました。
いいことだと思います。

規程に則って被災地に赴くのはいいのですが、
有休のつもりで参加したり
ピースサイン出しながら被災地をバックに記念写真撮って帰ってくる連中は気持ち的に受け入れ難いです。
コメントへの返答
2011年5月18日 17:17
必要としている人たちに、ボランティアの力が行き渡るようになるといいと思います。
2011年5月18日 20:35
こんにちは。
テレビやブログで見掛けた被災車を見ると、車好きの私には心痛いですね。
津波で流されてる車を見たときは、言葉が出ませんでした。

大事な愛車を津波で流されたオーナーさんに1日でも早く素敵な車に出会うことを願いたいですね!
コメントへの返答
2011年5月18日 22:17
こんにちは。

僕も、新たなクルマに出会えることを願っています。
2011年5月18日 20:39
 
 コメント失礼いたします。 

先日はお友達のお誘いありがとうございました。 


便利な物は物凄くデリケートだ、という事を教えてくれたと思います。

地域の大切さ、直接、人と人とのつながり、失われかけていることではないか とここ数年強く感じます。 

私は、古くさい奴なので、少々高くても地元の店を利用していますが、やめるところは少なからずありますねぇ。

顔を覚えてもらえば融通が効いて便利なのですけどね・・・。 
コメントへの返答
2011年5月18日 22:16
こちらこそ、「イイね!」をありがとうございました。

「便利なものにはワケがある」ということを忘れないでいたいものです。
2011年5月18日 23:34
こんばんは、金子さん。
私は英語を教えていますが、先日キッズクラスで子供が
"No, I can not.! というフレーズをもじって
"No, I カンナオト."と言っているのを聞きました。

海の向こうの大統領の決め台詞が "Yes, I can." である事を考えると
なんとも深いダジャレだと、感心してしまいました。

被災地の方々の車は、“Yes,Ican." で、迅速に対処していただけると良いですね。

コメントへの返答
2011年5月18日 23:54
コメントありがとうございます。

Yes,we canで行きたいですね!
2011年5月19日 7:31
おはようございます。

直のコミュニケーション能力。
これは最近、幼稚園のパパママにも言えます。

ほぼ同世代なのに普通にコミュニケーションができる人と
全くできない人がいることに驚きました。
挨拶すら満足にできなくて常に携帯をいじっている方を見ると
空恐ろしい感じがしました。
その親のお子さんは推して知るべしで、この時点で
将来が危ぶまれます。

仰る通り非常時は「全ての便利が失われる」ことを
忘れないようにしたいですね。


コメントへの返答
2011年5月19日 9:55
おはようございます。

幼稚園でも、そういう状況ですか。深刻ですね。

「コミュニケーション能力」とは、自分にまとわり付いている肩書きや立場などをいったん捨てて、言葉と態度だけでどれだけ自分を相手に理解させられるか、ではないでしょうか。

エラぶってはダメだし、もちろん卑屈になる必要もない。受け取る方も同様ですね。
2011年5月21日 0:11
こんばんは。

なかなか、現場に遭遇しないとわからないことばかりですね、

それにしても、どの写真に写っているクルマたちをみてみると、津波にはとんでもない破壊力があった、ということですね。 なんでまた、あんなにも丈夫にできている工業製品がむざんな姿になるとは。。。想定外だけは、語りつくせないことだらけなんでしょうけど。。。
コメントへの返答
2011年5月21日 1:10
こんばんは。

コメントありがとうございます。

現代のクルマのほとんどはモノコックボディですから、ある程度以上の力が加わるとテイッシュペーパーのようにクシャクシャになってしまいます。それは、事故の際に衝撃を吸収するためです。

ジャーマンボーイさんによれば、津波の破壊力(質量×速度)が凄まじかったために、あのような惨状が起きてしまったそうです。

まさに、想定を越えた力だったのだと思います。

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