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イイね!
2011年06月10日

ロシアの税制が変わって、高岡の町と伏木港はすっかり変わっていた






 2003年8月1日に、富山県高岡市の伏木港から自分のトヨタ・カルディナと一緒に、ロシアのフェリー船RUS号に乗り越んだ。3日後にウラジオストクに上陸し、そこからユーラシア大陸を横断して、ポルトガルのロカ岬まで旅をしたことがある。
 旅の様子はホームページに掲載してあるので、よろしかったら、ぜひご覧下さい。

http://www.kaneko-hirohisa.com/column_01_menu.htm



 その高岡を再び訪れました。旅を無事に終えられたお礼参りを関野神社へ済ませ、手続きを代行してもらった伏木海陸運送株式会社の担当Kさんに挨拶して、彼に伴われて港を再訪した。
 港も様変わりしていた。RUS号が接岸していた埠頭の真ん中にはフェンスが張られ、警備員が常駐していた。ソーラス条約という国際条約によって、管理を強めることになったそうだ。僕らがここから出航した時には、だだっ広い埠頭の端に大型トラックを改造したキオスクが店を出して、酒やタバコ、家電製品や日用品などを旅人とその見送りの人々に売っていたほど、誰でも入れるのどかな空間だった。
 拡充された新しい埠頭には、リサイクル素材として中国に輸出されるスクラップ鋼材やタイヤチップの巨大な山が築かれていた。工作機械や精密機器などの輸出額も急増している。
 いまは、もうRUS号は来ていない。伏木港とウラジオストク間の定期航路がなくなってしまったからだ。2007年にロシアの自動車税制が変更になり、2009年から輸入中古車に掛けられる関税が約2倍となり、日本からの中古車輸入台数が約10分の1に激減した。
 改正前は、5万円以下の中古車は手荷物扱いでひとり3台まで簡単な書類手続きだけで日本から持ち出すことができていた。だが、関税が2倍になってしまっては、割に合わなくなるから、ロシア人バイヤーは安い中古車を買わなくなってしまった。
 RUS号にも、僕らのカルディナと一緒に多くの中古車がデッキにまで積み込まれていたほどだ。



 しかし、そのビジネスがなくなってしまったから、伏木港とウラジオストク港を結ぶ定期航路が休止されてしまったのだ。
 伏木港からロシアへの中古車は、規模が小さいながら続いている。かつてのような“5万円以下”というクルマではなく、程度の良い、高価格のものが不定期船に積まれて輸出されるべく、保税スペースに並べられていた。コンパクトカーやライトバンなどの中で目立っていたのは、新車に近い左ハンドルのランドクルーザープラドだった。ランクルやプラドのロシアでの人気は変わらないようだ。

 港を出て、高岡や伏木、新湊などの幹線道路を走ってみたら、この辺りに店を開いていたロシア人業者相手の中古車店もほとんど姿を消していた。Kさんによれば、その8〜9割はパキスタン人業者だったという。
「彼らは商売上手でしたよ。みんな、日本語、ロシア語、英語がペラペラで、買い集めた中古車を売りさばいていましたから」
 国道8号沿いには、ロシア語の看板を残したまま、出入り口を鎖錠でロックした中古車店が残っていた。たくさんの中古車が並んでいたスペースには、いまは雑草が生えているだけだった。
 その並びで営業しているインド&パキスタンカレー店「カシミール」は、老若男女の客で満席だった。ランチのチキンカレーセットは焼き立てのナンとともに、とても美味でした。
 ロシアへの中古車輸出が激減したのと入れ替わるように、伏木港からの輸出の主役は中国への資材になった。初夏の陽射しがまぶしい埠頭の様子が、時代の変化を物語っていた。
 東京から往復したのは、ボルボV60 DRIVe。1.6リッター直噴ターボ+ツインクラッチATは十分なパフォーマンスを発揮してくれ、850kmの行程も苦にならなかった。高速道路5割、一般道3割、山道2割の総平均燃費は12.2km/L。各種操作がハンドル上のスイッチとパネルで行えて、そのロジックが明解で使いやすかった。
ブログ一覧 | ロカ岬 | クルマ
Posted at 2011/06/10 13:34:43

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この記事へのコメント

2011年6月10日 13:40
国を中心として色々な思惑があるのは分かりますが、自動車は走ってナンボの世界ですから、国が違えど世界のどこかで誰かのために走っていることが幸せなんですよね。その仲介役として商業を営む者が出てきても合理的ですし、法や秩序の範疇で行えば問題ないのですから・・・。

ちょうど今日のブログで似非エコブームに一石を投じたばかりですので、何だか考えさせられます・・・。
コメントへの返答
2011年6月10日 19:05
少なくとも、バイカル湖以東では、乗用車の9割以上が日本車でした。

「なぜ日本人は、あまり走っていないクルマをどんどん買い替えるのか?」

道中、そのようにロシア人に何度も質問されました。
2011年6月10日 13:45
栄枯盛衰..。

時の流れ、ですなー。

コメントへの返答
2011年6月10日 19:03
極東シベリアで、日本からの中古車を必要としている人々がどうしているのかが気になります。

ヨーロッパから買ってくるのにはコストが掛かり過ぎて、割に合いませんからね。
2011年6月10日 14:03
全て人間が考え、行動していることですから、時代が変わったと言いくるめてしまうには些か抵抗感を覚えます。

ただ・・・どうにかなりませんかね?色んな問題・・・。
コメントへの返答
2011年6月10日 19:01
人間が存在している限り、“問題”はなくなりませんからねぇ。
2011年6月10日 14:16
関税はいろんなとこへ波及してますね。

TPPに加入するかいなか・・・

加入すれば農業に打撃・・・加入しないと輸出業に打撃・・・(で合ってましたよね??)

ドッチについても現状の日本には打撃的なこと

ドチラを守るか・・・・これの手腕が問われますね。
コメントへの返答
2011年6月10日 19:00
限定的な例でしたが、関税が社会と経済に与える影響をまざまざと見せ付けられました。
2011年6月10日 14:32
そんな定期便があったのですね。
ちょっと調べてみましたが、
チャーターされたときと、定期検査のドック入りの際は定期便が運行になるなど
のんびりした航路だったみたいですね。
ちなみに、RUS号(極東船舶会社-ウラジオストック)は、定期航路の消滅とともに同国の別会社に売られてしまったそうです。(wikipedia)
コメントへの返答
2011年6月10日 18:59
情報、ありがとうございます。

「RUS号は、どうしているのかな?」と、僕らの話題にも上っていました。
2011年6月10日 14:39
国が発展していくと税金が高く成るのはどこの国も一緒ですね。
コメントへの返答
2011年6月10日 18:57
おっしゃる通りです。
2011年6月10日 15:43
こんにちは、のっけからですが
すいません!ブログの内容よりもユーラシア電送日記を読み耽ってしまいました・・・ッ!

なんだか、とっても壮大な旅で、トイレに石鹸が常備されていない程度で
肩を大きく落とす自分には到底成しえない長旅だなーってヒシヒシと思いました。

やはり、ロシア人の方々は不思議というか
つっけんどんなんですけど、仲良くなると異常にフレンドリーなんですよね

また、ワイロをステッカーで納得しちゃう警官にも驚きました。
モータースポーツなんて浸透して居なさそうな極東ロシアでも
やっぱりああいったモータースポーツっぽさのあるグッズは
知名度があるもんなんですねー

金子さんのユーラシア横断記を読んだら
北海道縦断とかやってみたいな~なんて気持ちがちょこっと芽生えました(笑)
コメントへの返答
2011年6月10日 18:56
ありがとうございます。

道中、僕も同じ疑問を抱いていました。

なぜ、ロシア人は愛想が悪いのか?
知り合うとフレンドリーなのに、特に、サービス業に携わる人たちは、ニコリともしません。

しかし、通訳を介して質問してみたところ、その回答に合点が行きました。

「サービスは真剣にやらなければならない。愛想笑いなど、マジメに奉仕していない証拠である」

ロシア人といっても、さまざまな民族で構成されています。極東シベリアのウランウデ市などは、モンゴル系の人たちばっかりで、どこか東北の町に来たようでした。

北海道縦断の旅は、気持ち良さそうですね。
2011年6月10日 17:53
金子さんならではのレポートですね。
コメントへの返答
2011年6月10日 18:50
ありがとうございます!
2011年6月10日 17:59
こんにちは。
blogのタイトル全く無視のコメントですいませんm(__)m
1.6リッターしか乗ってませんか?V60T6SEが気になります!
コメントへの返答
2011年6月10日 18:49
こんにちは。
関係なくても、大丈夫ですよ(笑)。

しかし、あいにくと1.6リッターしか乗っていません。同じエンジンが積まれたV70が気になります。
V60T6SEよりも。
2011年6月10日 18:07
ロシアだとやっぱり四駆が一番人気なんですか?
コメントへの返答
2011年6月10日 18:47
ステイタスシンボルはランクルですが、RAV4なども人気です。
2011年6月10日 18:15
ユーラシア電送日記は本当に面白かった。
毎週末、楽しみでした。あの後、あんな楽しみな記事はありません。
自分も定年を過ぎたらやってみたいと思わせてくれました。
(まあ、無理だと思いますが)
夢のある企画っていいですよね!

とはいえ、現実はつらいものです。まあ。
コメントへの返答
2011年6月10日 18:46
ありがとうございます!

ぜひ、zagato147さんもやってみて下さい。
無理ではありませんよ。

記事に書かなかったこともたくさんありますので、ご協力できることがありましたら、情報提供させていただきます。
2011年6月10日 20:24
儲かってると判れば押さえ込みにかかる、、、
どこの国でも一緒なんですね、、、
寂しいもんですね。
コメントへの返答
2011年6月10日 20:31
安価な中古車が日本から入ってこなくなると困る人たちが大勢いることは明らかで、デモや激しい抗議行動も行われています。

ある種の政治的バランスに変化が生じると、税制も再び変更されるようなことになっても不思議はありませんね。

ロシアの中古車ビジネスを見ていると、そんな気がしてきます。


2011年6月10日 20:32
8年くらい前に自動車解体業界にいたころは引っ切りなしにロシア人、パキスタン人が車をその頃いた埼玉県内の解体屋買いに来ていました。

私も実際、ロシア人が買った車両(セイバー)を高速を使わず下道で7時間かけて新潟の西港に運んだことがありました。

ロシア人は今でも車ではなく中古部品は買っていくようです。昔のようにアルミの箱がついた8トン車のをオートオークションで購入してそれを解体屋に持ち込みその中いっぱいに中古品を買っていくようなことはしていないと思いますが・・・。

あんなにいたロシア人もパキスタン人も今はどこに行ってしまったのかというくらい見なくなりなんとなくさみしいです。金子さんのブログを読んでいて昔が懐かしくなりました。
コメントへの返答
2011年6月10日 20:37
やっぱりそうでしたか。

高岡の町や伏木港でもロシア人はたくさんいて、ロシア人相手の店も多く見掛けていましたが、一昨日はひとりも会いませんでした。

パーツの輸出は、たくさん行われているようです。
2011年6月10日 20:50
こちらに来ておられたのですか!

段々 国道沿い(射水市辺りに沢山店開きしていたロシア中古車)も段々高級車になり、私の車より高そうなやつが 並ぶようになり そして いきなり閉鎖される店が。

色々周りの住民とのトラブルもありました。

共産圏に慣れてしまったロシア いきなり法律が変わるからね(中国も同じ!)

ナカナカ 環日本海時代の幕開けにならない 富山湾です。

今度来られる時は 是非ご一報を!!
コメントへの返答
2011年6月10日 21:07
環日本海時代!

伏木港で見た、富山県製作の地図が、日本海と日本をロシア側から見た、環日本海を表現したものでした。

中古車がたくさん売れていた頃は人々の交流も活発で、お互いの中学生をホームステイさせ合ったりしていたそうですね。

また、交流が活発になるといいですね。

次に訪れる時には、ぜひ、連絡させていただきます!

2011年6月10日 23:43
富山県人です。
昔は値段のつかない下取り車でも、ロシア人が数万で買っていくと言われてました。
今は新車同様のランクルやアリオンが、たくさん国道沿いに並んでいて、いったいどこから仕入れてくるんだろうと思ってました。
環日本海時代、政治家が必ず選挙の時言ってますがなかなか来ませんわ。
コメントへの返答
2011年6月11日 0:22
ブラゴベシチェンスクという町で会った中古車ブローカーのイーゴリは、「どんなに走行距離の多い中古車でも、日本車ならば仕入れ値の3倍で必ず売れる」と言っていました。

彼はウラジオストクで仕入れたいすゞキャンターを、自走して6000km彼方のボルゴグラードの顧客に届けに行く途中でした。
2011年6月11日 2:22
こんばんは。
何年か前にロシア向けの中古車輸出ビジネスの話をテレビで見ました。
その時は数多くのロシア人がビジネス活動しており、そうしたロシア人向けの店があったりと独特の光景が広がってるのが描かれてました。

自分の勤務先にもロシア向けに輸出するタイヤを買い付けに業者が来てました。

最近は来ないな、と思ってたらそんな事情があったのですね。
コメントへの返答
2011年6月11日 10:31
ヨタ郎さん、おはようございます。

そちらでも、ロシアからの注文が来ていましたか。

タイヤは消耗品なので、また来るかも知れませんね。
2011年6月11日 10:57
ユーラシア電送日記すごく面白いです。
ステッカーのご利益にもびっくり(笑)。ロシアにそんな素晴らしい面があったとは。何事もやってみなければわかりませんね。
自分も商売あがったりになったら超長いを自動車旅行をしてみたいものです。中国も外国人が自由に走れるようになったらかなりGTの楽しい国になるんじゃないかなぁ、なんて期待してます。
コメントへの返答
2011年6月11日 13:31
ありがとうございます。

電装日記に書き切れなかったことを、いま、少しずつまとめ直しています。その時はお知らせいたしますので、また、読んで下さい。

中国は、カザフスタン国境から北京まで横断したことがあります。とても面白かったですよ。

ぜひ、旅立ってみて下さい!
2011年6月12日 21:19
まさに射水市に住んでいるので、日記を興味深く読ませていただきました。
R8沿いや射水市にある、海外へ送られるであろう車のお店が近年激減しているのは、その様な背景があったのですね。
それでも新湊へ行くとロシア人は多く、外国人慣れしていないのでやはり怖いなぁというイメージはあります。
ニュースでも度々その類のお店のトラブルが報じられていたりしました。
お店が減る事は正直地元住民からすると嬉しい事です。
ですが、ビジネス(政治?)の観点から考えると、射水市にとってそう良い事ばかりでもないのかもしれませんね。

カシミール、おいしいですよね笑
V60もかっちょいいです。
コメントへの返答
2011年6月12日 21:31
ありがとうございます。

あの美味しさならば、カシミールが満員なのも納得できました。

今度は、晩ご飯を食べてみたいですね。
2011年6月13日 21:21
「カシミール」行ったのですね。
ボクも行ったことあります。このボリュームで値段は安いですね。
コメントへの返答
2011年6月13日 21:34
味も、スパイシーで最高でした!
2011年6月14日 1:26
初コメ失礼します!!

去年の大学のインターンシップで伏木海陸運送さんにお世話になり、ロシア向けの中古車の輸出入の現場も見学させていただきました。(新型のハイラックスや左ハンドルのMTのトライトンなど日本では見れない車が沢山ありました)

他にもソーラス条約の話や、新港ができる前の昔の伏木はもっと栄えていたことなども教えていただきました。

ブログに書かれておられる通り、最近の富山はパキスタンの方が増えてきてますね…

去年のインターンシップで学んだ事がブログで拝見できたので、何だかスゴく懐かしくて嬉しいですw
コメントへの返答
2011年6月14日 1:38
コメントありがとうございます。

がんばって勉強して下さい!

スペシャルブログ 自動車評論家&著名人の本音

プロフィール

「予定調和的なオリジナル至上主義に陥っていない 10年10万kmストーリー 第92回 ポルシェ911カレラ(1995年)25年5万5000km http://cvw.jp/b/877318/47661012/
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金子浩久です。よろしくお願いします。 クルマとその周辺のことを書いています。 詳しい自己紹介は、ホームページをご覧下さい。 http://ww...
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