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惰眠のブログ一覧

2007年09月12日 イイね!

冗談から駒(笑)

冗談から駒(笑)とのちゃん。さんが9月10日付のエントリー『えっと・・・安倍さん、日本語がおかしいでしょ??? 』の中で「安倍首相が語った「職責にしがみつく」という言葉です。「職責」とは「果す」とか「全うする」か「放棄する」ものであって、しがみつくものではありません。」とお書きになっていたのを受けて僕はコメントに「そやけど案外、本気で「職責に」しがみつく気がないのかも知れないですよ。政権ほっぽり投げ。後は野となれ山桜。よきに計らえ、ボクはもう知らないもーん。」てなことを書いた。それが昨日のこと。

 そしたらまあ、ホンマに政権放り出しちまいましたよ、あの男。辞意表明の速報を受けて東京株が百何十円急反発したと言うニュースに腹を抱えて笑っていたら、次いで入ってきた話「安倍総理は自民党首脳に『自分には求心力がない、代表質問には出られない』と辞意を語った」と笑いの追い撃ち。ニュース見てた職場は大爆笑。
 いい歳した大人がだよ、「みんなに見捨てられちゃったからもうヤダ!」とは……。開催予定だった本会議も、ドタバタで流会手続きがとられ始めたらしい。根回しもなんもなしかい。

 昨日の所信表明演説はなんやってん。マスゾエさんが眦決して取りかかった年金横領問題とかどない始末つけんねん。政治家やったら辞めるときにゃちゃんと支度してからにしとかんかい。細川護煕やあるまいしイキナリ「やーめた」ってなんやねん。よぉまあ、こんなのが政権担当しとったもんや。

 ま、直近では党内的に総裁選をせんとならんだろうけど、国会的には内閣総辞職⇒首班指名の流かな、と思っている。スジからすれば解散・総選挙にはならんでしょう。「誰も僕についてきてくれないから辞めるんだもん!」なんてこと理由にしてる奴が「衆院も解散じゃー」なんてやったら、突っ込みどころありすぎて選挙ボロ負け必至だから。

 しかし、ホンマどーすんのやろ。村山富市社会党委員長を首班指名して自社さ連立政権を樹立したようなウルトラCをやったりするんだろうか。そんなんで「内閣総理大臣・小沢一郎」とかなったら、それは瓢箪から――じゃないや、棚から牡丹餅だろうなぁ。
Posted at 2007/09/12 13:55:24 | コメント(6) | トラックバック(0) | 事件・事故 | 日記
2007年09月07日 イイね!

橋下さん、あんたもう弁護士バッジ外せ。

橋下さん、あんたもう弁護士バッジ外せ。Yucky氏のエントリーにつけたコメントの大幅加筆修正ですが、内容上、自分のエントリとして上げて置く方が妥当だと考えたので)

 最初に、状況を整理しておく。
山口県光市で'99年に発生した母子殺害事件の裁判は、一審の山口地裁と二審の広島高裁は、検察側の死刑求刑に対して無期懲役の判決を下した。これを不服とした検察側が上告、最高裁は控訴審判決で広島高裁の裁判官が認定した程度の情状内容では死刑を回避する理由にはならないとして広島高裁に差し戻した。
 当初被告側は殺人罪を適用した起訴事実に関しては争わなかったが、上告段階で交代した弁護側は従前の弁護方針を転換、検察側提出証拠の再鑑定を依頼するなどした結果「本件事件に適用される罰条は殺人罪ではなく傷害致死罪である」との主張を行うようになった。

 これだけならば、途中から主張をコロコロ転換する被告人を裁く公判として、比較的よくある事例の一つに過ぎない。ところが上告審から弁護を引き受けた安田好弘弁護士が(やらなきゃいけない義務があるわけでもないのに)記者会見をして弁護側立証の杜撰さを批判するだけに留めときゃいいものを、傷害致死を主張する根拠として被告人の言い分(常識的には到底受け入れられないような内容の)を開陳したりなんかしたもんで、法廷の外――世間一般と言い換えてもいい――に激烈な怒りの旋風を巻き起こした。

 僕に関する限り、この会見の模様を報ずるニュースを見て思ったたのは「うっわー、説得力ねぇ~。こんなリクツで殺意(検察主張)を否定するのは無理だわ」だ。まあね、確かに証拠に基づいて犯行の状況を再現すると言うのは三題噺にも似て、同じ材料から違ったストーリーを構築することは可能なんだけど、よくできたストーリーもあればお粗末極まるストーリーもあるわけで。

 湧き上がった感情については敢えて述べない。胸糞悪すぎて、僕のボキャブラリじゃ表現しきれないからだ。日本の刑事司法制度が要求する法の正義の実現のためには勿論、たとえ極刑に処すべき犯罪者であっても――否、極刑が予想されるならばなおのこと――手順を踏んでその言い分を主張させなければならないのだけれども、このときばかりは「二度とものを言うんじゃねえ」と思った。
 単に被告人の舌を引き抜いてやりたいとと思ったのみならず、最初から大嫌いな安田弁護士を、今までにも増して嫌いになったことも確かである。ま、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いなのだと言うことは判っていても、感情が湧いて来るのを抑えるのは中々できないものである。

 それはそれとして。問題は、この次に「世間」で起こったことだ。
大阪弁護士会に所属するタレントの橋下徹弁護士が大阪ローカルのテレビ番組で、安田弁護士をはじめとする被告人側弁護士は「弁護士の品位を汚すべき非行」を行っているからと、弁護士懲戒請求の申立を奨励した。これはいかん。どんなに腹が立とうが、それはマチガイなのだ。少なくとも法律家が口にすることではない。

 どういうことかと言うと、弁護士懲戒制度の仕組みは刑事告発制度とほぼ同様の運用をするもので、犯罪事実を知った者は何人(なんぴと)でも刑事告発を行うことができるのと同様に、弁護士の非行を知った者なら誰でも(=年齢や性別、職業や資格、国籍等々によって制限されることなく)懲戒を申し立てられる。
 しかし刑事告発が、犯罪事実がないのに行ってはいけないのと同じで、弁護士懲戒制度もきちんと非行事実の証拠・根拠を添えなければいけない。何が非行に該当するのか最低限の知識がないと、請求したことで逆に業務妨害や信用毀損などの犯罪になってしまう。そして、それだけの材料を当事者(今回で言えば事件担当の検察官と裁判官、被告本人の三者)以外が準備できる可能性は、きわめて低い。

 ところで、具体的にどういう行為が「弁護士の品位を汚すべき非行」にあたるかも問題になる。実はこれに関しては、明文の規定がない。ないのだが、通常『弁護士の品位を汚すべき非行』とは、犯罪行為を行ったとか不法行為に手を染めたとか依頼した仕事をちっともやらないで損害を与えるなど、弁護士が被告として法廷に立たされるようなケースを指す。所謂『悪徳弁護士』ってやつだ。
 いずれにせよ刑事訴訟法に則った被告人弁護の活動が「品位を汚すべき非行」に当たることなどありえない。

 また公判期日のすっぽかしに関しても、これが本当に重大な行為ならばまず訴訟指揮に当たる裁判官が動くし、先にも書いたとおり「懲戒に値するほど悪質なすっぽかしかどうかを判断する証拠」を、当事者ならざる立場で立証するのはまず不可能である。
 
 橋下氏は先日の記者会見で、被告人弁護側が弁護方針を転換したことについて国民一般に対して説明がなされていないことを指摘して、これが品位を汚すべき非行であると言っているようだが、この言い分は論外だ。
 そもそも刑事裁判とは、裁判官に対して被告側もしくは検察側が自陣営の主張の正当性を訴え受け入れてもらい判決を得る場であって、そもそも国民一般に向かって説明を行うものではない。被害者本人や被害者遺族でさえも、裁判の当事者ではないのだ。まして、国民一般に当事者性など全くない。裁判の当事者ではない相手に向かって説明を怠ったから懲戒に相当するなどとは、呆れ果てて言うべき言葉もない――ではなく「橋下さん、アンタもう弁護士バッジ外せ。」だ。

 橋下理論でいくと、マスコミで大々的に報道されるような世間の関心が高い事件の被告人を本気で弁護すること=懲戒対象となりかねない。世間の感情に阿った弁護しかできなくなる。刑事裁判では、検察側と被告人側に圧倒的なパワーバランスの不均衡があるので弁護士なしでの法廷開催はできない決まりになっているのだが、それでは刑事裁判そのものができなくなってしまう。どうも橋下氏はそれでも構わないと――憲法の定めをないがしろにしてかまわないと――会見で発言したようだが、これはもう法律家として全く不適格と言うほかない。

 刑事司法において「法の正義を実現する」というのは、検察にあってはあらゆる証拠を駆使して被告人の犯罪行為を立証し、弁護士にあってはトコトンまで被告人の言い分を代弁する、その裁判全体を通じて、最終的に達成される。法曹三者の内どこか一角だけが「社会正義」を実現するものではない。
 そこんとこ勘違いしたまま「法律家として」なんて言っちゃう橋下氏には、ホントご退場願いたい。つーか、大阪弁護士会宛に懲戒請求出しちゃおうかなあ。この件に関して言えば、記者会見における発言が「証拠」になるし。2時間半やったとかって話なんで、それ全部聞かなくちゃいけないんだけど。

 ま、そうは言っても僕自身、母子殺害事件の犯人である被告人に相応しい刑罰は死刑以外にないと僕思っているし、安田弁護士の喋ってることを聞くと張り倒したくなるんだけれども、そのことと日本の国法が要求する刑事裁判における弁護士に与えられた仕事とは切り分けて考えないといけない。

 でもなんとなーく今から、どんな判決になるか予想はつくような気がする。それは、こんな感じ。
「被告側は『取り調べ段階から一貫して、殺意はなかった旨の供述をしている』として本法廷においても同様の主張を行った。具体的には被害者女性の遺体頚部の扼痕が検察主張と整合しないことをもって殺意がなかったことの根拠としている。しかしながら、仮に扼痕が被告人弁護側の主張するとおりの状況で生じたとしても、被害者が窒息死に至るまで執拗に頚部を圧迫し続けていることから殺意がなかったとまで言うことはできず、弁護側主張に理由はない。そうすると被告人は、犯行当時から現在に至るまで、自己中心的で身勝手な弁解を繰り返すのみで、自己の犯罪行為と向き合うことも反省をすることもなく7年余を過ごしたと言うべきであって、犯行時点で被告人が若年であったことを考慮したとしてもなお、極刑を回避するに十分な理由とまでは言えない」云々。

 ああいう弁論をしているのだから、裁判官も心置きなく判決文に「主文。被告人を死刑に処す」と書くことができるだろう。もしそうならなかったら?そりゃ、あーんな被告側主張に押し負けた検察の立証が杜撰だということだ。それに、「まだ最高裁がある」。
Posted at 2007/09/07 21:39:45 | コメント(3) | トラックバック(0) | 事件・事故 | 日記
2007年07月03日 イイね!

ハイラックスの「欠陥隠し」は結局警察の勇み足だったようで

ハイラックスの「欠陥隠し」は結局警察の勇み足だったようで去年の大体今ぐらいの時期、熊本県警は「トヨタ自動車がハイラックス計3車種の欠陥を放置した結果人身事故が起こった」として歴代の幹部3人を書類送検した。
 初報の時点から僕はこの警察の見立てに疑問を感じていた(06年7月12日記事)のだけれど、蓋を開けてみれば案の定ムリ筋だったようで熊本地検は不起訴の方針を固めたときょうの日経新聞オンライン版が伝えている(ウェブ魚拓キャッシュ)。

 一口で「不起訴」といっても理由は色々で、それこそ犯罪の事実は明らかだけれども課罰的違法性があるとまでは検察が見なさない『起訴猶予』から、捜査を尽くしたけれど結局それが犯罪だと認めるに足る証拠を揃えられなかった『嫌疑不十分』、そもそも法律的に起訴するに当たらない場合なんかのように『クロさ』のレベルは千差万別だ。

 トヨタのハイラックス事案に関してはいまの所、日経オンライン版以外の記事を見かけていないので判断材料に乏しいけれど、記事で明らかにされている「トヨタが当時の情報に基づいてリコール(回収・無償修理)の届け出義務があったとまでは言えず」「意図的な欠陥隠しも認められない」との文言から見て取れるのは、限りなくシロに近い不起訴――つまり熊本県警の見立て違いと言うか、勇み足――と言うことだ。司法警察吏員が犯罪の疑いがあると認めた場合、彼らは捜査を行わなくちゃいけないんだけども、まぁなんと言うか……。

 で、記事に拠ると熊本地検は近く福岡高等検察庁と協議して正式に不起訴を決定するということなんだが……県警が捜査を始め書類送検をした頃、しきりと『重量増えたのに部品強度変更せず』『試験せず設計変更』とかって感じのニュースを垂れ流してたテレビ各局さんあたりは、どう落とし前をつけるつもりなんだろうか。
 流石に大手スポンサーの『存在しなかった不祥事』を報じた手前、何にも扱わないってことはないだろうけれど、ベタ記事扱い程度でお茶を濁すような気がしてならない。

 個人的な印象では、この『トヨタ欠陥隠し?』事件を眉をしかめながら一所懸命報道していたのは安藤優子キャスターとか木村太郎キャスターの所だったのだけど、せっかくあれだけ力を入れて取材したのだから、去年のニュースでどんな特集企画をやったのか振り返りつつこの不起訴方針のニュースを流してもらいたいものだと思っている。
Posted at 2007/07/03 12:46:15 | コメント(1) | トラックバック(1) | 事件・事故 | 日記
2007年06月28日 イイね!

無理が通れば道理引っ込む

無理が通れば道理引っ込む先月の終わりごろから既に3回もエントリーに上げている行きがかり上、やはり節目節目には所感を書き残しておこうと思う。奈良の大淀病院に入院していた妊婦が脳内出血で亡くなった事案で、遺族の男性は病院と担当の医師を相手取って損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こし、その第1回口頭弁論が25日に開かれた。その話だ。

 外野に過ぎない僕なんかは、よく新聞なんかで見かける「訴状を読んでいないのでコメントは差し控える」とするべきなのかもしれない。報道を通じて知ることができるのは、所詮ハイライト(もしくはダイジェスト)に過ぎないからだ。
 それでもダイジェストを通じて見えてくるものもあるわけで、その前提と限界を弁えた上で、敢えて僕はこう結論付けたい。こんな訴訟は、起こさせるべきではなかったと。

 先日、たくぞう@GDBさんのエントリへのコメントにも記したけれども、僕は原告の代理人である石川寛俊弁護士の「罪(敢えて、こう断言する)」は重いと考えている。ネット上の検索で分かる範囲の情報ではあるが、同弁護士はスモン訴訟や薬害エイズ訴訟にも関わった経験を持つ、所謂「医療過誤」訴訟のエキスパートである。複数の本も出していて、まずはカルテの証拠保全をするようアドバイスまでしている。
 その石川弁護士が、本件訴訟においては、マスコミ向けにも大いに訴求点になるはずの有無を言わせぬ証拠である大淀病院のカルテ記載内容を楯にしている形跡がないのは、いかにも理不尽だ。

 カルテの記載内容に一定の信頼が置けることは、ネット上にそれが「流出」したことを同弁護士が公の席で「個人情報の流出だ」と問題視したことで、逆説的に担保されたと考えられる。そして、その内容についてはネット環境を持つ数多の医師や医療関係者が(まるで学会での症例研究さながらに)検討を加えている。
 タイムテーブルは『健康、病気なし、医師いらず』の「奈良の産科医 詳細2」に詳しいので割愛するが、原告側(と、何よりマスコミ)が問題視する「仮眠を取った」のは午前1時37分に脳に病変が起きたことをうかがわせるような症状が現れて「命を救うために一所懸命努力しなくてはいけない状態」になるよりも前、まだ通常の出産の過程にある時だ。
 確かに「急変」した時点(前出の神経内科医師の見立てでは脳出血が発生した時点)で大淀病院の担当医は子癇発作と診断しているのだけれども、その一方で13分後の午前1時50分には転送が必要だ(つまり大淀病院の体制で対応できるはにを超えている)と判断し、転院先の打診を始めているのである。

 僕は医療の門外漢だが、ここから読み取れるのは「精一杯の努力をしている医師の姿」であって、その逆ではありえない。そして、医事訴訟のエキスパートと思われる石川寛俊弁護士に、そのことが読み取れない筈がないのである。
 また、担当の産科医は午前1時37分に患者の状態を子癇発作によるものと「誤診」したあと直ちに(13分後内外)他院への搬送を決断し、その作業に着手している。
 この時点ですぐさま搬送先が見つかれば(患者の病状の深刻さを全く度外視すると)救命できた筈だとしても、受け入れ可能な病院が県内になく、午前4時30分ごろまでの3時間近くにわたって積極的治療を施せなかったことは、当該医師の責任で解決のつく範囲の事柄ではない
 有り体に言って、誤診であろうがなかろうが、搬送受け入れ先が見つからないことに変わりはなく、この点では「誤診」を患者死亡と関連付けるのは、僕は困難だと思う。

 医療過誤訴訟に詳しい弁護士であるならば、少なくとも上記のような状況が確認できる以上、医師や病院の責任を問う訴訟は、思いとどまらせるべきだったのではないか。遺族と病院・医師の間に感情的な対立が生じていて話し合いのテーブルにつくことが困難になっているのならば、その仲立ちをすることが代理人に求められる第一の仕事じゃないのか。それで真実が明らかになればお仕舞いになった話しである。
 きちんと事実関係を整理し明らかにして、その上でなお過誤があるのならば損賠訴訟でも何でも起こせばいい。しかしこの案件に関する限りは、それこそ石川弁護士の得意とする「カルテ」が、医師にミスがなかったことを裏付けているように見えるし、それにも拘らず公訴提起に付き合った同弁護士の対応を僕は「罪」だと思う。

 しかしながら他方で、これは今後裁判の中で原告側が主張してくる可能性があると思われるのだが、仮に午前1時37分時点の臨床所見から「正しく」脳内出血と診断していたら、どうだったかと言う問題がある。
 ネット上で見る限りでは、臨床例の少なさや症状の類似性から「正しい」診断が非常に難しいことが指摘されており、また脳の深いところで起こった出血なので結局救命することはできなかっただろう(だからその可能性を論じても意味がない)とする医師の見解が大勢を占めるように思われる。

 そのことを敢えてひとまず棚上げした場合には、①大淀病院の脳外科医を緊急に呼び出して施療できた筈ではないか、②もっと早くに適切な搬送先を探せた筈ではないか、それらの可能性が潰えたのは医師の「誤診」に原因がある――と言う議論を持ち出せる。
 或いは――起こらなかったIFを云々しても始まらないが――上記のような状況展開があれば、遺族男性は「妻は助からなかったが、一所懸命努力していただいた結果なので仕方ない」と受け入れられたのかもしれない。

 僕が心配なのは、こういう理屈を持ち出してきた場合、もしかしたら裁判所はこの主張に(部分的にでも)理があると判断するかもしれないとの疑いを拭いきれないからだ。全体としては死亡との因果関係や医療ミスの不存在は認めつつも、子癇と「誤診」したことだけはペナルティを科してくるかも知れない。杞憂であればいいのだけれど、こういう理屈は技術的には多分成立しうるとも感じるからだ。

 僕の感覚では、これは医師や病院を被告にするのではなく、行政の不作為を問う訴訟を提起すべきケースだ。深夜に高次医療を提供できる病院施設に患者をスムーズに搬送できる体制作りを怠った自治体や、そのような状態を容認する国の医療行政の過誤をこそ問題として扱う視点を持たないで、なにが法曹か。
 スモンや薬害エイズの訴訟にまで関わった経験を持ちながら、個々の医師が対応できるレベルを超えたところで起きた問題を、医師個人や勤め先の病院に負わせてこと足れりとする姿勢では、過去の経歴が泣くというものだ。

 最後に、改めてもう一度メディアの責任にも言及しておきたい。
「18の病院が搬送を拒否」したなどと言うのは、個別の医師がミスをしたとかしないとかの微視的事象よりも、『社会の木鐸』にはよほど重大な問題だった筈だ。
 ひどいことを言うようだが、大淀病院事例は『所詮』気の毒な女性が一人亡くなった『だけのこと』に『過ぎない』。だが、県内18の病院が深夜の重症患者の搬送を受け入れることができず、県外に患者搬送をしなければならなかったと言う状況は、問題がこの事案で亡くなった女性一人に留まらない可能性があることを意味している。しかも、それが繰り返し発生する可能性を。
 ひと一人の悲しみを慮ることのできない冷血なジャーナリズムは不愉快だが、情緒のぬかるみに足を取られて近視眼に陥っているようでは役割が果たせない。駆け出しの記者がぬかるみにはまるのは仕方ないかもしれないが、それを監督する立場のベテランまでそれでは、全国紙の看板が泣く。


なかのひと

Posted at 2007/06/28 19:30:13 | コメント(1) | トラックバック(0) | 事件・事故 | 日記
2007年06月14日 イイね!

うわっ微妙……

うわっ微妙……莫大な借金を返せと言う裁判で、どうやら敗色濃厚だ。手持ち資金は借金返済には足りない。敗訴の判決が出たら土地建物を差し押さえられちゃう……。そういう事態は避けたいので、土地と建物を第三者に売却して所有権を移し、賃貸契約を結ぶことで施設の利用を継続したい。
 おとといあたりから急に報じられ始めた、東京・九段の朝鮮総連本部売却「騒動」(まだ「事件」と決まったわけじゃないので)は、そういう思惑から始まったらしい。

 で、東京地検の特捜部は電磁的公正証書原本不実記載の容疑で捜査に乗り出した14日にはついに強制捜査に踏み切った。登記の移転は済んでいる、しかし支払はまだ行われていない、もしかしたら行われないかもしれない。要するに強制執行逃れの架空取引じゃないのかと言うわけだ。うわぁ、微妙……。
 確かにそういう解釈も成り立つは成り立つけども、理屈立てとしてはかなり無理筋なんじゃないかなあ。状況としては「契約書にハンコつきました、納車も名変も済みました、でも支払は先になります」と変わりない。一番最初に書いたような事情が先にあるとしても、少なくとも外形的には電磁的公正(以下略)容疑に問われる状況じゃあない筈だ。

 買い手が「善意の第三者」ではなく、この取引のためにわざわざペーパーカンパニーを立ち上げたことも認めているから「微妙」って言い方をしたんだけど、普通は地検特捜が乗り出してきて大事件にするような種類の話じゃない。
 支払する意図が最初からないとしたら、登記は書き換えちゃってるんで既遂の詐欺(被害者は朝鮮総連)事件だし、意思はあっても支払い能力が追いつかないんだったら民事の債務不履行(債権者は朝鮮総連)ってだけでケリのつく、そこらに幾らでも見聞できるような売買当事者のトラブルに過ぎない――というか、まだそのトラブルすら起きていない。

 まあ、だから被疑事実が電磁的(以下略)なんだろうけど、どうしても無理筋にのごり押しにしか見えない。例えば欠陥隠しの挙句2人を死なせて会社が傾いた自動車メーカーは確か資金繰りのために本社ビルを売却、買い手に賃料を払う形にして施設を継続使用しているけれども、この売買取引のときに契約発効と実際の金銭授受にタイム・ラグがあったからとか、買い手側法人の支払い能力に疑義があるからってことで架空取引の疑いアリとは、普通ならない。

 法益の問題まで考慮したとしても、強制執行妨害の状況が発生してからそちらの線で押せば十分な話。限りなく「予防拘禁」に近いことをやってるとの印象を激しく受ける。で、多分、今回の強制捜査を受けて買い手ペーパーカンパニーの出資者の一部は、資金提供を尻込みするようになるだろうし、そうなれば取引そのものが頓挫する。
 地検特捜が強制捜査にまで着手して公訴提起できませんでしたとか、公判維持できませんでしたなんて恥ッさらしなことする筈は(彼らの面子にかけても)ないだろうから行くところまで行くんだろうが……なんてのか「お国の意向に沿わぬ振舞いは、あらゆる手を講じて潰す」みたいな感じがして気色が悪い。

 ついでに思ったのだけれども、特捜のメンツが潰れることを度外視して、イラクに結局WMDがなかったのと同様に「被疑事実は確認できませんでした」みたいなことになっても、商取引を遅延させたりツブしたり、取引当事者の社会生活を困難ならしむることは可能なわけで、例の「共謀罪」が成立したらこれと似たようなことは幾らでも起きるように(起こせるように)なるんだろうなぁ。
 「共謀してるっぽいぞ」ってだけで家宅捜索も身柄拘引も、場合によっちゃ逮捕勾留も自在だもんなあ。そういう目で見ると、なんか今回のは『リハーサル』ぽい感じがするし、動いたのが警視庁捜査2課ではなくて東京地検の特捜部だったのも納得がいくような気も。

 なんかこう、M.ニーメラーになった気分だ。
Als die Nazis die Kommunisten holten, habe ich geschwiegen, ich war ja kein Kommunist.
Als sie die Sozialdemokraten einsperrten, habe ich geschwiegen, ich war ja kein Sozialdemokrat.
Als sie die Gewerkschafter holten, habe ich geschwiegen, ich war ja kein Gewerkschafter.
Als sie die Juden holten, habe ich nicht protestiert, ich war ja kein Jude.
Als sie mich holten, gab es keinen mehr, der protestieren konnte.

いま、何行目あたりまで来たところだろうか。
Posted at 2007/06/15 12:04:24 | コメント(0) | トラックバック(0) | 事件・事故 | 日記

プロフィール

「フェアレデーって本当に呼ばれてたの? http://cvw.jp/b/9433/47108671/
何シテル?   07/24 21:51
曲面の綺麗な旧い車が好き、エレガンスのある車が好き。そんなこんなでユーノス500に乗りつづけ、もう……何年だ?  気がつけば屋根のない車まで併有。いつまで乗り...
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