WRC第3戦メキシコの開催が週末に迫ってきました。この2017シーズンは開幕からのトヨタの快進撃で大いに盛り上がりを見せていますね。
周囲のWRCやラリーに普段は興味を持ちそうもない方にまでトヨタのことを聞かれたりしましたので一般の方?にもそれなりのインパクトはあったのかもしれません。
一風変わった趣味を持つ私を憐れんでの話のネタ(笑)とは思いますがこのような反響は素直にうれしいです(^-^)
本題のメキシコですが、あまり印象に残っていないと思っていたら、それもそのはず2004年に正式にWRCのカレンダー入りを果たした比較的新しいイベントですね。
路面は一般的なルーズグラベルで80キロにも及ぶ長距離SSを設定する事でも有名ですね。
速度域はグラベルとしては高速の部類に入ります。モンテ、スウェディッシュと開幕戦から特殊戦が続きましたがいよいよ本格的なグラベル戦がスタートすることとなります。
しかし路面は普通でもこのメキシコをメキシコ足らしめているのが開催地の標高です。
大部分のSSは山岳路で行われ標高は高いところで2700mにもなります。
富士山でいえば7合目あたりでラリーを行っていることになります。
いわゆる空気の薄い高地戦ということでエンジンについては非常に厳しい環境という事ですね。
05シーズンのメキシコはペターソルベルグが優勝していて個人的に印象に残るラリーでした。
インプレッサWRC05のエンジンパワーはメキシコの高地でも相対的に十分なアドバンテージを確保していてそれが結果的に勝利につながりました。ただ後にスバルの宿痾になるジオメトリー問題の萌芽も既に潜んでいたわけですが…そして、このラリーがスバルのWRC最後(今のところ)の勝利になろうとはこの時点では夢にも思いませんでした(泣)
話は大きくそれましたが(笑)当時の2リッターWRカー時代と比べると現在の1.6リッターWRカーは排気量が減少した分、エンジンについてはよりシビアです。一般的にエンジンのパフォーマンスは海抜ゼロ時と比べ20%ほども落ちるといわれますから影響は小さくありません。
各チームはこの問題に対応するためエンジンのマッピング等の『メキシコ用』の高地対策を行ってきます。この良し悪しが時に勝負に影響を与えます。
かつてセバスチャン・ローブはこのメキシコを6勝するという離れ業を見せましたがその時ローブに力を与えた要因の一つに当時のシトロエン・スポールの高地セッティングの巧みさがありましたね。
その点ではメキシコではトヨタはかなりのハンディキャップがあるかもしれません。高地対応という面で(前回WRCに参戦していた時にはメキシコは影も形もありませんでした…)まともなデータはないでしょうし、ましてや高地での実戦経験がないというのはチームとしての対応力の面で、このラリーを難しいものにしそうな予感がします。
ただ例外として現地メキシコでのテストまで行って綿密に事前準備したことで初年度から優勝したVWの例がありますがその再現は成るでしょうか…
このエンジンパフォーマンスの低下は走り方にも影響するようでコーナーのアプローチやブレーキングに失敗するとパワーとトルクが低下しているため、他のグラベルロードよりロスが大きくなってしまうと言われています。そのためメキシコでは他のグラベルラリーよりもミスの少ない効率的で精密なドライブが求められます。ラトバラもかつて「ターマックラリーのような走りが必要」とメキシコについて語っています。
そう考えるとローブがこのラリーを大得意としていたのも納得できます。彼ほど精密なコーナリングをする人はいないでしょうから…クサラWRCもシトロエンC4WRCも懐の深い優れたハンドリングで一時代を築き、彼のドライビングスタイルを支えた名車でした。
しかし同じシトロエンが開発した新マシン、シトロエンC3WRCが今シーズンは苦戦しているというのは、ちょっと信じられない展開です。C3WRCはこれまでの2戦とも結構簡単にグリップを失ってオーバーしているように見えますが何かしらハンドリングに難を抱えているのでしょうか?それともドライビングのマージンが狭い『運転』のしづらいマシンなのでしょうか?シトロエン陣営は昨シーズンのフル参戦を控えて開発とテストを有利に進められる体制だったはず…シトロエンは以前にも06シーズンのワークス参戦を見送って、その期間をC4WRCの開発に充てその後の快進撃につなげたことがありましたが、今回はちょっと様相が違うようです。
今までよりは資金も潤沢ではないとの話もあるようですし、ちょっと心配ですね。
勝負とは関係がないですが2015年のメキシコではMスポーツのタナクが水深5メートルの川にマシンを水没させてしまったという珍しいハプニングがありました。
クルーは無事で良かったのですが、本当のショーはその後でした。Mスポーツのメカニックがなんと水没したマシンを川底より引き揚げて完全に分解、再組立て。シリンダーから水を抜きエンジンも再生😲DAY3には再スタートさせてしまったのです❕これにはマシンを日干しして乾かす時間も含んでいるのですから感心するより笑ってしまいました。まったくワークスというのは恐ろしい集団です( ^^)
あれから2年ですから優勝の見えてきたタナクにはやんちゃを控えて頑張ってほしいですね。
極寒のスウェーデンから灼熱のメキシコへ…前戦スウェーデンとメキシコの温度差は50度にもなると言います。またマシン内の温度は50度にも達するそうで、つくづくラリー屋さんはタフだなぁと感じます。この灼熱の高地戦で最後に笑っているのは誰なのか?
精緻なドライビングでは全盛期のセバスチャン・ローブに比肩しうるオジェが個人的には来そうな気がしますが、スプリントの速さではオジェを凌いでいたヌービルがスウェディッシュとモンテの屈辱を今度こそ晴らす展開も十分にありそうですね。
それとも大穴で実はメキシコで去年勝っている(ちょっと意外!)ラトバラが勢いそのままに、またまた下剋上を果たすのが一番面白い展開ですが…。でも走行順がね(^^;
こんなに読めないWRCはいつ以来かなぁ…スタートが楽しみですね(#^.^#
付記:去る3月1日に鎌田卓麻選手が丸和オートランド那須でのテスト中にアクシデントによるクラッシュがあり入院されました。幸い命に別状はなかったようですが一日も早くもどって来てほしいです。心よりご回復を祈っております。
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WRC | 日記
Posted at
2017/03/09 16:25:02