キャブセッティングを大分楽しんでいるのですが、実走行だけでは良く分からない部分もあるので、今回はシャシダイナモでA/Fの計測が出来るサービスを見つけたのでお願いしてみました。
A/Fの計測と言うと普通はエキパイにA/Fセンサーを付けてセンサーの出力値を読み取りますが、今回行ったのは簡易型?のプローブ方式となっています。車検場のガス検の時にテールパイプに突っ込むアレの方式です。中々考えられた?サービスですね。手軽で良いです。
プローブ方式で注意しないといけないのはノーマルマフラーの場合に細いテールパイプにプローブを入れるので、どうしても排気圧力が上がってしまう点があげられます。
取り合えず結果はこんな感じでした。このままのグラフでは分かり難いのでA/Fのラインを分かり易くしたのが次の写真になります。
あとSRのノーマルマフラーはプローブが奥まで刺さらないのと、単気筒という事でガスボリュームの少ない低回転時だけですが、排ガスの戻りでプローブが外気を吸ってしまっている可能性が今回ありました。グラフを見ると低回転時のA/Fがグラフ外迄薄くなってますが影響があったのかも知れません。
3本のラインはアクセル開度に対するA/Fのデータで、水色がアクセル25%、赤が50%、緑が全開の100%の時のライン。そして横軸が回転で、縦軸がA/Fになります。
一般にA/Fは13付近が出力空燃比なので赤の破線あり。この辺を目標に合わせるそうです。ですがプローブでマフラーが詰まり気味という事もあるので、今回は点線で描いた12を目標値にしたいと思います。SRは空冷なので全開時のA/Fはもっと濃くても良いかも知れません。その辺はお好みですね。とは言えそれは全開時の目標値ですから低中回転は常識の範囲で薄くてもOKです。エンジンの負担を常識内に収める様にさえすれば、後はすべてはお好みです。
普通、空冷エンジンはギア比をショートにとって高回転高負荷での運転を避けるように設計されていると思います。ですが私の場合はスプロケ変更でギア比をロングに振って負荷を掛けているので、高回転は濃い目・保護目・排気温度低めが良いと思っています。低回転はA/F気にせずにフィーリング重視で行きます。A/Fを揃えてしまうとトルクが出過ぎてにぎやか過ぎるエンジンに成ってしまうと思うからです。低開度はSR400の様なギクシャクしないゆるゆる感を出すために薄く。高開度に成るにつれて36-41Tのスプロケットで4.00-18のタイヤを回し切る様なトルクを発生。そんな物を作ろうと思っています。
今回一番気にしているのは、
・メインジェットが適正かどうか?
・4000rpm付近のA/Fがどの程度になっているか? 4000rpm付近がジェッティングをしていて一番ノッキングが出やすくて厄介だったからです。
・削り過ぎになってしまったニードルのストレート径がどう影響しているか。。?です。
基本的には実走行ではこれ以上は無理って所まではヤッタつもりです。
25%から順に見ていきます。
先程も述べましたが極低回転側はガスの戻りがあり大気を吸ってしまっているので超薄く出ています。が、それでも14.7よりも薄い”薄すぎ”の状態になっています。これは私の好みでワザとやっているので予定通り?です。ロングドライブ時に低開度でトルクが出ていると疲れるので、失火しない程度まで薄くしています。それにしても薄いですけどね。問題はバイク坊やが居る付近のA/Fの落ち込みです。ここはニードルストレート径の削り過ぎから来ているようです。乗っていても小スロットル時の2500rpm付近にトルクの立ち上がりが急な個所があります。この辺りはデータによく表れているのが自分で分かります。ここはもう少しストレート径を太くしてA/Fのラインの落ち込みを整えたい所です。抜けが良いマフラーの時はこの位で丁度良かったのですが、ノーマルマフラーだと濃くなってしまいました。。
ココからアクセルを足して加速していきます。25%のラインから赤い50%のラインに向けてアクセルを空けて行くほどにA/Fが濃い方向に移っていきます。大体2500~4500rpm位ですかねアクセルを半分開けるのは。
25%から50%への移行は2本のラインの形が瓜二つでした。ここはニードルの領域なのでニードル形状に沿ったA/Fになる様です。アクセルを空ける程に、回転の上昇にも伴って、A/Fが目標値に向かって濃くなっていきます。ここも薄い方が振動が少ないので好みでノッキングが出ないギリギリまで薄くしています。50%のラインでλ1弱〜12位になっていました。上出来です。低回転のうすうすの領域から50%にアクセルを増すことで負荷(回転)に対するA/Fが適正に成ってくる感じになっていました。トルクの出方も濃くないので穏やかです。ただ4500rpm以降で尻下がりにA/Fが過剰に濃くなって行くのは気に成ります。ニードルを下げても5000以上は影響ないだろうし、やるならばメインジェットでの対応かな? 100%の特性も勘案しないとですね。でもメインジェットを変えてもA/Fが薄くなるだけで傾斜は変わらないですね?。”特性”ってやつですね。プローブ抜けば治るかも?? フロントチューブが3HT用だから?K&Nのフィルターだから??要因は様々。。でも50%でそんなに高回転は使わないかな? 峠を走っている時のアクセルぬいたところ位か?アクセルを抜いたときは気持ち良くトルクも抜けて欲しいですね。
気にしていた4000rpmのA/Fですが、
13.5位かな。4000rpmって中回転というジャンルだと思いますが、単気筒の4000rpmって結構トルクが出てくる回転数なのでA/Fはこの辺りの領域から目標値に近い方がイイと思います。ですがこのセッティングだと目標の12から大分薄い所にあります。なのでノッキングし易くなっていたようです。取り敢えずノッキングが出たらアクセルを増せば濃くなるのでノッキングは止められます。ですがニードルのテーパー角を一段キツイ物に交換して右肩下がりの傾斜を強くするか?ニードル自体を上げるか?どちらかの選択肢を選んでもう少し濃くした方がよさそうですが、この辺はニードル半段でも振動が大きく変わるポイントなので出来れば触りたくない部分でフィーリング的には今のままが好みです。クランクウェイトがもっと重ければ適正値付近まで濃くしても良いんですが、ドカンドカン防止のため燃料で制御しています。50%の馬力のラインを見ると落ち込みなどは見られず、A/Fの変動はあるのに10馬力程をきれいに横一線でトレースしています(1枚目の写真が分かり易いです)。乗った感じとしては問題なくイイ感じになっています。
因みにテーパー角をキツクすると
破線で描いたラインの様に1000rpm程早く濃いラインへ乗るような感じになると思います。アクセルを足した際にA/Fが濃くなる度合いが強いので中回転トルクを強く感じますが、早めにパワーバンドに入ってしまい高回転の高揚感みたいな物が薄れてしまいます。この辺は完全に好みですね。
ー追記ー
この領域はセオリーからは想像しにくいですが、パイロットスクリューの影響が大きい事が分かりました。4000rpm付近でノッキングが出る場合はスクリューを開けて、濃い場合は締めて調整が出来ますが、始動や極低回転にも影響が有るので悩ましいです。
ー追記終わりー
ココからガボッとアクセルを空けて100%のラインへ移行です。
気にしていた最高出力回転の6000rpm付近のA/Fは粗目標通りです。実際に使用するのは4000〜6000rpmの全開が多いでしょうから、濃いめ〜適正の領域に入っている様です。50%の4500rpm〜から100%の6000rpmまでは空燃比の変化は無く、吸気ボリュームのみ変化する設定になっていました。ここも上出来です。
トップエンドは濃くなる方向に傾斜がありました。マフラーが抜けないのかな?
問題は4500~6000rpmまでの右肩上がりの特性かな?これはメインエアジェットとのバランスで決まるのでしょうからイジれないですが、メインジェットを大きくすればする程またはMAJを小さくすると右肩下がりの傾向に成ると思います(やった事ないですけど)。メインエアジェットがイジれないので残念ながら変更が効きません。
6000rpm付近が相対的に薄くなっていてここはつまずく人が多いと思いますが、油面が足りていない場合にも高回転で薄くなってしまう傾向があります。高回転のボコツキは普通の場合濃過ぎと判断しますが、SR500withBST34の場合、5000rpm以上でアクセルを開けたり閉めたり動かした瞬間に一瞬薄くなる症状が出る事があり、その結果ボコツキに似た症状が出ます。油面を1~2mm上げるとその症状は解消されるので、6500rpm付近が薄くなる症状は油面を更に上げる事で解消できる可能性があります。そのうえでMJを#2.5下げる調整がイイかも知れません。
濃過ぎる領域もありますね
3500~4500rpmは濃すぎに成っていました。ここもストレート径の削り過ぎ??又は特性ですかね?。ニードルはキースターの「L」を使用しているのでこれ以上テーパー角が緩い物はありませんし、それだと4000rpm 50%のノッキングが厳しくなるので使えません。取り合えず先の問題のストレート径を修正して様子見の必要かな。知見が無いので分かりません。もしかすると低回転のセッティングのためにキャブを㊙︎加工(細工)した部位を少し戻したら良いのかもしれません。
4500rpm以上は厳しく見ると高回転になるにつれて50%のラインと交差してしまっています。出来る事であれば100%時はA/F12で横一線で、50%はその上に居てほしいです。その方がアクセルワークに対するトルクの出方が良さそうです。
緩い目で見れば、
低開度低回転の水色〇の領域は、振動対策でうすうす。
中開度中回転の赤〇の領域は、アクセルと回転が高まるほどに適正値まで濃くなる傾向を持っている。開ければトルクが出る感じに出来ている。基本ここも振動対策で低回転寄りほど薄め。
高開度高回転の緑〇の領域は右肩上がりの傾斜なので使いにくい特性だけど、ピークパワー時に適正な濃さになっている。
ので大体合っていると言えそうです。
今回の計測の結果、
・通常100%での測定を3回行い平均を取ってラインを描きパワーチェックとするのですが、今回は25・50・100%を1回ずつの測定で線を描いていますので多少の計測誤差は否めません、、料金は5,000円でした。感謝!
・低回転は好みとは言え“うすうす” の状態だった。(これ以上薄くすると燃焼温度が上がり過ぎてエキゾーストバルブが膨張して、圧縮が無くなる症状が出るくらいです。)
・ストレート径はやはり削り過ぎ。(現在2.480mm。2.500mmくらいがイイかな?)体感がある程の事象はデータ上では大きく出る。
・中回転も薄い傾向は変わらず。だが出力は良好に保たれているので個人的にok。ニードルを少し上げて保険を確保するのが吉。CDIを弄れたらここだけリタードすればイイんだけどね
・メインジェットは6500rpmでは適正。逆勾配で癖ありなので回転が下がる程濃すぎに成る。油面アップとMJ#2.5下げで対応してみる。13mm→12.5mm?12.0mm?? そうすれば50%の高回転のラインも少し薄くなるのでTOTALで良い方向。
・A/Fウンヌンはあるけど馬力の線は綺麗に出ている。体感は馬力を感じてるのだろうから、馬力合わせのA/Fとも言えるかな?パワーカーブが良いので今がBEST。そんな事も有るかも知れない。
・シャシダイ屋さんはシャシダイに乗せないとセッティング出来ないと言うし、実走派の人は負荷を掛けないシャシダイでは合わない・実走しないと合わないと言うだろうし、そもそも純正キャブはセッティング出来ないなんて話もあるし、結局ある程度の根拠(今回の様な計測結果とか)があれば自分の好みでイイと言うのが答えに一番近いかな?結構あってるでしょう?
現在の仕様は、
コースティングエンリッチャー強制停止
キャブ本体㊙加工(細工)
PJ #42.5
PAJ #80
MJ #162.5
ニードル キースター「L」
クリップ位置 5(一番下、一番濃く)
ストレート径 2.480mm
H寸 13mm
(㊙加工がセッティングに与える影響が大きくて参考に成らず済みません。㊙加工の内容はまだ何処にも書いていません。K&Nのフィルターにしても極低回転でもガタンガタンしない、低回転でピョコピョコしない、普通にセッティングが出来る細工です。)
36-41T
K&Nフィルター
エアクリダクト加工
3HT エキパイ
3GWマフラー
オレブルヘビーウェイト
エアクリーナーを変えるだけで純正キャブは全域で燃調が乱れるので、全域セッティングの見直しが必要でした。
と今回はダイノジェットに載せてA/Fを計測してみた。でした。
低回転の計測精度と薄いのが好みなのはさて置いてですが、濃くする方向には普通簡単ですが薄くセッティングするのは難しい部分があります。
今回、路上走行では分かり難いメインジェット域での傾向が分かったので、このデータも参考にセッティングをもう一歩詰めてキャブセッティングを完成に持っていきたいと思います。乗っている感じは問題無いんですけど、目に見える形で完成させたいと思います。