前回は5F0カムの、88年からfinalまでのカムプロフィールを調査しました。
今回は583 初期型ハイカムの調査を行いたいと思います。
前回のブログは
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/blog/47132036/
↑こちらに成ります。
準備と想定する精度などは前回と同一です。
では結果からサラッと逝っちゃいます。
サクッとインテークのリフトを見てみました。
最大リフトは 10.24mmでした。新品の583カムと新品の583ロッカーアームの組み合わせでの結果です。(測定はn1)
5F0カムの最大リフトは9.69mmだったので、+0.55mmとなりました。
大きいのか? どうなのかは???
作用角はサービスマニュアルより
開き BTDC 44°
閉じ ABDC 68° となっているので 292°と算出できます。
作用角が292°となるリフト量を見ると大体250μmリフトの時でした。
今回もバルブクリアランスは0mmに設定しています。標準のバルブクリアランスが0.1mmなので計算すると、150μmリフト相当になります。
これは5F0カムの時と同じです。
1mmリフトでは、247°の作用角に成っていました。。。
5F0カムのサービスマニュアル上の作用角は284°
583カムのサービスマニュアル上の作用角は292° と+8°ですが、
1mmリフト時で比較すると、
5F0カム →245°
583カム →247° +2° しか変わりませんでした。
583カムはサービスマニュアル表記の作用角の割に、実の作用角が少なかったです。
新品を購入したのに残念な感じです。
ST-1は252°なのでその差は5°のなんですね。(5F0とST-1の差は7°)
1mmリフト時の作用角としては5F0と比較して大きくは有りませんでした。
次はエキゾーストカムです。
最大リフトは 10.31mmでした。
5F0カムの最大リフトは9.8mmでしたので、+0.51mmとなりました。
エキゾーストの作用角はサービスマニュアルより
開き BBDC 76°
閉じ ATDC 36° となっているので 292°と算出できます。
作用角が292°となるリフト量を見ると大体300μmリフト時でした。
標準のバルブクリアランスが0.15mmなので、150μmリフト相当になります。
これも5F0カムと同じくノーマルカムの作用角の表記は150μmリフト時の値という事が分かりました。どちらもランプの終わり、リフトの始まりの起点の所を基準としているようです。
1mmリフト時の作用角は、248°と成っていました。
ST-1が248° 、5F0は241°でしたので、ここはST-1相当で5F0から+7°で大分広い作用角に成っています。
583カムと5F0カムのプロフィールを1枚のグラフに重ねました。
濃い赤が 583カム、薄い赤が 5F0カムに成ります。
エキゾーストカムの7°の優位点を赤の両矢印で指示しましたが、フルスケール720度のグラフ上では僅かの差に見えます。
ですがこれで5F0から+7°でST-1相当です。
583カムのインテークは、5F0に比べるとリフトの始まりから急激に?立ち上がってリフトの面積(左右の幅)が拡張されていて、吸気のリフト面積で言うとかなり拡大されている事が分かります。
先程までのエキゾーストの+7の作用角拡大との比較をすると、インテーク側の拡大のさじ加減が大きな事が分かるかと思います。
583カムは、インテークバルブをガツンと立ち上げる(リフトさせる)特性の様なので、1mmリフト時の作用角の表記以上に実際の開弁面積を得られる特性の様です。
5F0カムでエンジンを運用していてもインテーク側から異音が始まりますが、583カムはインテーク側のプロフィールが更に過激なので?異音には悩まされるかも知れません。バルブクリアランスは限界までツメツメで調整するのが良さそうです。
纏め
一覧にするとこんな感じ
ここまでやって、やっとYOSHIMURA ST-1と、5F0と583カムが横並びで見れる様になりました。(それでもスペック上だけですが)
ここまで記述はしていませんでしたが、バルブの中心角のズレはSRの場合ロッカーアームタイプなので、作用角の1/2として最大リフトで確認するとリフトが非対称の為に2°程ズレるようです。
なので開き始めと閉じ終わり?のタイミングを確認する必要がありました。
ノーマルエンジンをサービスマニュアルの組み方で組んだ時にバルタイのズレは有るので調整するのですが、どれ位ズレているか?は内緒ですw。エンジンを組む時に確認してみて下さいね笑。
比較グラフ
1,5F0カムから583カムへの変更はハイカムとして使用するに値するプロフィールの変更がある。(のかも知れない。。)
考察、
583カムは 5F0カムに比べてバルブのリフトのグラフの立ち上がりが急激に立ち上がる。どういう作動になるかというとリフト初めから高い加速度でバルブを開くと言える。
よって、リフト量と開弁時間を掛け合わせてTOTALの開弁面積を求めると、5F0から大きく拡大されている。特にオーバーラップ時の1mmリフト以上の開弁面積で比較すると大きく変化があるように見える。
カムプロフィールが5F0に変更に成った88年は厳しい騒音規制が導入された年なので、性能の低下を最小限に、バルブの打音を低くしたいと言う目的があったのか?オーバーラップを少なくして吸気音の低減を狙ったのか?
特に5F0はインテークバルブの開け始めのスロープがなだらかに改善されているように見える。逆に583カムはそこが原因で音が出るのかも知れない。
85年に583カムとロッカーアームに材料の変更があり、85-88年までの1JNカムと言うのが存在していたけれど、多分摩耗対策での材料変更なので、カムプロフィールには変更が無かったんじゃないかな? サービスマニュアルを見る限りではそのように感じます。
ST-1のプロフィールも重ねてみたいですね。ST-1は583カムより1mm以上リフトが高いので、さらに急激なグラフの立ち上がりをしていると予想がつきます。
どなたか私にST-1M奢って下さいwww。
蛇足ですが、5F0カムから583カムへの変更で出力にどの位影響があるんでしょうね?
カムのプロフィールの重ねグラフからイメージして、何の根拠もないフリーハンドのパワーカーブを作ってみました。
このリフト量の絵に合わせた感じで作っただけですが、大きさからザックリで計算して6%の影響代でした。そんな事しなくても10mmくらいのリフトが0.5mmくらい増えたので5%の向上しろ?かも知れないですね笑。
ドオなんでしょうか? やって見ないと分かりませんね。
Enjoy!SR