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TECHNITUNED βのブログ一覧

2022年12月28日 イイね!

エンジンのパワーアップを考える。6

エンジンのパワーアップを考える。6エンジンのパワーアップを考える上で重要に成ってくる要素として冷却が有ります。
空冷エンジンの放熱はどの様になているのか? 今回は熱の発生源である燃焼室からの放熱について考えてみたいと思います。

混合気の爆発燃焼に曝されて燃焼室壁(シリンダーヘッド)は高熱を帯びる訳ですが、ノッキングを防ぐ為には積極的な放熱が必要になります。そこで放熱ルート別に燃焼室を3つのエリアに分けて見ました。



一つずつ見ていきますが最初はAの青のエリアの放熱ルートから見ていきましょう。


ここは比較的イメージ通りの放熱がされています。燃焼室壁の熱が直接燃焼室につながる放熱フィンに向けて伝わっていきます。

横から見ると


大体ヘッドの下から3列くらいのフィンが燃焼室に直接繋がっているのがイメージできると思います。それから上の左右のフィンはポート壁やその他を構成する所から熱が伝わって放熱するようです。放熱のメインは下の3枚ですね。


次にBのオレンジのエリア。プラグ穴を含めた燃焼室の中心部分です。


見難いのですが、プラグホールよりも奥に小さなフィンが立っているのが見えます。狭い場所ですが一生懸命放熱してるんですね。プラグの両サイドから垂直に立つ壁を伝って幾らかはフィンへも熱伝導が有るのかな?
DOHCであればスペースが確保されるのですが、SOHCの2バルブエンジンではココのデザインがどうしても狭くなってしまうので大変です。



写真は参考までに単気筒DOHC4バルブ250ccのKAWASAKI SuperSherpaのヘッドのプラグ近傍です。写真はこちらからお借りいたしました。
プラグ周りにはフィンも多く立てられて空気の入れ替わりも良さそうですね。しかもカムのケース自体も燃焼室の大きな冷却フィン見たいなものですね。空冷はDOHCがとても理に適っています。

SRも頑張って冷却しています。ヘッドを単品で確認しないと分かり難いのですが、ヘッドが立体的に作られていて冷却風の流路が確保されています。(初めて気が付いた時は目から鱗でした)



冷却風の流路に電線を通して分かり易く?しました。
なので燃焼室の中心の冷却には、ヘッド内?の冷却風の確保が必要になります。でもプラグ方向に向けて風を吹き込んでいるでも無く風が通り難そうですが、ここはエンジンやライダーの脚に走行風がぶつかって風が避けて出来る、エンジン後方の負圧の作用でエンジン後方のキャブ側から風を抜く様に風を通しています。なのでエンジン側方に風を大きく遮るような壁を作って、走行風で出来るエンジン後方の負圧のエアポケット見たいな物が出来れば冷却効果はUP出来るのですが、そこまでは中々やらないですね。



フィン部分のアップですが、センターに大きく立つフィンはその上のカムなどが収まる部屋の床面に繋がれています。ここも熱が大きく伝わる部分に成ると思われるので、これを最大限に利用した冷却を考える方が現実的だと思われます。ここは後述します。


最後にCの赤の部分。ここはセオリーが働きません。


OHCエンジンの側方にはチェーンが通るので、エンジンの片側は放熱的には潰れてしまいます。



エストレアとかのエンジンはその部分にはフィン等を立てず、デザインが潔いですね。



同じエストレアのエンジンですが、チェーンが通る側にフィンを立ててもその裏は空洞なので、残念ながら燃焼室の冷却には役に立ちません。
そういう意味でW650のエンジンのべべルギアは機能的なんでしょうか?燃焼室に繋がるフィンを確保出来ているように見えます。


SR他普通のOHCエンジンには装飾のためのフィンが有りますが、その裏側はチェーンケースの空洞なので、燃焼室の冷却に寄与する事は出来ません。もちろんそのフィンにも熱伝導で熱が伝わり幾らかの放熱はあると思いますが、肉は薄く距離もあるので、放熱の割合としてはとても少ないのが実際だと思われます。




こちら側のフィンが浅いのを一度は不思議に思った事があるかと思いますが、そういう事なんですね。


では熱は何処に向かうのか?熱は金属の厚みがある所に多く伝わる(熱抵抗が小さい)ので、



行き場のない熱はチェーンケースの壁を伝って、



カムなどが収まる部屋の床面に熱が集まる事になると考えられます。先程後述すると書いたプラグ近傍の大きなフィンもここの床面に繋がっているので、燃焼室壁の熱の内それなりに大きな割合がここに導かれているようです。
なぜココに導かれているのか?もうお分かりだと思いますが、カムを潤滑したオイルがここの面を通るので、オイルによる冷却を期待しているようです。

フィンを立てて冷却風での放熱を行いたいけれど、レイアウトの関係でフィンを立てる事が出来ない。冷却風も当てられない。なので燃焼室周りの熱はオイルを媒体として外へ持ち出す以外に方法が無い。そんな感じなのがSOHC2バルブエンジンなんだと思います。

GB350しかり



ジクサーしかり


燃焼室の上の部分、言い換えるとカムシャフトの収まる部屋の床部分に、オイル流路を設けてオイルでの冷却を行っていますね。なのでSRのヘッドのその部分にもスリット状に溝を設けたりすれば冷却効果は向上すると考えられます。でも中々そこまでは難しいですね。なのでヘッドへのオイル供給量を増やす。それだけでも燃焼室周りの冷却に効果が期待で出来ると想像出来ます。
オーバーヒート気味になるとシリンダーヘッドから聞こえてくる ショカ―ン!ショカーン!やカン!カン!カン!という音。あれはシリンダーヘッドが熱を持ち過ぎて熱膨張でヘッドが大きくなり、カムとロッカーアームのクリアランスが適正範囲から外れてしまう結果出てしまう音です。
これもシリンダーヘッドへのオイル供給量を増やしてある程度の対策が可能です。



「空冷SOHCのシリンダーヘッドの冷却は、油冷エンジンのそれに似た放熱経路を持つので、ヘッド冷却の改善はオイル供給量の増加で行う事が出来る。」 というお話でした。



ちなみにDOHC2バルブの Z1のシリンダーヘッドです。


SRに比べると1気筒190~225ccしかありませんが、燃焼室上にこれだけのフィンが立っています。やっぱりDOHCはレイアウトで有利ですね。SRは400~500cc分のここからの排熱をオイルを媒体にして持ち出さなければなりません。
因みに冷却水での冷却能力を1とすると、潤滑油では約1/2、空気では1/4の冷却能力となるので、水と同じ冷却能力を得ようとすると潤滑油だと2倍、空気では4倍の量が必要になります(熱容量で計算)。なので油量は多ければ多い程良い事になります。


具体的にヘッドへのオイル流量を増やす方法として一番確実な方法は、意外にも、、オイルラインのバンジョーボルトの加工になります。





ここはロッカーアームのオイル孔の径との兼ね合いで、3mm程の大きさの穴が必要になりすが、ノーマルでは約2mmと穴面積が大きく不足してボトルネックとなっているので、何を行うのよりも先に穴径の拡大を行わなければなりません。
私が書いた整備手帳ですが、こちら こちら が参考になると思います。

次に行える確実な方法は強化オイルポンプの導入です。KEDOの物をデイトナが代理店で販売しているものが有名で唯一かな?。フィードポンプを大きくするのでエンジン全体として流量が増えるのが利点です。スカベンジャー側のオイル流量も上がりますのでオイルクーラー導入の場合も効率良く使用できます。注意点としては上記のバンジョーボルトの加工と共に導入すること。強化オイルポンプだけ交換してしまうとバンジョーボルトの内径がヘッドへのオイル流量の規制となってしまい腰下のオイルが増えてしまう為、オイル供給のバランスが悪くなってしまいます。増えたオイル供給量を糞詰まりにならない様にヘッドへ流すためにバンジョーボルトの加工と共に導入します。これでエンジン全体でのオイル流量で困る事は皆無になります。オイルラインは強化ポンプ導入の場合でもバンジョーボルトの加工以外はノーマルで十分です。メッシュホースを使用しても内径はノーマルのパイプと変わりません。

スカベンジャー側からのオイル導入の熱心なファンの方が多く、その反動で何故だか?強化オイルポンプが敬遠れる傾向ですが、、、
・スカベンジャー側のオイル流量はそのオイルポンプ容量に係わらず、フィード側のオイル流量を超える事は無い。
・スカベンジャーポンプ容量 ー フィードポンプ容量 = スカベンジャーポンプがエアーを吸う容積となる。 当然ですよね。
・スカベンジャーポンプから吐出する物の2/3以上がブローバイガス(計算値)。そのブローバイガスはオイルタンクを通りヘッドへと戻り再度スカベンジャーポンプに吸われて循環する。なのでヘッドにリターンオイルを入れると言う事は、エンジン油路にブローバイガスを混入させる事になる。
・スカベンジャーが吸うオイルはフィードポンプを通りヘッドや腰下を潤滑したオイルがオイルパンに落ちた物を吸い上げるため、始動直後のドライスタートに効くという事は無い。
この辺りの理解が薄いように思います。(個人の見解です。)




ヘッドへの油量を増やした場合のSRのシリンダーヘッドのリターンについて、昔心配に思ったことが有ったので書いておきます。



ヘッドへの油量を増やした場合に心配になるのがオイルパンへのリターンですが、穴自体チェーンケースへ繋がる大きな物が2つ有るので心配はありません。
自動車エンジンでブローバイがヘッドへ上がる流れと、下に降りるオイルとがぶつかってしまい、ヘッドのオイルが落ちないと言う不具合が有りますが、SRはブローバイの排出がクランクケースからなので、4輪とは違いブローバイの流れが上から下へと逆転しているので問題の発生は心配ありません。

オイルクーラーの導入の是非ですが、2型のSR500では、発熱量の低減を意識した街乗り領域での薄めの燃調と、強化オイルポンプによる熱の拡散を合わせて、夏の酷い渋滞時以外は油温100℃を超える事無く運用が出来ています。街乗り領域でパワーが出る濃い目の燃調(バックファイヤーが出る様な濃い状態。余談ですがバックファイヤーは濃いと出ます。適正にすると治ります。適正とは感覚的に大分薄いものです。そしてエンリッチャーの濃くしてバックファイヤーを治めると言う動作原理は幻です。2000rpmでは動作すらしていません。)では、あっという間に100℃に到達してしまいます。発熱量は燃調で大きく変わる様です。アイドリングのマフラーからの音は、「とっとっとっ」とか「たったったっ」くらい薄いと適正です。「だっだっだっ」とか「ドッドッドッ」とフォークが揺れる様なアイドリングでは、濃過ぎて油温も上がってしまいます。なのでキャブ世代のSRは、「オイルクーラー必要の是非は基本的に不要だけれども、燃調による」と私は思います。(FIは薄いと言うか、キャブに比べると薄過ぎるので、燃料冷却が効かず発熱するのでオイルクーラーは必要になります。)


ちょっと長くなり過ぎましたね。
以上、「ヘッドの冷却強化には、油量の増加が有効で唯一の手法となる。」 でした。


Posted at 2022/12/28 00:29:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年12月26日 イイね!

(SR)強化スイングアームベアリング買ってみた

(SR)強化スイングアームベアリング買ってみたこちらで書きましたスイングアームベアリングの強化版というか、スイングアームに入るであろう最大幅のTA2225Zを買ってみました。

https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/car/2422595/12145174/parts.aspx


純正サイズの2220との比較写真がこちら。


上が純正サイズの2220。幅は20mm。
下は強化版?の2225。幅は25mmで、数字で言うと5mmしか違いが無いけれど実物を比較すると結構な差。

このベアリング2つで、60cm程離れているリアタイヤで走行中に発生する駆動力他全てのフレームへの入力を支える訳です。特に左側はチェーンの駆動力で圧縮される力が加わるから左右同じベアリングってのもおかしいんだよなw。その証拠(根拠?)にリアアクスルはチェーン側に2個ベアリングが入ります。

そんな理由で左側だけ幅広にするって言うのも良いんだけど、折角だから両方交換。


入れば良いけど、、、




Posted at 2022/12/27 01:03:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年12月20日 イイね!

エンジンのパワーアップを考える。5

エンジンのパワーアップを考える。5今までの エンジンのパワーアップを考える。を通して、エンジンの効率改善には兎にも角にも燃焼スピードの改善が必要な事が分かったかと思います。その方法として「燃焼室内の乱流」があるけれど、根本的なチューニングは大工事になってしまうので燃調による燃焼スピードの改善が使いやすいという事。低負荷や高負荷など運転状況に応じた最適な点火タイミングで点火を行うには、TPSを採用した3D点火マップの必要性とノッキング限界までの進角が重要だという事が分かったかと思います。
ココで点火の要素が多く出てきたので、今回は点火の強化について書き出してみたいと思います。
点火の強化と聞くと経験的に、アイドリングが安定したとか少し変わったとか、エンジンの振動が減ったとか増えたとか、マフラーの音が弾けるようになったとか。体感する事も有りますが、具体的に点火とはどういう事なのでしょうか。下のグラフで見てみたいと思います。

出典 https://glanze.sakura.ne.jp/propagate.html
このグラフは0点を点火タイミングとして、縦軸は燃焼室全体までの火炎伝播を100%としてとり、横軸は時間となっています。
点火してからおおよそ10%までの燃え広がりが遅い部分、グラフ緑色の部分は「火炎角形成期間」と言って、燃え広がる前のプラグの端子周辺で火炎が育つ期間となっていて、宇宙創成で言う所のビッグバンみたいな感じかな?(ちょっと違うけど)。 この時期はプラグからの火花で混合気が着火されたり、混合気の乱流に火花が流されて吹き消えたり、そんなミクロな世界での着火から火炎核が形成される期間となっていて、その後は火炎核から火炎伝播が始まり燃焼室全体へ燃え広がり、少し余談だけど最後の5%は燃焼室壁に近くて熱を奪われてしまうので着火に至らない部分もあるよ。という事になっています。
火炎核形成期間で確実かつ早期に火炎核を形成させるのに貢献して、その後の火炎伝播を安定的に得る事が出来るようになるのが「点火の強化」という事になっているようです。毎爆発同じタイミングで火炎伝播を発生させる事が出来ればノッキングの発生にバラツキが無くなって点火タイミングもギリギリまで進め易く成ったり、偶発的なノッキングも無く成ったり。火炎核が早期に形成されれば点火タイミングを早めたのと同じ効果も得られるかと思います。

プラグの形状が同じであれば、強いスパークが長く続く方が、弱く短いよりは良い訳なのですが、これは点火方式などなどにより変化してしまいます。

SRの点火方式には大きく分けて、Fi 世代の「トランジスタ点火」と、キャブ時代の「CDI点火」に分類する事が出来ます。CDI点火はその中でAC-CDI と DC-CDI とに更に分類が出来ます。
どれが良いのか?という話になるのですが、トランジスタ点火が一回のスパークの内に供給出来る電力が多く設定出来るので、トランジスタ点火が良いです。

AC-CDI点火の構造は、発電コイルの中に点火回路専用のコイルを持っていて、そこで1回転で3回フラマグによって発電が行われます。これがバッテリーが無くても点火できる理由でもあります。

その電力はおおよそ400v程度と高電圧で発電するので、エキサイターコイルは12v系の太くて粗い巻き方に比べて、極細い線を極力多く巻いた形状をしているのが特徴です。簡単にいうと12v系のコイルの33倍巻き数があるって事になると思います。

エキサイターコイルで発電した電力はCDI内のフイルムコンデンサーに蓄えられますが、発電した電力を大きなコンデンサーに蓄えると電圧が下がってしまう為、コンデンサーの容量はごく小さなものを採用して高圧で蓄えます。例えで説明するとエキサイターコイルの発電で得られる決まった量の電気を空気として、コンデンサーを風船に例えます。大きな風船に空気を蓄えると膨らみ切らずに取り出す時にダラダラと低圧で出てきますが、小さな風船に蓄えればブシュッっと一瞬で取り出す事が可能です。この勢いをスパークの発生に利用します。これはエキサイターコイルの大きさに合わせたコンデンサーが採用されると言い換える事が出来ます。エキサイターコイルは他のコイルに比べて大型になるのでスペース的にもより大きなものは採用しにくいのかも知れませんし、チューニングも難しいですね。94年以前のコイルはエキサイターが一つだったかな?うろ覚えですが容量がそれ以降と違うかもしれません。

スパークの発生にはコンデンサーの電力を点火コイルの一次側にショートさせる形で結線して、”ピチッ”とそれだけでも火花が出る様な感じで一瞬の内に電力を供給します。それを更に2次コイルで電圧を増幅させて点火プラグのスパークとなります。
なのでCDIの発生する火花は、バチンと一発強い火花が出る構造になっていて、それはガソリンを被ったプラグでもスパークさせる程に強力な火花となるそうです。それが原付を含めて2stのエンジンや始動が厄介なSRに採用されている理由になっているかと思いますが、弱点はスパークの持続時間が極めて短い事。コンデンサーの放電がエネルギー源になるのでエネルギーの総量が限られているのとその放電のさせ方から放電時間がとても短くなります。
CDI方式の点火装置を強化するのは、フラマグのマグネットの強化やエキサイターコイルの巻き数を増やす等の発電能力の向上と、そに合わせた大型のコンデンサーに変更するなどヤリヨウはありますが、実際は困難ですね。 なので一瞬しか無い強力な放電を生かすために、プラグギャップの拡大という手法を取るのが簡単で効果的だと思います。折角の一瞬の高電圧なのに他の点火方式とプラグギャップを同じにしていたら勿体無いと思いませんか? SRで使用されるようなプラグのギャップは出荷状態でニッケルプラグが0.9mm、DENSOのイリジウムプラグが1.1mmに設定されています。点火を強化した4輪のエンジンではこれを1.5mmまで拡大して使用する事が有るそうです。SR500のエンジンで実際にイリジウムプラグを使用して試してみましたが、1.4mm位まではエンジンが元気になる様な効果が体感出来ました。有り余る瞬間のエネルギーを ギャップを拡大して有効に点火エネルギーとして使う。そんな感じです。
1.5mmは逆にパワーダウンしてしまいました。CDIの能力を超えてしまう様です。

CDIに合わせるコイルはSRの純正品には、初期型~用の閉磁式と、1993~2000と2001~2006年までの開磁式の2方式があります。どちらの方が良いのか問題があるかと思いますが、閉磁式の方がトランジスタ式をオマージュする様な長い点火を意識した方式だと言えます。
■閉磁式

閉磁式は閉じた磁気回路があるので磁気的な効率が良いのですが、磁気回路が飽和してしまうとそれ以上の磁力が無効化してしまう弱点があり無駄が発生します。CDIの特性で放電が瞬時に行われるのでコイルには瞬時に大きな磁力が発生してしまい、磁気回路が飽和してボトルネックになってしまう恐れがあります。それを避けるために1次コイルの巻き数が多くなっているのが閉磁コイルの特徴で長めの放電の源にもなっていますが、発生する火花は弱くなってしまいます。CDIからの電力を巻き数の多い1次コイルでジワッと受けて、発生した磁気を閉磁回路で効率よく2次側コイルに送り、これまた巻き数の多い2次コイルで電圧を増幅してスパークします。磁気的には効率が良さそうですがコイルの巻き数が多く電気抵抗が高くなってしまうので電気的な効率は低下してしまうのと、狭いスペースにコイルを多く巻くのでコイル線の被覆の不良が発生しやすく不調(コイルの短絡)や故障(断線)の一因にも成っているようです。CDIの出始めに採用されていた事もあり、それまで一般に使用されていたポイント式でのスパークを出来るだけ模した働きをするように考えられている様です。物量を多く使い高効率を狙った優等生コイルと言えるかと思います。(CDIの火花は弱いと言われるのはこの方式が元ネタと思われます。弱くなるべく長い放電狙い。)

■開磁式

開磁式は磁気回路が気中に形成されるので効率は少し下がりますが、一瞬の大電流から発する大きな磁力でも、気中にそれに合った大きさで磁気回路が形成されるので飽和すること無く2次コイルへとエネルギーが伝達されます。なので1次コイルの抵抗値(巻き数)は極端に少なく一気に高い磁力を発生させるような特性になっています。CDIの瞬間的な放電とは相性が良い回路という事が出来ると思います。(あまり詳しく無いので話半分でお願いします。)(CDIが高回転向きだとか火花が強いと言われるのは、高回転でも点火タイミングで瞬時に全てのエネルギーを放電出来るためで、この方式のコイルが起源になっているかと思います。)

私観ですが「閉磁式の方がかっこよく見えるので性能が良さそう。チューニングパーツっぽい」と思います。ですが、CDIからの供給電力自体が小さくTOTALの点火エネルギーとしてはどちでも同じなので、どちらでも変わらないと言うのが答えかも知れません。
プラグギャップを拡大する使い方には開磁式の方が向いているかな。

DC-CDIの違いは、エキサイターコイルを持たず、バッテリーの12vをCDI内のDC/DCコンバーターで400V程に昇圧してCDIのコンデンサーを充電します。回転の安定しない始動時でも安定してコンデンサーを充電出来るので、始動性などが期待出来ると思います。その他はAC-CDIとあまり変わらないのかな?。

トランジスタ点火は、ポイント点火の機械接点を磁気センサやトランジスタでの電流の断続に置き換えて信頼性の向上や高回転での正確性など高性能化を図った方式ですが、理論はポイント式と同じになります。機械接点での電気の断続をトランジスタに置き換えたのでトランジスタ式と呼ばれます。
その点火の方法は、点火をする前から1次コイルに12Vを通電しておいてコイルに”磁力”としてエネルギーを蓄えておきます。言い方を変えると電磁石が磁気を発している状態にします。 点火の際にはプラス端子を開放してコイルへの通電を遮断します。そうすとコイルの磁力は急激に失われるので “急激な磁力の変化”がコイルに生じます。コイルのプラス端子は開放状態ですがコイルには磁力の変化に応じて電力が発生するので行き場を失った電力はコイルを高電圧にする働きをします。1次コイルが高電圧になると2次コイルには増幅された電圧が発生するのでスパークに至ります。磁力から電力の変換にはある程度の時間が必要なのでCDIの様に過剰な一瞬の電力の高まりは発生は無く少し長く高電圧が生まれます。なので”長い” 放電が可能になります。コイルに貯める磁力は点火に使用するに十分に強力に設定している筈なので、”強く長い放電” が可能になります。
強化を行うとすれば1次コイルの線径を太くして電流を多く流せるようにして、溜め込む磁力のピークを高める事。余り電流が多くなってしまうとイグナイター内の電流を断続するトランジスタ素子を焼いてしまうので注意が必要です。強力なコイルを使用する場合にイグナイターもセットで交換するのはその様な理由からです。イグナイター内で12vを16v位に昇圧してコイルに供給するのもコイルに貯める磁力を高める働きになります。
コイルに磁力を溜めるには結構な時間が必要な為、昨今の高回転エンジンでは1次コイルに十分な磁力を発生させるためにクランク1回転の時間では足りなくなってしまいました。なのでコイルに電流を流す時間を2回転分まで伸ばせるように1気筒当たり1つのコイルが装着されるようになりました。高回転まで使用しないエンジンには2気筒分のコイルを1つに纏めて1回転に1回スパークを行う同爆コイルが使用出来たので2気筒でも1つのコイルで対応が可能でした。(この辺りの話からもCDIは高回転向きと言われた。CDIは回転スピードに関係なくエキサイターコイルで1回転に3回必ず充電されるためかつ放電も瞬時に行えるため。でも高回転化に最適化したトランジスタ式が一番最強。最近の4輪チューニング(旧車)ではCDI方式に戻っている様ですが、1回の点火で複数回のスパークを行うマルチスパーク? 見たいなコンデンサーを沢山積んで1回の点火でマシンガンの様にスパークを行う物が有るようです。そういう表現だとCDIはマグナム、トランジスタ式は散弾銃かな?)

あとは見落としがちな点ですが、スパークプラグには抵抗が入っていてノイズ対策をしている事はよく聞く話だと思いますが、プラグキャップにも抵抗が入っているのはご存じでしょうか?。
AC-CDIを採用する2000年までのモデルには L型のキャップが採用されていて、プラグ内の抵抗値と同じく5kΩの抵抗が入っています。2個も抵抗が要るのかな?なんて思いますが、必要なので入っているのでしょう。ま、これは良いとして、
DC-CDIを採用する2001年~のモデルにはr型のキャップに変更になりました。これはFiになってもFinalまで変更はありませんでした。r型のキャップには10kΩの抵抗が採用されています。DC/DCコンバーターやFiなどの採用でノイズに厳しくなったのかな?
このr型のキャップを元々L型が付いている私のSR500に付けるとパワーダウンしました。10kΩの抵抗は点火に影響が大きいようです。更に抵抗無しキャップに交換した所エンジンが元気に成る感じが体感出来ました。このことから2001年以降のr型キャップをL型又は抵抗無しのキャップに交換すれば、過剰な抵抗を排除できると思います。もともとプラグの抵抗と共に2つも入っている謎抵抗なので、そんな無くても大丈夫じゃないかな??なんて思います。


ここまででCDI式とトランジスタ式で電力の供給方式について違いがある事が分かったかと思います。アフターマーケットのレーシングコイル的商品に、CDIとトランジスタ式のどちらにも使用可能みたいな謳い文句の商品も有ったり無かったりしますが、しっかりと点火の理屈が理解出来ていれば自ずとどの様な商品を選択すれば良いのか?分かってくるかと思います。イグナイターを交換するなどの大工事をしないのであれば純正品で十分かな?。ノイズ防止の抵抗値だけ確認してパワーを無駄にしない事ですね。

四の五の言いましたが、十分な点火パワーが有れば下の写真の様な形状のプラグの使用は、火炎核形成~火炎伝播を考えれば効果が高い事が想像できますね。簡易4プラグみたいな感じかな。Fiのトランジスタ点火の車両であればキャップの抵抗をうんぬんするとかで対応できるのではないかな?(無責任)。CDIはエネルギー量が小さいので向かないと思います。
極端なプロジェクトタイプって言うのも特徴みたいですね。

出典https://plaza.rakuten.co.jp/mement0724/diary/201901150000
もう一つのタイプは火炎核形成として見ると形状的に不利で、突き出しが大きいので燃焼ガスからの受熱が大きくなるので碍子の割れやプレイグの発生の点で不利そうですね。


長くなってしまったので最後に参考になる動画の紹介です。


出っ張っているプラグは燃焼の面では非常に有利だけれど、燃焼温度が上がってくると熱にさらされて不具合が起きるので引っ込めて対応するが燃焼の面では不利になる。SRの場合は燃焼効率が悪く燃焼温度もそんなには上がらないので、イリジウムなど熱に強い金属で出っ張らせて積極的に点火していく方向が良い。そんな感じで見てもらえればと思いました。
動画内でノーマルプラグと言っているのは突き出しの大きいイリジウムプラグになります。
セミレーシングプラグはチューニングパーツメーカーの販売している突き出しの小さい物と、オートバイ用品とは少し違うイメージです。
個人的にはSRにはイリジウムプラグが良いと思います。ノーマルのニッケルプラグではイマイチ調子が上がらない気がします。というか最近の極端に細軸のイリジウムプラグは効果が体感できるくらいに調子が良いです。私の使用しているDENSOの IW20やVW20がプロジェクトタイプの電極むき出しタイプだからなのかも知れません。プラグの選択で燃焼室への露出が変わる?ってのも大事なプラグ選びのポイントですね。プラグのガスケットを外して薄いものに交換して突き出しを増やす。そんな簡単で意義の大きいチューニングも考えられますね



ー追記ー
BPRタイプのプラグは皆プロジェクトタイプの様です。なのでイリジウムプラグが調子良いのは他に要因がある様です。
ーーーー


結論。
「点火装置の前にプラグについてももっと考えよう!www」



昔のプラチナプラグは余り効果が体感出来なかったのと知識が無かったので最近まで「ニッケルプラグの宗派」に属していましたが、SRに乗る様になってDENSOのイリジウムで効果が体感出来ることから、
「イリジウム教」に改宗しました。




次回は吸排気かな?w



Posted at 2022/12/23 04:55:22 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年12月12日 イイね!

エンジンのパワーアップを考える。4

エンジンのパワーアップを考える。4エンジンのパワーアップを考える。1

エンジンのパワーアップを考える。2

エンジンのパワーアップを考える。3


今までの 「エンジンのパワーアップを考える。」を通して、”燃焼速度の改善”と ”燃焼速度に合わせた点火タイミング” が大切なことが分かったか?と思います。

エンジンのパワーアップを考える。3では、MBTという一番効率が良いタイミングで点火を行うとイイいと書きましたが、実際のエンジンではMBTではなかなか点火が出来ないそうです。理由は燃焼室末端のエンドガスが火炎伝播の前に燃え始めてしまうノッキングが発生してしまうから。なのでBESTな点火タイミングよりもあとの遅いタイミングで点火を行ってると言うのが実際だそう。市販車の点火タイミングはMBTよりも遅く、ノッキングの限界よりも遅く、余裕代を持って遅い点火タイミングに設定されていることが殆ど。自動車ではその余裕すら無視できないのでノッキングセンサーを使ってノッキングが出るギリギリまで点火時期を進める制御をしています。言い換えるとノッキングが出たらノッキングが出なくなるタイミングまで遅角させる制御をしています。
MBTを目指して進角させる点火タイミングとノッキングとがせめぎ合っている状態なんですね。
なので燃焼を改善して燃焼スピードを上げる事が出来ればエンドガスが高熱に曝される時間も短くなり、ノッキングの発生に余裕が生まれるのでよりMBTに近く進めたタイミングで点火が出来る事になります。


前回は”燃焼速度の改善”として一つに、圧縮比の向上を取り上げましたが今回は、「乱流」について考えてみたいと思います。


乱流とは、吸気工程で勢いよく燃焼室に導かれた混合気は吸気バルブが閉じて圧縮工程に入ってからもその勢いでクルクルと燃焼室内を旋回し続けます。その旋回を「タンブル流」とか「スワール流」と言います。この燃焼室内の旋回流を総じて乱流と言うようです。
簡単に、横回転するのをスワール流といい、縦回転するのをタンブル流と呼びます。



スワール流 出典motor-fan.jp



タンブル流 出典autoprove.net


これらで得られる効果は乱流燃焼と言うらしく、乱流が強い方が燃焼速度が上がるそうです。何となく早い渦があった方が良く燃えるのがイメージできると思います。最近のエンジンでは ”燃焼室を小型化してポート形状をタンブル比が高く成るように設定した”とかのうたい文句が出て来ていますが、これも燃焼速度の改善の一手ですね。

スワール流は過去のリーンバーンエンジンなどによく採用されていて、燃焼室下層のピストン付近には空気のみの層を成形して、プラグ周りにはストイキA/Fの混合気を層状に配置(多分FIでの噴射タイミングで配置を作る)して点火を行い、容積全体としてリーンバーンを行う手法として採用されていましたが、現在はほぼ全ての機種で強い縦渦を作り燃焼室全体のA/Fを均一にするタンブル流に置き換わっていると思われます。

実際問題では乱流の強化をチューニングとして行うと言うのは困難ですね。


ココで気付き難い要素ですが、アクセルを多く開けた時と少なく開けている時の乱流には変化が起きていて、当然アクセルが大きく開いている時の方が混合気が多く入るので乱流が強くなりますよね。回転数も然り、アクセル開度が同一としても高回転での運転の方が燃焼室の気体の入れ替わりが早く成る訳ですから乱流が強くなります。
アクセル50%よりも100%の方が乱流の効果で燃焼速度が上がるのと、500ccのエンジンで言うと燃焼室に取り込む混合気の量がアクセル50パーセントで250cc、アクセル100%で500cc吸入するとして、実際の圧縮比(圧縮圧力)が上がるので更に燃焼スピードは上がります。
逆に言うとアクセル全開の状態からアクセルを弱めていくと、乱流と圧縮が弱くなるので燃焼速度は遅くなります。燃焼速度が遅くなった状態では点火タイミングは進角させなければ上死点付近で最高の燃焼圧力が得られなくなりますよね? アクセル半開で燃焼にノッキング迄の余裕があるのに点火タイミングを全開時と同じに遅くしていてはポテンシャルを使って無い事になるのでパワーも出ず勿体ない。燃焼が遅い分だけ点火タイミングを進めて低中回転のトルクをもっと稼ぐべき。
そんな点火タイミングの最適化を実行しているのがTPS付のエンジンって事なんです。アクセル開度をセンシングしてアクセル開度に合わせた最適な点火タイミングで燃焼させます。SRで言うとTPSが付いたのが2003年~かな?イモビが付いた年ですね。2002年までのモデルにはTPSは装着されていないので、燃焼的にはとても勿体無いことです。



写真はSRでは無いですが古い車両にTPSを取り付けて点火マップを作製した例です。アクセル開度が低くなるにつれて点火タイミングを進めています(グラフで言うと高くなる)。アクセルを弱めると燃焼的に楽をする事になるので、アクセル開度に合わせて点火タイミングを進めているのが良く分かりますね。低中回転のツキも良くなり燃費も向上。そんな所かな。
出典ファクトリーまめしば
TPSが無い車両にはTPSを加工取付して、ウオタニとかのTPS対応の点火ユニットに交換。この辺が点火チューニングのセオリーになりますね。ウオタニだから凄いって事じゃ無いんですよね。点火タイミングを最適にコントロールして燃焼効率を得る。その為の道具としてのウオタニなんです。だからウオタニがすごいって事になるんですね。(点火が強い弱いとは別次元で大切な話)

TPSが無いと点火マップは以下の様に、回転に対する点火タイミングしかない一本の棒のような単純なグラフになります。


写真はPOSHのCDI。SR400の3型用みたいですね。ノーマルが35°の設定になっているのでPOSHのCDIではさらに37°迄進められるようです。(あれ?3型のTPS付きの車両用のCDIなのにTPSの制御は無効になっちゃってるのかな?レーシングってこう言う事?w。勿体無いなぁ。。) 写真はこちらからお借りしました。

SR400と500が併売されていた時代はCDIが共通部品なので点火タイミングが同じ設定になっていました。どう考えても400の方が実際の圧縮圧力と燃焼圧力(圧縮比では無い)は低くなるので、400の点火タイミングはもっと早くしなければ良い燃焼効率は得られない筈です。
具体的にはSR500が存在した1~2型の400の点火時期は33°/6000rpmに対して、SR400のみになった3型では35°。評判の良さそうなFIのFinalでは38°まで進角されているそうです。 年々進角されてきています。
物の本によると内燃機関の点火タイミングは最大出力時で35°くらいと紹介されていました。水冷で中央プラグのペントルーフ型燃焼室の場合の値でしたが、SRの場合はそこから進めなければいけない要素としてサイドプラグがあり、遅らせなければいけない要素として空冷があるので勘案すると同じくらいになるのでしょうか?finalの38°は結構攻めた値かな?相場的にはそんな感じです。
キャブ車SR400に乗ってる方は点火タイミングだけで、まだまだパワーアップの余地ありと言う事が出来ますね。



話が少し脱線してしまいましたが、乱流を強くする要素にもう一つ「スキッシュ」があります。スキッシュとは


出典clicccar.com

燃焼室面の何もない部分とピストンの冠面で出来る隙間ですね。ピストンが圧縮上死点に差し掛かる頃に、プラグ方向に向かって噴き出す乱流を発生させます。丁度燃焼室の端、つまりエンドガスが滞留している部分の体積を狭くして燃焼室中央に向かって混合気を吹くので効果が大きそうです。

ですがSRの燃焼室は半球型が採用されていて、ピストン径と燃焼室の大きさがイコールで設計されているのでスキッシュは1mmも存在しません。残念無念。

SRの燃焼室です。
写真はこちらのブログさんからお借りしました。

それがSRXに成ると


こんな感じにスキッシュエリアが採用されるようになりました。正常進化ですね。
写真はこちらからお借りしました。

プラグがセンターに配置されるようになり、プラグから遠い容積が無くなりました。それにスキッシュが採用されてエンドガスがさらに減少してノッキングに対しても余裕が生まれているはずです。現代の基本形状が完成したのがこの時期なんですね。
このようにして燃焼スピードを求めてエンジンは進化しています。

現代のエンジンで特に評価が良いものにHONDA N-BOXのが有ると思いますが、その最新エンジンの燃焼室のデザインはこちら。



スキッシュが作れる所はすべてスキッシュになりました。ポート間の肉も薄くて小さな燃焼室に出来るだけ大きなバルブを突っ込む様に苦労の後も見えますね。プラグ周りは掘ってあって火炎角が大きく成長できる様に配慮されているのでしょうか?プラグの突き出しが大きく見えます。
最近の燃焼室は本当にコンパクトに設計されていることと、スキッシュの有用さが分かるかと思います。燃焼室容積が減った分ピストンの中央を凹ませて、小さい球状の燃焼室を形成する様に圧縮比を合わせています。
ここまで燃焼室をコンパクトに作るコンセプトが出て来ると、5バルブが淘汰された理由もわかって来る気がしますね。


そんな圧縮比が低く、スキッシュがまったく無く、めちゃくちゃ大きい、へっぽこSRの燃焼室の現実を受け入れられないよーと言う人向け。ちゃんと燃焼室を加工しているショップさんも存在しています。

出典https://paddock-3.jp/publics/index/15/detail=1/b_id=36/r_id=23/

SR400のピストンの盛り上がりに合わせて、燃焼室側に溶接でアルミを盛って成型しているのですね。追々ツインプラグもやるのでしょうか。
普通の人はそこまでは中々手が入れられないのでSRのノーマルの燃焼室がちょっと残念に感じてしまったかも知れませんが、しっかりとポテンシャルを認識する事も大事。
無駄な事は何一つ無いなんて言いますので、SRのまったりとした独特の鼓動感はこういうビッグな燃焼室で作り出されているのだと思われます。燃焼がとても遅く熱効率が悪くて、エネルギーがトルクにならずにマフラーに排出されてしまう。なのでマフラー内でのガスの膨張が大きくなり排気音がエネルギッシュになる。SR400Finalが音が良いと言われる秘密もこんなところに隠されているみたいです。
https://bike-lineage.org/yamaha/sr400/rh16.html 出典 バイクの系譜
効率が全てでは無いって事ですね。(私のSR500もフィーリング優先で点火時期を0.5°遅らせて、負荷が掛かる領域の燃調は濃い目にしています。w スプロケをロングにしているのでガタガタしちゃうんで、その対策に。コレだと高回転でパワーが少し食われてしまうので、本当はトルクに余裕があるところは遅角してフィーリング優先に、高回転は効率優先でしっかり進角とかカスタム出来るCDIが有れば一番なんですけどね。ですが500はトルクに余裕があるのでこんな所でも遊び心で対応出来てしまいます。NAエンジンにとって排気量は万能薬です。)


という事でSRでパフォーマンスを求めるには、
・SRのノーマル燃焼室で燃焼スピードを求めるのは難しい。
・燃焼スピードが遅く燃焼室が広いので、ノッキングが起きない範囲でしっかりと点火時期を進める事が重要。


そんな事かと思います。


ここにきて簡単に燃焼スピードを向上させる手段を一つ忘れていました。

出典 https://glanze.sakura.ne.jp/propagate.html
A/Fに対する燃焼速度のグラフですが、A/F 11.5の付近で燃焼スピードが最大となっています。SRの燃焼室はエンドガスのボリュームが大きく、さらに空冷エンジンなのでノッキングには大変不利な構成なので、A/Fを濃くすることによって、
・燃焼速度が理論的に速くなる
・燃料冷却が効くのでノッキングを抑える事が出来る
・排気温度を低減させてエンジンの発熱を抑える事が出来る
上記のような効果が見込めるので、MBTの点火タイミングまで進角させる事が狙えるかと思います。SRは濃い目の燃料がミソかな?


ここまででSRでパワーを出そうと思ったら、①燃料を濃く、②点火タイミングは限界まで進める という事が理論的に考えられるかと思います。ですがアクセル小開度の時まで濃くしたり進角させてしまうと振動お化けになってしまうので、回転が上がりアクセルも高開度になりトルクが必要なところにメリハリを付けて濃くするのがいいと思われます。始めチョロチョロ 中パッパって感じですかね。

まぁこれはどのエンジンでも同じなんだけど、それしか選択肢が無いって事ですね。ここまで考慮ができる様になると整備の領域を外れて、少しチューナー気分でエンジンで遊ぶことが出来るのかなw


あとは排気・吸気工程で燃焼室に排気ガスを残さない事が重要になります。排気ガスが燃焼室に残り再圧縮されると、混合気の温度が上昇してエンドガスの自己着火を誘発するという事が有りますし、排気ガス自体は不活性ガスなので燃える事が無いので排気ガスは混合気の燃焼の邪魔をするので燃焼速度の低下を招きます。


なので良い排気と良い吸気が大切になって来ます。
この事は次回以降に。





あとがき
今日はビールを飲みながら書いていたので少しまとまりがなかったかな笑。

Posted at 2022/12/18 02:27:47 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年12月07日 イイね!

(SR)リアタイヤを右に移動する実験。

(SR)リアタイヤを右に移動する実験。オートバイのタイヤは真っ直ぐについていて車体のセンターにある物かと勝手に思い込んでいましたが、実際SRでは約2mm右にズレて付いていて他の車種でもマフラーの重量やその他の?色々な制約の中でセンターにあるとは限らない様です。

今日はリアタイヤを約2.5mm右側に移動してみて、走りにどの様な影響が出るのか?試してみたいと思います。
先日は生産時から約2mm右にずされている?リアタイヤを左に2.4mm移動して車体のセンターに合わせましたが、そこから約5mmの移動になります。

リアタイヤの位置をセンターに合わせた時は車速がある程度高い時は車体のひらひら感が凄く素直になりましたが、低車速や緩いエンジンブレーキでの惰性走行では右に流れる力を感じました。
コレはエンジンが8mm程右にずれて搭載されているのとマフラーなど排気系の重量物が右にある為だと思います。

ですが相変わらずリアタイヤを少し左向きにした方が具合が良い感じは残りました。重心とか関係しているのかな?いまいち理屈はよくわかりません。。実験的結果です。

SRの車体のディメンションをよくよく調べると、車体のセンターからリアタイヤを4.5mm、ノーマルのタイヤの位置からは2.5mm右へ動かすと、リアタイヤのセンターと左右のステップの中央とエンジンの中心がピタリと合う不思議なディメンションになっています。




ソレで用意した部品がこちら。
チェーン調整用のチェーンプーラー左用です。



こう言う感じで使います



タイヤを右にずらす為に左側にはワッシャー2.5mm厚を1枚挿入します。
右側はカラー部分を2.5mm削らなければならないのですが厄介なので、左用のチェーンプーラーを使用して足りない幅にワッシャーを挿入してサイズを合わせます。狙うサイズは右用ノーマルの20.3mmから2.5mm薄くした17.8mmですが、今回はワッシャーを5枚使用して17.3mmとなりました。



0.5mm足りませんでしたが、まぁ良いや。

で、交換作業完了。


意外と簡単にリアタイヤの位置は調整出来ちゃいます。先入観と思い込みを無くせば簡単な事は多い。

ちなみにタイヤを左に移動したい場合は


左のチェーンプーラーのスポット溶接を外してプレートを外して、外したプレートを右側にスペーサーとして挿入する。それだけで2.5mmの移動が可能です。






走りの結果はまた後日。
結果が良ければ、何処かでスプロケットのスペーサーを作って貰おっと。







〜少しだけ乗りました〜

感想。





長年感じていた違和感の根源は

こ、 ここだったのかぁー!!!



に、 にーてん5ミリで こんなにもかぁー!!!

重量物とリアタイヤのセンターを合わせたから当たり前と言えば当たり前??
右曲がりだったハンドルもまっすぐに。
走りながらハンドルから手を離して、アウターのジッパーを開けたり閉めたり、余裕で出来ますw




全バラにして組み立てて、詳細な整備を始めて、、、
それでもどうにも取れなかったあの違和感。

ここに辿り着くために丸2年。アラフィフの青春をココに費やしてしまいました。
今あえてフロントタイヤを90/100-18にしてかつリアは車高を上げ気味でフロントの癖が強く出る様なセッティングになっていますが、違和感の低減しろがエグイ。


どのSRに乗っても多かれ少なかれ感じてしまう、あの特有の違和感。ソレはショップさん整備の車両に乗っても一緒。

この手法は快挙だなぁ〜。と個人的に。もう少し手法を煮詰めようと思います。

聞くと簡単。気がつく事がクリエイティブな価値。

でも一番マイルドな解決法は、フロントを19インチにしてリアの車高を低めにセッティング。コレが良い感じ。




ここに辿り着くために、やっぱりアルミのステムアンダーの影響は大きかったな。
SRの一押しアイテムです。





Posted at 2022/12/07 14:59:12 | コメント(0) | トラックバック(0)

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「[整備] #SR500 輸出用ハイコンプと言われる「583-02」ピストンの上手な?使い方 https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/car/2422595/7482416/note.aspx
何シテル?   09/05 02:04
β350です。よろしくお願いします。
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