私のSR500。とうとうエンジンがダメになってしまいました。
低回転のトルクが急激に減少していき、仕舞いには始動時に圧縮が抜けてしまう現象が発生してしまいました。
エンジンの終わりってこんな感じなんですね。
という事で次のエンジンの仕様を考えたいと思います。
今までのエンジンの仕様は基本ノーマルです。
仕様は以下、
・3GWマフラー
・3型用のエキパイ(2型用より内径が細い)
・BST34キャブ加工&セッティング
・ノーマルエアクリボックス用 K&Nフィルター
・エアクリボックスダクト短縮加工
・オレブル ヘビーウェイト
・デイトナ 点火時期調整プレート(ちょっと遅角)
・スプロケット 16-41T
・タイヤ 4.00-18
広く仕様を変更している様なノーマルの様な、低回転のガタガタを収める為に点火時期を少しだけ遅角していますが、高回転にはネガに効いているという要素もあります。
エキパイは好みでピカピカに光っている物が良くて、細過ぎるのを承知で3型用の新品を購入して使っています。マフラーも抜けの悪い3GWを使用。2J2マフラーも手元にあるのですが音が大きいと疲れてしまう体質なので、排気系はこの抜けの悪いセットで固定に成ってしまいます。
大きく不満は無く、気に入っているのは3型エキパイが作り出す低回転の強いトルクとコントロール性の良いBSTキャブのフィーリング。タイトなUターンもクラッチを繋いだままアクセルでコントロールが出来ていたのでどんな場面でも乗り易い良いセッティングでした。
チョットした不満は、荷物を載せている時に山道でダンプカーを抜く時にちょっと回りきらないと言うかパワー不足?。もうチョイ回ってくれれば良いなと思います。
という事で、
気に入っている部分は出来るだけそのままに、もう少しと思う所だけを出来るだけ伸ばすような、そんな
都合の良い仕様 を考えてみたいと思います。
最近はよく
カスタムはノーマルより劣ると言う言葉が使われますが、
ノーマルを上回るようなカスタム仕様を作るのが目標です。
と言うのと、今回はみんな大好き? 強制開閉式のキャブレターにも挑戦してみたいと思います。個人的にはBSTの方が結果が良いように思いますが、何より経験という事でCRキャブに変更したいと思います。本当はBST36とか使えればそれに飛びつくんですけどね。
本当の本当の理由は負圧キャブのダイアフラムの新品を最近購入したのですが、ダイアフラムの材質が若干厚いゴムに仕様変更に成ったようで、若干 ほんと若干ですがフィーリングが眠たくなったんです (エンジンの不調の可能性もあります)。そんな事も有ってCRキャブも経験してみようかなと言った所です。
とここ迄で、
抜けの悪い 3GWマフラー と 3型エキパイ、それとCRキャブを使用する所まで仕様が固定されました。
CRキャブの口径の選択ですが、これは難しいですね。せっかく交換するので大口径にしてみたい気持ちもありますが、無駄に大口径にしてしまうと極低回転のコントロール性は犠牲になってしまいます。小さすぎるとコントロール性は担保されるでしょうが、ツマラナイのと高回転での出力がどうなのか?と言った疑問もあります。
高回転のパワーを犠牲にしない極力小径のキャブ、もしくは極低回転が成立する極力大口径のキャブを選択する必要が有りますので、取り敢えずキャブレターの開度に対する開口面積をグラフにしてみました。
計算値はベンチュリーとスロットルバルブを図形的に捉えて単純計算しているので、リンク比とかアイドリングの隙間など考慮せず、スロットルバルブ0~100%迄で開く開口面積を計算しています。(この計算だけでも結構手間が掛かりました。)
SR500のVMキャブ仕様の口径は、初期型の2J3キャブで34mm。それ以降87年までは3X4キャブで32mmが標準かな? BST34は口径が34mmですが全開時にバタフライのシャフトがベンチュリーに残るので約32mm相当と考えてもイイかも知れません。
今より10%位パワーが載ればいいので32mmの全開の面積804 に80くらい載せて 約900位の34mmを選べば良いのかな? なんて。それだと通気抵抗がどれだけの低下してパワーにどのくらい影響するんでしょうか? 何となく大口径の方がパワーに良い気はしますがどう選ぶんでしょうかね???
次は低回転の運転性の確認のため、グラフの開度10%までを拡大してみます。
ノーマルの32mm、CRで選択出来る35mm、良く使われる38mmの開口面積を表示しました。
開度5%の所で見ると、
基準とする32mmキャブが
「15」。
35mmキャブが
「18」。 15から
20% のハイスロットルに成った計算です。
38mmキャブは
「21」。15から考えると
30% のハイスロになります。
38mmは私にはちょっとキツイかな?と言う結果です。現在はBST34に8%のハイスロコーンで丁度良いなと思っている感じです。
パワーに効きそうな38mmや39mmは低回転のコントロール性が心配。
スモールボディーの33mmだとノーマルと変わらない??。
中間を取って35mmが良いのかな???。
とここまで考えて結局は何mmを選べば目的に対して最適か? 詳しくは分からないと言う結論と、低開度のコントロール性を考えると出来るだけ小径のキャブレターを選択するのが良い事だけが分かりました。
ココでイメージだけで適当にキャブを選択する訳けにもいかないので?、 ノーマルのキャブレターとエンジンの性能の関係を先ず調べる事にします。その上でどの様に変更すれば目的の性能になるのかを検討してみる作戦に変更です。
ここからは話が一気に大きくなってしまうのですが、エンジンの性能を考える上で今までのブログで書いてきた、
・慣性過給
・脈動過給
を利用した
1、充填効率(吸気効率)の向上 と、
2、エンジンそのものが持つパワーバンド と、
3、キャブレターでの燃料の霧化が効率よく行われる範囲
出力への寄与が大きそうなそれらを算出して、グラフ上に表してみる事にしました。
先ずはネット上の情報を基にグルグルグルグルと色々と考えながら、Excelの計算シートにエンジンの諸スペックを入力するとエンジン特性がグラフ表示されるような計算シートを作りました。
これが計算シート、色々モザイクでごめんなさい。この辺りはYoutubeなどでもチューナさんが話を避けている所で「タブーの域」の様なので一応モザイクしておきます。 でも、ネタはネットで拾っているのでググれば出てきますw。
では順番にデータを入力しながらグラフを見ていきます。
先ずはこのダクト周りの寸法から、
慣性過給効果 が発生する回転数を算出します。
当然ダクトを長く変更すれば低回転側へ、短くすれば高回転側へポイントが移動します。
ノーマルの場合は、
6519rpmが発生回転数に成っていました。最大出力回転なので分かるような感じがします。
続いて、
脈動過給 が発生する回転数を求めます。これはこの部分。
エアクリボックスの容量と、ダクトの断面積と長さから算出が出来ます。
ボックスの容積は3.7Lに対してシートの入力は4.1Lにしていますが、スロットスバルブ部分までの容積を入力しています。
これは複数個所にポイントが表れますが、正の脈動(同調)はシャンパンゴールドのライン、負の脈動(同調)はブラックのラインで表しました。当然 正の脈動が充填効率が上がるポイントで、負の脈動はトルクの谷を作ったりする厄介ポイントになります。
この複数のポイントは周波数の関係で高回転側の方が効果が強くなり低回転側は効果が弱くなります。なので枠の太さやフォントの大きさで効果の強弱を表しました。
これもダクトの長さを調整すればポイントを移動する事が可能です。
次はエンジンそのもののパワーバンド。
赤いラインで下限と上限の範囲を表しました。
回転数の範囲はシートの入力内容から計算で求めていますが、大体こんな感じって分かると思います。
最後はキャブレター霧化の最適範囲です。
霧化に対して適正となる範囲をブルーのラインで表しました。これも低過ぎても高すぎてもダメで上限と下限が有ります。
これも感覚で分かるような気がしますが口径を大きくすればラインは高回転側に、小径にすれば低回転側に動く事に成ります。強制開閉キャブは構造的に低回転高開度に広く霧化の悪い領域が発生してします。極力小径にしたい要因はココからですね。
以上でグラフが完成しました。これEXCELで作りましたが、この表現をするのにデータを31系列使いました。ちょっとしたグラフ職人です。
このエンジンの仕様でダイノジェットでパワー測定した結果があるので、計算の結果と重ね合わせてみます。
慣性過給と脈動過給が効いているシャンパンゴールドのラインの個所はA/Fが薄い方向に成っています(分かりにくいですがGREENのラインです)。慣性過給の方が圧倒的に影響が大きいのが分かりますね。
負の脈動の個所はA/Fが濃い方に作用しています。
脈動過給は低回転側になる程効果が小さくなるので、4200rpmの所は影響が軽微な事が見て取れます。脈動過給はそれ以上の回転数の個所での効果を考えれば良さそうですね。
ダイノジェットではA/Fとパワーの感度が見られませんが、実走行ではよく感じる事が出来るくらいの変化はあります。
ー蛇足ー
なんて冷静に書いていますが、初めて計算結果とダイノジェットのデータが合っている事を確認できた時は ”アヘ顔wピース超え“ でしたw。私が初めてエンジンの吸排気の効率の話を目にしたのは忘れもしない30年前の高校生の時に見たバリバリマシンの中のチューニング漫画でした。吸気と排気には効率の波があって、谷が重なる所がトルクの谷になり、山が重なる所がパワーバンドになると書いてありました。30年越しでやっと理解が出来る様に成って来ました♪ 愛車にSRを選んだのもこう言うのがやりたかったからなんです🎵
ー蛇足終わりー
計算結果は、おおよそ合っていると言えそうです。
他にもA/Fのデコヘコが有りますが、きっと排気系が影響している物と思います。排気系の影響の計算は脈動過給の様に計算するので複数個所に正と負で現れる理屈です。
まだ計算式が完成していないので今の所は吸気系のみの計算となってます。
(別件、ダイノジェットに載せた時は4200rpm付近のA/Fが濃い傾向の原因が分からなかったのですが、ココはパイロットスクリューの影響でした。BSTのセッティングはPSの影響がこの辺りにも大きく影響するので配慮が必要でした)
このグラフからノーマルエンジンの特性を読み解こうとすると意図が良く分からない箇所が有ったりします。原因はこの計算結果の仕様はエアクリボックスのダクトをノーマルを加工して短く切ってしまってるからです。この後にノーマルの長さを入力し直して再確認します。
この仕様では6500rpm付近に過給効果が重なっていてパワーが出ているように感じていたのでダクト短縮のカスタムとしては成功でした。でも谷も大きいのが見て取れますね。確かにそんな感じがありました。
上を回すのに必死だったので試行錯誤の結果ではあったのですが、こう言うのが現状のカスタムの真実ですね・・・良い所があれば悪い所も出る。
以上は計算結果とダイノジェットでの計測結果との整合性のエビデンスとしての紹介でした。
ではドノーマル状態の特性を知る為にノーマルのダクトの長さで計算し直す必要が有りますので入力値を変更します。
ドノーマルエンジンのコンセプトを見ると、エンジンそのもののパワーバンドを基本に考えると、それ以下の苦手な回転範囲にキャブレターの霧化が良い範囲を当てて、トップエンドには慣性過給で伸びを得て、基本的にフラットな特性を得ているようです。
低回転側のコントロール性を得るための工夫でキャブレターは少しだけ小径の物を選んで低回転側に特性に振って、エンジンのパワーバンドとキャブレターの適正範囲が繋がらなくなる部分には脈動過給を当ててトルクカーブを繋ぐ様なテクニックが使われているのかな?
最大出力回転付近には慣性過給を当てがってパワーバンドでの最高出力と +αの伸びを得てるようです。多分エンジンのパワーバンドと慣性過給が重なる領域が最高のフィーリングを発生させる「エクスタシー領域」になるんだと思います。NAエンジンでターボを効かすって言うのを聞いたことがあると思いますがこれの事だと思います。計算さえ出来ればお好みの回転で効かせる事が出来る様になります。
トップエンドは脈動の負のポイントが有るので伸びきらない感じが出るのかも知れません。またはさらに効果の大きい慣性過給と相殺されてネガが出ないのかも知れません。
低回転側から
・キャブレターの霧化の最良領域
・脈動過給
・エンジンのパワーバンド
・慣性過給領域
と回転領域毎に出力向上アイテムを繋ぎ合わせて、出来るだけフラットトルクでワイドレンジに使えるエンジンを作り出しているんですね。
ノーマルがよく出来ていると言われるユエンの一端だと思います。
そんな感じだと思います。
カスタムの目的としては極力低回転を残したまま少し高回転を充実させたいという事なので、
エンジンのパワーバンドを少し高回転側に振って、パワーバンドが高回転側に移行した分だけキャブレターを大口径化して霧化の良い範囲を少し高回転側に寄せるようなパーツ選択が出来ればいいかなと思います。
それではエンジンそのものを高回転化する為にハイカムに変更してみましょう。高回転化と言えばハイカムと言うイメージありますよね。
これがハイカムにした計算結果に成ります。結果が分かり易いように作用角をノーマルの244° から 260°に少し大きめに変更してみました。
前回のブログにも書きましたがハイカムにしてもエンジンそのものの高回転化には寄与しないようです。その代わりに 慣性過給 の回転数が高回転側に移行しました。これは目的を果しては無いですね。6850rpmで慣性過給によるターボが効くので高回転が回る様な感じには成るのかな?
あと思い浮かぶのはポート加工でしょうか?。という事でカムの値はノーマルに戻してからポートをガリガリ削ってみます。
するとどうでしょうか?。
目的の通りエンジンそのもののパワーバンドが高回転側に移行しました。トップエンドは6358rpm から 6915rpmに上昇しました。
ポート径から計算しているので表面を鏡面にしようがゴルフボール状に加工しようが鋳肌であろうが計算結果に影響はありません。鏡面やら段付き修正の話よりも、もっと大きな枠の話でポート径がこの様に影響するようです。
(※SRの場合は他の機種と違い少しポート形状が特殊(へん)で、セオリー通りの計算が出来ないので計算のポイントがセオリーと異なります)
計算をしてみないと思っても見ないですね。 と言うか、この間紹介したAE86のOS技研 11000rpm計画のポート加工の動画を見ればそれは明らかですね。
エンジンそのもののパワーバンドと 慣性過給の回転数がしっかりと重なる位置関係に成りましたのでこの辺りの回転数の出力が期待出来ると思います。慣性過給はダクトの長さの調整で回転数の移行が可能なので調整しやすいですし良い感じだと思います。
ここまでの理解と計算が有れば適正なキャブレター径が選択出来そうです。
エンジンとキャブレターの守備範囲の隙間が大きくなってしまいましたので、ここが埋まるようなキャブの口径を選定します。
エンジンにヘッドチューニングを加えて少し高回転化 & キャブレターをノーマルエンジンのコンセプトに沿う様にほどほどの大口径化 を行った、「ポート加工+ CR35仕様」での計算結果がこちらになります。
繋がりは良いですね。 ですが、脈動過給のポイントがちょっとチンバコンバに成っちゃいましたね。
なのでダクトを4cmカットしてポイントを修正します。
どおでしょうか?キャブとエンジンの継ぎ目に脈動過給を当てるノーマルと同じコンセプトに成りました。 レブ回転側の負の脈動も使用する回転域から外れましたね。良い感じです。
「ポート加工」+「CR35」+「3GWエアクリボックスのダクト4cmカット」 の組み合わせで、目的の特性が確保出来る見込みが立ちました。
(※こういうのを机上の空論と言います… ですが、空論出来るだけレベルアップです。)
※高速道路での巡航やそこからの加速に脈動過給を当てる為に2cm位のカットでも良かったかも知れません。ここは実走行しながら調整します。
あとは極低回転のフィーリングはどうなのかな?と言う心配が有るのですが、それをカバーするアイディアだけはあるのですが、実現はどうかな。。。
図(絵)は下手くそですが、キャブレターと半透明で書いたのはダクトになります。
マメシバさんの Mノズルの説明を読みながら、「そんなに難しく考えなくても、こんな物が出来れば簡単なのにな」と構想を思いつきました。
キャブに付くダクトの中をプレートで上下2つに区切って、霧化の適正範囲に入らない低回転時には入り口にあるフラップを閉じてメインジェット側に空気の流れを集めます。バルブの動力はステップモーターかな? OSR-CDI さんのYPVSの仕組みで動かせると思うんだけど。
これであれば極低回転でアクセルをガボっと開けても燃料の吐出口付近の流速の確保が出来るので、SR400+CR38 の様な仕様でのゲップも抑えられると思うんだけどな。
これこそ机上の空論かなw
まめしばさんのMノズルの仕組みは簡単に絵に書くとこんな感じです。
メインジェットの吐出口が負圧を受けるポイントに、負圧が小さくなってしまう運転状態の時に負圧を付加する為に気流を受ける為の壁を設けています。その気流を受けるアクセル開度のタイミングを変化させるためにショートタイプとロングタイプの設定があるようです。
カットアウェイをいじらずにその機能を実現する所が良い所みたいですね。(図では壁の位置をニードルの後ろに描いちゃいましたが、理屈的にはニードルの前ですね。間違えてしまいましたw)
基本的にデカ過ぎるキャブレター選択をした際に極低回転でのエマージェンシー吐出を追加する感じですね。言い換えるとレーシングとして適正に大きなキャブを装着した際に失われるストリート性能を付加する感じです。
低回転の運転性確保は、Mノズルを装着してカバーするって算段で良いかな?。
(私のアイディアの方式の方が、アクセル全開迄をカバー出来るんだけどな。)
最後になりますがチューニングを行うと必要とされるバルブリフト量が増加します。これも計算シートで算出出来るように成ってますので確認します。
今回のチューニングでは ノーマルの10.18mmから 11.07mmに必要なリフト量が増加しました。
大したチューニングでもないのに要求されるリフト量の変化は大きいですね。
市販ハイチューン用のカムシャフトのリフト量もかなり大きい物が販売されているので、SRのチューニングに大幅なリフト量アップは必須なのかもしれないです。と言うかエンジン全般そうなのかも知れません。
高回転化に寄与しなかったハイカムですが、結局のところは必要になってしまうようです。
初期型純正ハイカムやST-1の作用角252°に交換するとこんな感じになります。
(初期型純正ハイカムのリフト量は10.7mm程度なので少し足りませんが、リフト量の算出はさじ加減な部分もあるので特にSRのポート形状の場合はそんなに目くじら立てなくても大丈夫です(だと思います)。ST-1は計算結果とほぼ同じなのでやっぱりこのように計算されたスペックなんだなと、自分の計算式に感心。)
カムの選択は特性を作る為に変更すると言うより、他のパーツで作った特性にマッチするような物を選択する感じ。それだと全ての理屈が上手く行くようです。
取り敢えず仕様の決定は、めでたしめでたしです。
ん? 慣性過給の回転数が少し高い?
では、エアクリに繋がるダクトのファンネル部分に延長を作成してダクトを伸ばしてみます。(オマケでファンネルを拡大したものを作成。材質はPETGでそのまま使用出来ますが材料費は60円。印刷に5時間です)
↓ 空間が狭いのでスモールタイプもありかな?
どちらでも2cmロングですが、ファンネルの開き具合で慣性過給の回転に影響を与えます。具体的にはファンネルの開きが小さい方が特定回転での慣性過給が強く発揮されます。そういう意味でのオススメはスモールタイプになります。
空気の流れ的にはファンネルのリップを単一rで裏側270度迄回すのがミソです。
これにて、めでたしめでたしです。
ノーマルの様なフィーリングでトップエンドまでしっかりと回る事を目指したNewノーマル仕様。
以上の事から次のエンジン仕様は、
・CR35
・3GWエアクリボックス仕様→ダクトカット
・キャブ用ファンネルダクト →延長
・ポート加工
・ハイカム (リフト量目的)
純正を上回る性能のカスタムの完成です?。
辻褄が合って来たのでこの仕様でオーバーホールにTRYしてみたいと思います。この計算と実際のエンジンフィーリングを合わせられるように成ったらエンジンチューナーに成れるかも知れないですね。
SR500には中途半端な口径と思われる CR35 ですが、こんな使い方をするとバランス型のイイ感じになると思われます。(知った様な口ぶりですが計算上の話ね。しかも吸気系のみ。)
今どきっぽくって良いと思います ✧ ✧ ✧
因みに CR38仕様。
こちらは簡単です。
エンジンそのもののパワーバンドとキャブレターの適正範囲が重なるので、CR35よりも高回転での出力が期待できます。脈動過給の効果を狙うよりもいっそエアクリは外してしまい、吸気抵抗を低減して高回転の出力を追求するのがBESTだと思われます。ファンネルもCR付属の純正品で慣性過給に対して最適になっているのでロングファンネルの必要もありません。
脈動過給を使う為にファンネルを伸ばしても良いですが、脈動過給は負の同調もあるし何しろ慣性過給の回転がズレてしまうので、ボックスレスのノーマルファンネルがベターかな?。高回転側は高出力の条件が整っているので大きなハイカムも効果を発揮し易いでしょう。ですが低回転側は痩せたりゲップしたりすると思うので、2000rpm迄はアクセルを大きく開けないとか? 工夫をした運転が出来る上級者向けですかね。
私が考える CR35とCR38 の仕様を比べたイメージを電気に例えると、
CR38仕様は吸入抵抗を低減して空気がスルスルと入る事を追求する
「直流電流仕様」と言えるかな。考える事は電線を太くして抵抗を低減したり、段差を削って滑らかにするのは電線の接続を半田付けして抵抗を下げるのに似ています。どちらの手法も抵抗を下げて電気がスムーズに流れる事に主眼をおきます。
対して今回の
CR35仕様は脈動や慣性を利用する
「交流電流仕様」かな。電圧の脈動とコイルやダイオードを利用して昇圧したり効率を改善したり高めたりできます。ですが各要素には抵抗や効率の低下が含まれるので、上手に使わないとTOTALでの効率改善に繋がらない難しさがあります。
大径直線ツルツルを意識するDC仕様と テクニカルなAC仕様。 どちらがどうという要素では無く両方を意識して上手に使う必要が有るって感じでしょうか。
吸入抵抗が大きく見えるノーマルエアボックスですが、キャブとの連結部は48mmあって500ccのスポーツ走行にも十分な径が設定されていますし、絞られているように見える入り口のダクトも断面積を計算すると 高さ23mm 幅30mm が3つあるので 23*30*3 = 2,070。 これを円の断面積と捉えて直径を求めると、√ (2,070/3.14)*2 = 51mm と求まります。キャブとの接続ダクトよりも大きな吸入口が開いているのでピークパワーに大きな影響が無いんですね(2J2ボックスのダクトはもっと大口径です)。ボックスを付けているとフィーリングの変化が大きいので抵抗を大きく感じてしまいますが、そこまででは無いと思うのでノーマルの仕組みを上手に利用するCR35仕様も良いんじゃないかな?と思います。
今回はエンジン特性が計算で求まる様にEXCELシートを作るのに大分時間使っちゃいました。
理屈の理解はクロスワードを解く様に面倒くさかったですけど、一度理解して仕舞えば計算式含めてそんなには難しくはありませんでした。内燃機関屋さん的なプロの方が余りこの辺りの事を口外しないのは言ったら理解されてしまう為だと思います。言っても理解しないと思えば口外してますからね。分かって仕舞えば簡単なんです。
計算式は学生フォーミュラの学生向けのエンジン講義とか色々見ながら参考にして作りました。(今の所吸気系のみ)
これでやっと陰陰滅滅な計算作業を終える事が出来ました。
エンジンの設計みたいな事が出来るのは憧れみたいな物もあったのでこのエクセルシートの作成は満足度が高かったです。
脳みそに余裕ができたらエキゾースト側も計算式をTRYしてみたいと思います。
因みに今回の計算は500ccでの結果なので、400ccは別途計算が必要になります。
因みにの因みに、400ccではポート径が大き過ぎると言う計算結果となるので、適正なポート径にする為に
こんな感じでインシュレーター以降の径を絞ると高回転でのパンチが増すと思われます。
流速を上げる為の“吹子”のイメージです。4輪でもレスポンスリングとかありますよね。あれの本質的な発展版です。20数年前にロードスターだかシビックのインテークポートに、この様な吹子みたいなパーツを挟むチューニングがあったの知ってる人居るかなぁ? 排気量に対してポートが大き過ぎる機種はこうするしか方法が無いんですよね。
(本当はパイプの終わりを787のジェットエンジンみたいに、タマゴの殻が割れた様なデザインにするのがイイですね。)
段付きを気にするよりも「流速アップ」が先決!
いやー、エンジンって本当〜に面白いですね。
No Limit ! SR.