前回のリアダンパーのバンプラバーに続き、またリアダンパーネタです。
今回のネタはダンパーの取り付け位置。
ねちねちと細かくやっていきます。
趣味ですw
BLアクセラとBKアクセラでリアダンパーの取り付け方が微妙に違うのはご存知でしょうか。
流用するにはそこの部分が違うからそのままは付かない~という話は何となく聞いた事がある、という方は結構多いかもしれません。
BKアクセラはそもそもトレーリングアームのダンパー取り付け部分にブラケットが溶接されており、そのブラケットの中にダンパーのアイブッシュ部を上から入れてボルトをブラケット側からブッシュ、アームへと貫通させますが、BLアクセラはそこが簡素化されてダンパー直アイブッシュでアームにボルトが通されます。
BLアクセラも同じ、マツダBKプラットフォームです。
その中でもBLFFWのアクセラはプラットフォームの中で最後の方になる。
ならば改良されてきた分煮詰まってて良い物なのではと思う反面、これって単純にコストカットじゃない?と思うこともあり。
まず、リアダンパーが摺動する際の軌跡をジャッキでロアアームごと動かして確かめてみたところ、BKアクセラの細長ブッシュが有効に働くであろう進行方向に対して左右方向よりも、ハッキリ前後方向(というか斜め)ばかりが動き多め。
左右方向には見てる分にはほぼ動かないレベルです。
トレーリングアームにダンパーが付いてますからそんな感じの動きになるでしょう。
ああ、それでBKアクセラみたいにそこのアイブッシュを細長くして、しかもブラケットまでアームにつけてーというのは要らないだろうと判断して止めたのかと個人的に判断しました。
ダンパーのアイブッシュ硬度も違う可能性が高いですね。
しかしそこのブッシュの動きが問題なのではなくて、ダンパー取り付け角度そのものの方が気になります。
BKアクセラはそのダンパーアイブッシュ分アームからダンパーの位置がずれていますからBLアクセラよりももっと立っているはず。
アッパーマウントの位置が同じですから。
ここのダンパー角についてマツダはどう考えてるのかというのもアクセラではありませんが、公式資料が見つかりました。
マツダ技報2008年のGHアテンザの頃33ページ目。
○○度の傾角を持ってレイアウトされていたダンパをほぼ垂直に変更しダンパレバー比を○○に改善…とあります。
(一般公開されている資料ですが念の為具体的な数字は伏せておきます)
やはり!と確信がもてたので、前々からちょこちょこ情報集めしていたものを一気にまとめ上げました。
まず、リアダンパーを固定してるボルト。
BLアクセラ純正はボルト首下が短く、ダンパーをBKアクセラの様にオフセットさせるにもカラーを挟みこむ余地が全くありません。
ちょうどこの頃、近しいFFW乗りの方がオーデュラの蹴脚を取り付けるのにリアのアイブッシュのところのボルトが届かないんだけど??という話をしていて、自分もそれの調査をしていたところ1本のボルトに話が繋がりました。
マツダ純正品番 9YA0-21-20GE
これはBKアクセラのリアダンパーアイブッシュ、他リアロアアームなどで複数箇所に使われているボルトです。
これを購入してBLアクセラで使われているアイブッシュボルトと現物比較してみました。
物はどちらも勿論M12ボルトですが長さが違う事は勿論、アーム側のブラケットを介して取り付けるのでワッシャが存在しない違いもあった他、アイブッシュカラーの中のボルトの当たり方が違いました。
結構どうでもいいレベルの話ですが今回は個人的にはどうでも良くないw
BLアクセラ純正ボルト、首下径11.0mmでネジ山なし。
その先ネジ山立てられてネジ部直径11.7mm。
BKアクセラ純正ボルト、首下径11.7mmでネジ山なし。
その先くびれて11.0mmになって、ボルト首下から32.6mm先でネジ山が立てられて直径11.7mm。
自分の使ってるリアダンパーのアイブッシュカラーの全長が35.5mmなので、BKアクセラ純正ボルトにするとブッシュカラーの前後どちらもボルト径11.7mmの部分が当たる。
が、実はBLアクセラ純正ボルトだと首下が11.0mmと細く、カラーの中では11.7mm部分と11.0mm部分が存在してガタが大きかった事が判明しました。
0.7mm程度ですけれど首を振りやすいガタが存在していた事になります。
これがカラーの前後内がボルト同径になることで斜めガタが減らせます。
ボルト締め付けてるんだからそんなボルトが動く事なんかねーよと思うかもしれませんが、案外動いてる証としてダンパーカラー内径にはくっきりとボルトのネジ打痕があります。
そこのガタが軽減できるのもこっちのボルトのメリット。
ガタがないって事は単純に、減衰力立ち上がりロスを減らせるわけです。
しかし今回はボルトを変えてその部分のガタを減らすのがそもそもの目的ではありません。
あくまでダンパーの角度。
角度変更の為に今回準備したカラーはA2017削り出しの汎用M12カラー。
外径、厚みも申し分なしでダンパーのアイブッシュカラーにも全面しっかり当たります。
A2017はピロアッパーマウントやホイールスペーサーなどでも使われていますので大丈夫でしょう。
厚みは何種類かあり迷いましたが、8mmに決めました。
併せて純正同様にダンパーブッシュ劣化時ダンパー脱落防止の大きなワッシャ、これは特寸ワッシャの外径40mmのものを準備。
それでも純正ほどの強度は正直ないワッシャですが、そもそも脱落防止ですからそこは自分メンテの場合そうないであろうという事で…
そもそもM12サイズでそんな大径のワッシャが店頭にあるわけもなく、その中で何とか見つかったのがW1/2サイズの外径40mmの物。
ピッタリ!ってわけではないですが不具合が起きるレベルでもないので良しとします。
物はそれぞれ、こんな感じ。
これらの物を組み合せて取り付け。
カラー無しと
カラー有り。
うーん。こんなこと
FCの頃でもやってたなw
ついでに、カラー無しでですがダンパーの角度は後方から見て足のストローク量に対してどれくらい見た目に変化するかの写真。
1G状態で
結構伸びるとこう
タイヤリフトしました
横方向にはそんなに変化はしませんね。
この8mmのカラーの有り無しでそれぞれアングルファインダーを用いて簡易的にですがダンパーの角度も測定しました。
結果、
カラー無しで87度
有りで89度
数字だと2度の違い。
そもそもカラー無し87度って全然問題ないダンパーの角度だし。
勿論横力の掛かりとかも走行時にはあるし色んな要素が絡み合うので直立が絶対良い!というわけでもないですが、それ含め検証です。
やってみないとね、気になったことは何でも。
ああ、勿論ボルトが変わってカラーを8mm厚の物を入れていても、
ボルトの掛かり代はたっぷりあります。全然問題なしです。
と言う事でその後500kmはあちこち走り検証しました。
結果、リアの減衰力の立ち上がり速さが明らかに違う。
ゴムブッシュがあるとはいえ、斜めに押し込むのと真っ直ぐ押し込むのどっちがすぐにダンパー動かせるよって話。
しかもブッシュカラーの中のガタも減らせている。
垂直化&ガタ減少で単純にダンパーを動かすまでの遊びが減った印象です。
ダンパーの持つ減衰力が変わったわけではないので基本的には同じ特性ですが、街乗りとかひょこひょこ動く領域だと明らかにダンパーの引張り感がある。
従来比で収束の早さが結構露骨で、リアだけぐっぐっと跳ねを押さえ込ませるみたいな雰囲気。
高速領域のダンピングもある程度改善された感あるけど、強く沈み込ませる様なGを掛けると前と全く同じ。
でもリア足の動きってストレートに乗り心地感に繋がってくるので、街中は乗り心地が改善の印象になりました。
こんなんでも違うんだ!面白いな!って思いましたが、違うだけ。
要するに『減衰力の立ち上がりが若干早くなる』ってのがこの作業の結論。
...好奇心が満たされてよかった、ってのが一番かもしれませんw