新年1月になってから
アクセラの車高調を新しくしました。
1月から4月の今にかけて走りに走りメモ取りながらセッティングやってますが、その回数も30回に迫る今日この頃。
思う事も増えたのでここで一つ、BLアクセラのリアバネを直巻き化する話について掘り下げてみようかなと思います。
意外と細かく書いてるサイトって少ない気がしますしね。
BLアクセラのリアは今時の車では割とある、ダンパーとバネがそれぞれ別位置に配置されているタイプです。
ロアアームにバネ
ナックルにダンパー
って感じですね。
車高調でも勿論バネにアジャスターの組み合わせで車高調整を可能にした構造になり、更にダンパーもフルタップになっていてプリロード調整を可能にしたモデルもあります。
この場合、ダンパーの長さを調整する事でナックルを上下動させて、ロアアームと連動させてバネをメンバー側へ押し付けたり離したりとプリロードを間接的に調整する具合です。
が!
このレイアウトの足周りのネックは、純正バネの形状都合上、車高調で多くに採用される直巻き形状のバネが使えないという事。
ロアアーム側は純正バネと同形状、そこから上にバネが伸びてアジャスターに合わせたバネ内径になるパターンが多く採用されています。
(かなり少数ですがロアアーム側にアジャスターでメンバー側にバネ内径を合わせた逆パターンも存在します。XYZ製とか)
BLアクセラ用の市販車高調キットでも極僅かに最初から直巻き化されているものも中にはありますが、大多数がこの専用バネになっているパターンであり汎用として市販されていて使える直巻きバネの選択肢は基本ありません。
少し踏み入った話になりますが、大径な純正形状に近いバネに対して小径で短い直巻きバネでは許容荷重も違うのでいくらリアが比較的軽いFFと言えど…
ってバネの話になるとますます長くなるのでまず今回は、そんなリアバネを直巻き化するにあたって手段が2つあるので、そこにフォーカスを当ててみます。
その1.
アルファリジット製のアルミ製の『スプリングマウントシート』を使用する
こちらの品番SS-314はメンバー側とロアアーム側のマウントがセットになっているものですが、使用している車高調がメンバー側にアジャスターがあるタイプ(ブリッツ等)であれば下側のマウントだけを使用します。
ここで注意なのが、このアルファリジット製のマウントはID65バネ対応のものとなっているのでブリッツ等ID62のアジャスターと組み合わせる場合、ID65の直巻きバネを準備する必要があります。
ID62やID63のバネは基本入りません。
そこでID65のバネに換えたとして、アジャスター側はID62なので2,3mmの隙間がシートとバネの間には出来るわけになります。
そういった時の為に内径変換する62-65スペーサーも発売されていますが、個人的にはそれは不要と考えます。
アクセラの場合メンバー側は直立不動ですが、バネの受け皿であるロアアームが動く上にそのバネ座面角度が水平ではなく、車両進行方向斜め前になっている…偏角しているからです。
リア左ロアアーム、0G状態作業中の1コマ。
バネの下に隙間があるがこれでもバネは遊んでいない…
メンバー側から真下へ行く直巻きバネは真っ直ぐなのに、メンバー側とロアアーム側ではバネ座角度が違ってしまってこういう事が起きます。
プリロードを多く掛ければバネ側が変形しこの隙間は埋まりますがその隙間を埋める為にプリロードを掛ける様では足の動きを置き去りにした状態になるのは言うまでもなく、不要な程の突き上げをする状態になってしまいます。
プリロードが適切で求める挙動に出来る且つバネが遊ぶ事がない設定という何気にシビアなものが要求されます…
他に、直巻き化でデメリットとも言える面はこんなところがあります。
・バネを真っ直ぐストロークさせられないので縮むにつれて抵抗が変に強まる
・横方向の力も多く加わるので車高調のスプリングガイドにバネの内側が強く当て擦られ、異音が発生する
・組み合わせが悪いと構成部品のどこかが横力に負けて破損する
こういう問題が浮上してきます。
ID62のアジャスターだとしても個人的にはID65そのままでいいと思うのは横逃げ箇所が欲しいからという事から。
物理的に真っ直ぐストロークし得ない構造なので、もうこれはそういう悪癖を持っているという事を理解して付き合う他ありません。
しょうがない、ロアアームがカスタネット状にスイングする設計なので…
しかし最初から直巻きバネがキットになっているアクセラの車高調の場合、実はある決まった条件があります。
それは、リアバネの自由長が大分短いという事。
通常のリア専用形状バネの自由長は180~210mm辺りですが、バネレートも自由長もそれと大幅に違います。
ロアアームが大きくスイングする事でバネが弓なりにたわみフリクションロス発生するなら、そもそもそのたわみ軌道がないくらい短くしてしまえという発想なのでしょうか。
そういうアクセラ用の車高調キットのリアバネ自由長は知る限りで、125mm、140mm、152mmと随分短くバネレートが高めです。
事実アクセラのリアロアアームは水平気味になる位置も確かに存在するのでアジャスターと組み合わせてそこ狙いにしているのでしょう。
しかし当然そんな短いバネでもバネは遊ばせないという大前提があるので、ダンパーもそれ相応に短足化するわけですね。
自分が過去セッティングした事あるのは自由長140mmのものですが、それよりも更に15mmも短いリア足はどうセッティングしたらいいんだろうと相当悩みそうです…
当たり前ですが、物凄く短足なので簡単にインリフトしてしまうんです。
ただ、高いバネレートにするなら自由長は短くしないと簡単に車高は高くなってしまうし、プリロードもそれでいて掛けるなりヘルパー使うなりしないとダンパーのバンプリバウンドストロークバランスも偏ってしまいます。
こうして沼に陥るわけですね…w
他の実例として、テインの車高調の場合はID65なのでアジャスターとバネがそのままID65通しになります。
しかし先述した通り弓なり軌道の問題もあるのであまり長いバネは使えませんし、テインのBLアクセラ用車高調にフルタップダンパーは設定がありません。
つまりプリロードの調整が一切できないので自由長は選択肢が少ない、あるいはバネレート、自由長を考慮したメインバネにヘルパーを追加する手段になります。
セッティングという点では大分難しくなる事も想定されます。
テインのバネアジャスターは純正バネのゴムマウントを活用して装着するので、ある程度のゴム滑りは期待できるかと思うのでもしかしたらID65でもバネの座り偏角は多少なり…マシ?かも?しれません。
アクセラでテイン車高調装着のバネ換え装着車で1G締め作業はやった事がありますが、車高調のセッティングまでは行っていないのでその辺は何とも分かりません。
ここまで書いておいてなんですが、そもそも発売元のアルファリジットとしてはそういうアジャスターとの組み合わせを推奨してこれを出しているわけでは、ありません!
上側のメンバーの球面部に直でアルミマウントを当てて使う上側のマウントと組み合わせて直巻きバネのみで使う事を基本としていて、この場合車高調整機能はないから調整する場合は同社製デルリン製スプリングスペーサーを使って下さいとしています。
金属同士接触になりますが、この球面部に当てるからこそバネを当てても多少なり動きが作れるので良しとしているのか…は定かではありませんが。
ちなみに自分が使っているRSRの車高調は上アジャスターID65でアジャスター本体はボルト固定になります。
なのでバネはそのままID65が選択肢になって、そして弓なり、横力の影響でバネの異音が…削れて錆が…という具合です。
繰り返しの分解と調整でなるべく音が鳴らないバネの巻き始めの位置とプリロード、プリロード設定と乗り味の両立。
2日に一度はリア足いじりしてるくらいの苦行?っぷりでしたがその辺は少しずつまとまってきました…
そんな感じで相性の問題もやや起きますが、直巻きバネを導入しやすいとてもありがたいパーツだと個人的には思っています。
既存のアジャスターをそのまま使えるのがまず良い。
車高が調整しやすいので。
ストロークの問題については決してアルファリジットのシートが悪いのではなく、直巻き化する事で出てくるアクセラの悪癖なのでしょうがないです。
RSRの車高調を使ってる間は少なくとも自分もこれを愛用していきますよ!
導入コストも割と高すぎずな事もあり、アクセラ乗りには昔から定番パーツの1つですね!
その2.
オーデュラ製の『リア直巻きスプリングアダプター』を使用する
元々は同社オーデュラ(厳密にはオーデュラはブランド名であって、オーバードライブの方が正しいんだけど界隈ではオーデュラが愛称)のサーキット向け車高調、蹴脚IIのキット品なのですが、需要がある故に単品製品化したという経緯があるパーツです。
メンバー側に専用の大型ゴムマウント、ロアアーム側にボルト締結のアジャスターのキット。
これは下アジャスターになるのでその構造上、車上で車高調整ができません。
アジャスターの皿がロアアームのくぼみの中に潜ってしまうので車高調レンチが掛けられないからというのが理由。
つまり、車高調整の度にロアアームを切り離し、アジャスター固定のボルトを緩め、アジャスター本体を取り出して単品で調整して、また装着し直して…自分の都合に合う車高になっていなければまたロアアームから外して…
大分面倒!なんですが、それ以外は非常に良く考えられた造りをしています。
まずメンバー側の専用ゴムマウント。
バネIDは62~65の対応になっています。
こんな感じのゴムの塊なので車重でバネがゴムに食い込みますから正直フリクション発生はあります。
これを取り外すとゴムにバネの形がくっきり残っている程に捩れ逃がしがない。
このマウントに滑りを期待するスラストシートを併用したことがありますが、一緒にゴムごと変形するだけで期待するような滑り効果はありませんでした。
ゴムではない分多少なり滑りはマシかなという程度…
このでかいゴムマウントの固定方法はただメンバーのくぼみに押し込むだけ。
結構いい塩梅のきつさなのもありここで使える小技として、先に問題になったロアアームからのバネの角度とメンバーからのバネの角度が合わず…という問題。
そうです、組む時にちゃんと意識をしてやれば若干偏角させることが出来ます!
他社はもうメンバーのくぼみに入る様にしか入らないけど、これはそんな事は無い。
って、こういうのがどこまで考えられてるのかは分からないですが。
ゴム製なので基本異音も出ないしマウントの固定も挟み込むだけで特にないし、それでいて前述した様なバネの厄介な問題に対しある程度許容がある。
アジャスター側は先に書いた通りにまぁ調整が…どうしても繰り返しやるにはあまりにダルいのはあるんですが…
大手メーカーが大半ただ挟み込むだけのアジャスターであるのに対してロアアーム底側に当て板をしてボルトをアジャスターまで貫通しての固定式になっているのも特徴の1つ。
流石吊るしで10kのバネを組み込むサーキット向け車高調のパーツです。
ただ、取付の際は先にボルトを締めてしまうと斜めに引っ張る力が掛かってしまうので、バネをセットしてからボルトは締めましょう。
対応バネはID62が基本ではありますが、サイトの説明にちょっと分かりづらいながら
『内径は2.5インチ、65㎜のスプリングに対応』
とあります。
何故ここでインチとミリって思うんですが、要するにID62~65に対応という内容ですw
ちなみにごく最近24年4月にこの単品版取り寄せた方がいらっしゃるのですが同社製品でもBMアクセラ等で使われている方のパーツが使われていました。
アジャスター側、従来のゴムシートじゃなくて樹脂シートになっていたんですねー!
BLアクセラ用ではあれ、初めて見ました。
ロックシート類の形状が全然違うので見分けはすぐにつきますね。
オリジナルで紫シート+樹脂シート化は既にやっておりますが!w
これの場合、326パワーのシート(硬質ではないし滑るかというと滑る感じでもないが…)とヘルパーを組み合わせています。
シートが多用されているので余計な力は逃げやすい状態です。
割とデメリットを先に書いた内容になりましたが、そもそもバネを直巻きに換えたい!というイメージを持っている方は、
バネを硬くしてスポーツ走行しやすくしたい!
車高をより下げていい塩梅にするために硬くしたい!
等イメージを抱いているかと思います。
それが出来る事がまず何よりのメリット。
そして市販バネは多種多様で、自分のお気に入りブランドやユニークな特性を持つバネに交換したりすれば慣れた自分の車の挙動もまたフレッシュに。
要は、より楽しい!を叶えてくれるものだと自分は思っています。
という事で今回はそれぞれ2点、BLアクセラのリアバネを直巻き化するにあたってのパーツの話でした!
1万円台と2万円台とで値段も性格も違いますが、どちらにもメリットデメリットがあります。
アクセラはリアバネレートを上げると思った以上に走りが元気になるし、車高の面でも自由度が増します。
一度、バネ沼へ沈み込むのは如何でしょうか…!
責任も取らんし保証も勿論しませんがww
キットの吊るしでは味わえない世界がここにあります。