
昨今、基地公開や、艦船系の見学にも積極的に足を運ぶようになった、かわねこ。
振り返ると今年は、艦船系だけでも6月に護衛艦「あさぎり」、7月に護衛艦「ひゅうが」と、8月に巡視船「そうや」の一般公開を見学しています。
秋も深まった10月半ばのこと、もう一般公開はないんだろうなあと思い込んでいたのですが、ここへ来て釧路で護衛艦「ゆうべつ」の一般公開が行われると聞いて、ノコノコ出かけることにしました。
「ゆうべつ」は、オーストラリア軍が採用したことで話題になった「もがみ」型護衛艦の8番艦で、今年6月に就役したばかりの最新鋭艦です。
今回も午後からの公開に合わせて、少し余裕を持って出発。
しかし、いつもの海沿いルートを走ると、海はこの荒れっぷりになっていました。今回は体験航海ではなく、公開場所も釧路港内ですが、あまり荒れると安全上、公開中止の懸念もあります。
念のため、厚内で小休止の際に中止情報はないことを確認し、釧路へ向かったのでした。
釧路ならば、お昼はやっぱり蕎麦ですが、今回は特に行く店を決めておらず、おおまかに場所の見当を付けて、国道沿いにあるお店に入ることに。
てなことで、お店を見つけましたが駐車場に入ってみたら、そこは蕎麦屋さんの駐車場ではなく、駐車場は裏だとの看板が。回ってみると飲み屋が並ぶスペースが駐車場で、そこから国道側へ移動する、いわゆるうなぎの寝床的なレイアウトなのでした。
昔ながらのかんじがする店構えに、期待が持てます。
メニューを眺めて、最初は天ぷらそばでも…と思っていたのですが、そんなにお腹が空いていなかったので、定番の「ざるとぬき」で。
まわりではセットのカツ丼をオーダーする人も多かったので、こんどはカツ丼にするのもいいかも。
果たして来たざるそばは、普通でこの盛りの良さ。
かしわぬきはこんなかんじで、これが出汁がよく効いていて、実に美味しい一品でした。
ざるとぬきをいただくと、結構お腹いっぱいになったので、ざるで正解だったかも。
まだ少し時間があったので、「そうや」の停泊バースにも寄ってみました。
「現・そうや」は、10月末に発表された通り、11月12日で解役となりました。
既に11月4日には釧路を旅立ち、北九州の解体場所まで最後の航海に出たので、この時が今度こそ本当に最後の雄姿でした。
そして「新・そうや」は12月に配備されるとか。
そしていつも、釧路みなとまつりの際にクルマを停めるスペースへ行ってみると、がらんとしています。
これはもしや、と、直接ターミナルへ行ってみると、港内に臨時駐車スペースが設けられていたのでした。
「そうや」の場合は、祭りの関係でここが使えないのでしょう。
なので、エスクとツーショットも実現。
3900トンなので、そんなに大きくないのでは、と思っていましたが、やっぱりでかい。
それでもって、ほぼ面で構成されている、このステルス艦型は実に迫力があります。
公開は13時からの予定でしたが、準備の関係で15分ほど遅れるとのこと。(よくあることです)
そのため並び始めた観客へ、先任伍長さんがマイクで艦の解説をしてくれる、サービスぶり。
曰く乗組員は90名ほどだが、そのうち女性は5名しかいないそう。なので、女性クルーを見かけたら、ぜひ声をかけてあげて、と、言っていたら、ちょうど受付担当の女性隊員さんが降りてきました。
すると先任伍長さん、「はい!みなさんに自己紹介!」と、マイクを渡します。
女性隊員さんは、いきなりの無茶振りにオロオロしてしまいましたが、観客からの拍手に、なんとか話し始めました。
その様子が初々しいので、新任の隊員さんだろうなと思っていたら、入隊して2ヶ月の、経理担当だそうです。
にこやかに見守る先任伍長さんの笑顔が、印象的でした。
最新ステルス艦だけに、当然、撮影場所は限られるのだろうな、と思っていた通り、前後甲板と5インチ砲のみ撮影可、でした。
釧路ではなじみのある「そうや」と違って、さして見学者は来ないのでは、と思っていたのですが、意外や「そうや」の時より多く、50名以上の列ができていました。
後部の飛行甲板から乗艦し、前甲板へ移動しますが、本来ならオープンな舷側も、当然鉄板で覆われており狭く暗い廊下、という印象。大きさの割に人的移動のスペースは最小限なあたり、艦船らしいつくりです。
実は、舷側前方に短魚雷の発射管が備え付けられており、間近で眺められましたが、当然撮影できず。
前甲板へ上がると、5インチ砲が鎮座しています。
注意書きのプレートが真新しい。
見上げると、艦橋上に塔のように立っている中には、各種レーダーや通信アンテナが収められており、その形状からユニコーンマストと呼ばれているそうです。
5インチ砲はコスト的に、なかなか射撃演習はできないのでは、と隊員さんに訊いてみると、それでも年数回は撃つ機会があるそう。ただこの艦は就役したばかりなので、まだ撃ったことはないのだそうです。
後で気づいたのですが、前甲板には係留ロープやウインチなど、船舶にあるべき細かな装備がひとつもありません。もちろん、徹底したステルス性のため、これらは下甲板に収められているのです。
艦橋の前には、VLSの発射セルが並ぶのは、いかにも護衛艦。
下甲板へ降りるラッタルも狭く急なので、子供が降りるのに時間がかかっていたのも、艦船らしいつくり。
その間、別の隊員さんに「最新鋭なので、居住区は快適なのでは」と訊いてみると、意外や他の艦に比べて「特に広くなっているとか、快適になっている面はまったくありません」という回答でした。
格納庫は思ったより広くはなく、ヘリの収容機数は1機のみだそう。
飛行甲板の撮影はOKでしたが、格納庫内は撮らないで欲しい、とのことだったので、格納庫の装備もしくは広さそのものが機密のようです。
しかし管制室は撮影OKでした。「管制室は他と変わりませんので」とのこと。
甲板に置かれたロープの真新しさが、目立ちます。
撮影が限られていることもあり、大きさの割に見るところは少ない印象ですが、艦の任務上機密が多いので、これは仕方ないことです。ちょっと意外だったのは、6月に就役したばかりなので、今回が初の一般公開なのかと思いきや、既に3回ほど済ませているとか。
この「ゆうべつ」は、青森県の大湊基地に配備されていて、今回釧路までは1泊の航海なので「近いものです」と隊員さん。ただ、かなり時化ていたので、揺れはしたそうです。
下艦してふと見上げると、上甲板に見えるあれは。なんか見覚えがあります。
「もしかしてファランクスですか?」と訊いてみると、「そうです。よくご存知ですね」と言われました。
「ひゅうが」では、ファランクスの実演を行った、という話をしたら、先任伍長さんがノリのいい方で「それはすごいサービスですね。じゃあうちはVLS撃ちますか。3発くらい撃ってもいいですよ。」と返してくれました。(笑
ステルス護衛艦自体、まず見る機会がないので、なかなかに楽しませてもらいました。