
7月19日から22日まで、広尾町の十勝港に、海上自衛隊の護衛艦「いせ」と支援艦「すおう」が入港することになりました。
十勝港は、20数年前までフェリーの定期運行がありましたが、航路が廃止されて久しく、現在は貨物港として農産物のほか、石炭や木材をはじめとする、様々な物資の入出拠点として、重要な役割を担っています。
その十勝港へ海上自衛隊の大型艦船入港は、おそらく2010年の「ひゅうが」以来。いせは初入港となります。
しかも今回の入港目的は、広報活動でいせが一般公開されるため、これは船好きとしては見ないわけにいきません。(笑
てなことで、友人たちと申し合わせ、広尾を目指したのでした。と言うか同乗させてもらいました。
十勝港は、これまでもえりも方面へのドライブやツーリングに行く際には、よく立ち寄っています。海保の巡視船や大型貨物船が入港していたりすることもあり、船好きには見るだけで楽しいのです。
わくわくしながら十勝港の臨時駐車場に到着すると、ターミナル方向には、周辺の倉庫群があってもなお、巨大さがわかる構造物に、嫌でも目が行きます。
全長197m、全幅33m、基準排水量1万3千950トンのスペックは、ふだん乗っている新日本海フェリーの方が大きいくらいですが、さすがに艦船だけあり、存在感がハンパないです。
艦の前には出店が並び、この人出もあって、ちょっとしたお祭り。
午後からの公開時刻に合わせて行ったのですが、既に乗艦が開始されていたこともあり、さほど並ぶことなく、乗艦できました。
最初に乗艦した場所は、中甲板のヘリ格納庫。フェリーである程度見慣れているとは言え、やはり広大です。
そしてなんだか行列ができている、と思ったらば。
なんと!ヘリ搭載用エレベーターに乗って上甲板に行けるのです。これはめったに体験できないので、手放しで嬉しい。
ヘリ用エレベーターだけに、巻き上げ機のゴツさがソソります。
そして見上げると、そびえ立つ艦橋が見えます。これだけでも、マニア的にはたまりません。(笑
通常、民間フェリーのスロープなどは、かなりゆっくり動くので、それに比べると驚くほど速いスピードで上昇するのは、艦船の装備ならでは。
見渡してもその広いこと。さすがアイランド型艦橋。
ふと足元を見ると、民間船の甲板と違い、普通の塗料ではなく分厚いゴム状のものが、甲板一面に施されています。おそらくは、ステルス性を高めるためではないかと思われる装備です。
甲板の端にけっこう大型のラフタクレーンが置かれている、と思ったら、これ、いせの装備品でした。確かに様々な用途に必要そう。
艦首には、20㎜機関砲が備えられています。当たり前ですが、弾丸のゴツさが異様です。
艦尾方向には、小型車両が置かれていました。
これもいせの装備品で、消火用車両だそう。確かに、有事において消火活動はなにより大切なものです。
後部にはアスロックの発射ハッチが並びますが、さすがに機密装備なので、見せてはくれません。(笑
銃架には、12.7㎜機銃が据えられています。これは展示用で、通常機銃は外されているようです。
カツオ一本釣の竿ではありません。(笑
かわねこ的には、この屹立するアンテナ群の迫力が艦船らしく、琴線に触れまくり。
基台が可倒式で、ヘリ離着艦時にはぶつからないよう、倒れる構造になっているのです。
甲板上には、SH-60Kが展示されていました。
人が並んでいるのは、後席だけですが、中に入って座れるため。
SH-60Kは、テイルブームにヒンジが付いていて、折り畳める構造なのが、いかにも艦載機。
コクピットも開放していたので、外からですが見ることができました。今やヘリもグラスコクピットで、アナログ計器が存在しないのに驚き。
ルーフのスイッチ群がいかにもヘリのコクピット。こういうの、好きですねえ。
でもシートの後ろに、さりげなくお守りが吊るされているのが微笑ましい。
興奮してバシバシ写真を撮りまくりましたが、そういえばこれらって、軍事機密なのでは。
しかし撮影制限はなかったので、撮ってはダメなところは、最初から公開していなかったようです。そのためでしょう。艦橋内には基本入れず、トイレに行きたい人(主に子供)のみ、申告するとひとりずつ入れていましたが、入った瞬間から、そばの隊員がハッチをロックしていたので、さすがにいい大人が、中を見たいばかりにトイレに行かせろ、とは言えませんでした。(笑
しかし、広報活動が今回の任務とあって、隊員のみなさんは、気さくにいろいろ答えてくれました。
女性隊員もけっこう目立つので、何名くらい乗り組んでいるのか聞いたところ、全体(約300名)の1割、30名ほどが女性だそうです。思わず「そんなに女性が乗り組んでいるんですね」と言ったら、これでも少なく、海外の艦船だと3割程度は乗り組んでいるのが普通で、自衛隊はまだまだ少ない方だとか。
艦内を堪能した後は、外観もじっくり見させてもらいました。
艦が大きいだけあって、ランチもでかい。
艦体後部には、短魚雷の発射管も。これもめったにお目にかかれません。
艦が大きいだけに、防御装備もいろいろと付いています。
これもステルス性のためと思いますが、艦尾はこのようにばっさり切り落とされた、シンプルなつくりです。
艦名がうっすらとしか記されていないのは、ここ近年のロービジ化なのか。
上甲板が広いためでしょう、艦底から甲板への艦体の湾曲ぶりが、民間船と全く違います。このあたりが、艦艇ならではの迫力を醸し出しているようです。
つづく