
GG型アテンザスポーツのような全長の長いハッチバックスタイルに固有の呼称が見つからなかったため、「ロングテール型ハッチバック」と呼んできました。これも今ひとつなので、改めて呼び方を考えてみました。
アテンザの5ドアハッチバックは「スポーツ」ですが、このスタイルに固有の呼称ではなく、2ボックス型のアクセラも「スポーツ」です。BMW 4シリーズのGran Coupeはハッチバックですが、リヤハッチのない2シリーズや6シリーズにも同名モデルがあります。Audi A5のsportsbackは長いハッチバックですが、2ボックス型のA3でも同じ名称です。BMWやAudiは「4ドアクーペ」と呼ぶのを好むようですが、これではハッチバックとわかりません。
トヨタは、コロナやカローラのリヤが長めのハッチバックを、「リフトバック」と呼んできました。これはトヨタ固有の呼称だと思っていましたが、英語版Wikipediaを見ると、アテンザのように長いハッチバックはliftbackと呼び、アクセラのような短いhatchbackと区別しています。
A liftback is a variation of hatchback with a sloping roofline between 45 and 5 degrees.
この語がどこまで市民権を得ているのかは、よくわかりません。
長いハッチバックスタイルの呼称として「ファストバック」が使えるかと思っていましたが、英語版Wikipediaでは次のように言っています。
... a fastback is a broad styling term used to describe any car with an uninterrupted slope in the roofline from the roof to the rear bumper.
最後部までなだらかな傾斜になっているものをfastbackと呼ぶのだとすると、アテンザスポーツのように短いリヤデッキがあるものは違うかもしれません。国内ではMazda3を「ファストバック」と称しているので、この語の印象が変わってしまいそうです。マツダの英国サイトではMazda3もHatchbackと呼んでいますが、英語では恥ずかしくてfastbackとは呼べなかったのでしょうか。
フランス語のWikipediaでは、Mazda 6のハッチバックをberline 5 portesと呼んでいます。4ドアセダンはberline 4 portesなので、これは「5ドアセダン」なのかと思いましたが、Mazda 3のような短いハッチバックも同じ呼び名なのを見ると、単に「5ドア乗用車」だと想像されます。
ドイツ語のWikipediaでは、Mazda 6のハッチバックをKombilimousineと呼んでいます。Kombiはステーションワゴン、Limousineは文字通りリムジンとすると、この語は「ワゴン型リムジン」と思われますが、Mazda 3のような短いハッチバックも同じ呼称なので、Kombilimousineは「ハッチバック」全般、Limousineは単なる「乗用車」ということなのでしょう。これとは別にSchräghecklimousineという名前もありますが、これは「後部が傾斜している乗用車」ということで、fastbackに近そうなイメージです。
以上をもとに、長いハッチバックスタイルを示す呼称として3案を挙げてみます。
5ドアリフトバック
英語版Wikipediaのliftbackですが、トヨタしか使っていなそうなのが今ひとつです。
セダン派生型ハッチバック
同一車種のセダンモデルに近いプロポーションで、サイズ感もほぼ同じです。セダンが主でハッチバックが「派生」とも限らないので、もっと相応しい言い方があるといいのですが。
実用型5ドアクーペ
全高が低いハッチバックは「5ドアクーペ」と呼ばれますが、それよりも実用的なパッケージングです。
近年は背の高いミニバン、SUV、クロスオーバー、軽ワゴンなどが主流なので、いまや少数派である従来型セダンスタイルは、相対的には背が低いプロポーションです。全高1.45mあたりまでのハッチバックなら、今では十分「5ドアクーペ」と呼ぶことができそうです。フランス語を気取ると、ma grande coupé cinq portesといったところでしょうか。
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2022/12/03 17:20:27