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アテンザスポーツやBMW4シリーズグランクーペ(写真)のような大きめの5ドアハッチバックに共通する呼称は、いろいろ探してもなさそうでした。一案として「Dセグメントハッチバック」と呼ぶことも考えてみました(マツダはGG型アテンザを「CDセグメント」としていたようですが、あまり気にしないことにします)。ここのタイトルは「ロングテール型ハッチバック」に変更しましたが、あまり一般的な言い方ではありません。
ハッチバック(HB)といえば、Cセグメント以下が圧倒的に多く、その大半は2ボックスです。その上のクラスの5ドアHBは、セダンと同様の全長で、大きく傾斜したリヤハッチを持つ形です。Wikipediaを見ると5ドアセダンや5ドアクーペの名がありますが、ほかには「セダン型(または、クーペ型、ファストバック型)ハッチバック」のような言い方を目にします。セダンの派生形としてユーティリティに配慮した形をとりつつ、イメージはクーペ側に寄せようとしているものが見られます。
国内では、この形の5ドアHBはマイナーな存在でした。トヨタコロナは、古くは1960年代に5ドアセダンがあり、その後4つのモデルに「リフトバック」がありました。マツダではカペラ、クロノス一族のMS-6、アテンザと続く系列で計5世代。5ドアHBが何度も登場したのはこれくらいで、ほかは単発モデルばかりだったようです。セダンボディが標準であった時代には、5ドアHBはリヤが重く見え、デザインのバランスが難しいと感じました。そんな中で、アテンザのHBはうまくまとまったスタイルであり、それなりに支持を得ていたように思います。
2000年からヨーロッパへ行く機会があって、この形の5ドアHBによく遭遇しました。フォードモンデオ、ルノーラグナ、オペルベクトラ、サーブ(9-3など)のほか、セダンにしか見えないシトロエン(エグザンティア、C5)などもありました。アベンシス、プリメーラ、GF型カペラは、日本にはない5ドアHBを見かけました。当時「日本と違って宅配が普及していないので、家具を買ったら持ち帰るニーズがある」などと説明する記事を見ましたが、本当だったのでしょうか?
近年のヨーロッパでは、これらのHBを見かけるのは、古いものばかりです。ベクトラ後継のインシグニアはセダンの形で、外見からはHBと気づきませんでした。以前からHBのあるモンデオは、4ドアセダンとよく似ていますが、製造中止が発表されました。あちらでもクロスオーバーを含むSUVが増えていて、「5ドアセダン」は残念ながら駆逐されています。
これらに代わって、高価格帯に5ドアHBが増えてきました。2代続くポルシェパナメーラを筆頭に、アウディ(A5、A7のスポーツバック)、BMW(グランツーリスモ、4シリーズグランクーペ)のほか、VWアルテオンやプジョー508などもHBです。従来型HBがセダンの亜種だったのに対し、こちらの多くは実用性も加味した高級クーペにしたいようです。「5ドアクーペ」がプレミアムモデルの新ジャンルとして確立するかどうかは、これらの成否次第でしょう。
アテンザのハッチバックは、セダンと同等の高さがあり、成り立ちはセダンの派生形です。GG型の開発ストーリーによると、後半になって急遽ハッチバックを追加したとか。これをスポーツと名付け、エアロパーツを装着するなどして差別化したのは、うまい戦略です。これらがついていない欧州仕様を見ると、少し貧弱な印象を受けます。
これは最近増えてきた「5ドアプレミアムクーペ」の先駆モデルだと勝手に考えると、ちょっとありがたみが増します。「5ナンバーフルサイズ+横幅10センチ」に収まる車種がほかにないこともあって、引き続き乗り続ける動機の一つになっています。
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2021/05/26 00:35:05