金子浩久のブログ一覧

　昨日の神宮外苑一帯では、３カ所から大歓声が沸き起こっていた。
　大学野球早慶戦、大学ラグビー明治ー慶応、Jリーグナビスコカップ磐田ー広島の３戦が、ほぼ同時に開催されていたからだ。
　近くの明治公園で開催されていたフリーマーケット会場にいると、何分か置きに拍手と歓声がそれぞれの競技場から聞こえてきていた。
　明治公園のフリーマーケットはいつも盛況で、昨日も、たくさんの出展者と来場者。
　見るからに業者っぽい人から、アマチュア然としている人。
　単に不要品をお金に換えたい人から、好きなものを拡げて売ることで同好の人たちと触れ合うことが目的な人。
　モノの再利用を媒介にして人と通じ合えるのは、とてもいいことだと思う。
　ここは、乗り付けたクルマの横で店を広げられるから出展者に好都合だろう。ミニバンやステーションワゴンなどは、ここゾとばかりに品物をたくさん積んできて、テールゲートやスライドドアを開けて営業している。
　でも、軽ワンボックスやコンパクトハッチバックなんかも、シートを倒したり、ルーフにキャリアを載せたり、張り切っている感じがして、クルマが活き活きしている。
　中でも異彩を放っていたのが、会場中央でルーフを開けて腕時計や服などを売っていたBMW Z4の男性だ。
　限定で少数が販売されたオリーブグリーンの2.5i。軍用車のようなソリッドなオリーブグリーンが、抑揚の強いZ4の造形によく似合っている。昔の人だったら、きっと“国防色”って言っちゃう色。
　オープン２シーターはトランク容量が小さいから、売り物はあんまり積めないんじゃないか？
「いや、大丈夫。時計は、このふたつのケースに入っているだけだし、服だって、畳んじゃえば、全部トランクに収まっちゃうよ」
　腕時計を見せてもらうと、タグが付いたままの未使用品がいくつもある。
「パッて買って来ちゃうんだけど、飽きっぽいから、たくさん集まっちゃったんだ。500個は、あるよ」
　ほぼ毎回、ここのフリーマーケットには参加しているそうだ。
「いまサ、5000円で出していたバッグを、3500円にマケてくれっていう人に売っちゃったんだ。最初は断ったんだけど、しばらくしてからやって来て、また頼まれちゃったから、しょうがないから売っちゃったよ」
“3500円じゃ、本当は売りたくなかったんだよ”と、言葉では悔しがってはいたけれど、実にうれしそうな笑顔でしたよ。

　日本の自動車メーカーが海外でだけ販売しているクルマは少なくないが、中でも、ホンダ・リッジラインは魅力的な一台だ。カナダで製造され、北米大陸が主なマーケットになっている。
　ご存知の通り、アメリカではピックアップトラックの人気が高く、GM、フォード、クライスラーの（旧）ビッグ３がさまざまなピックアップトラックを大量に製造し、販売してきた。
　乗用車ではアメリカで大きなシェアを獲得してきた日本車メーカーも、その牙城を崩すことは簡単ではなかった。
　そこで、ホンダが2005年に満を持して投入したのが、リッジラインだった。モノコックにフレームを接合した４ドア５座ボディに3.5リッターV6エンジンを搭載し、４輪を駆動する。
　シャープなラインと面で構成され、荷台のサイドラインが水平基調ではなく、斜めなのが特徴的だ。だから、片側５車線、６車線もあるようなアメリカのフリーウェイでも、遠くからでも見分けが付く。
　ひと昔前のホンダ車が持っていたバタ臭い雰囲気がプンプンしていて、カッコいい。
　ツインリンクもてぎサーキットの外周通路を遠くから走ってくる、この白いリッジラインもすぐにわかった。他のクルマに見え隠れしながらも、存在感は抜群。
　近くに来たのを見たら、存在感はさらに増した。荷台に、なんと。真っ白な革張りソファが載っているのだ。
　アメリカには、“ソファ仕様”があるのだろうか？
　それとも、サイズも荷台の横幅ピッタリだから、特注で誂えたのだろうか？
　もてぎのオーバルコース第２ターンアウト側は「スーパースピードウェイ・コースサイドパーキング」となっていて、自分のクルマをスタンド席上の駐車場に停めて、そこからレースを観戦できるようになっている。
　だから、今年のインディジャパン300マイルでも、ワゴンやミニバンをコースを背に駐車し、テールゲートを開けて、そこに腰掛けたり、クルマの横にキャンプセットを設営して観戦している人たちが多かった。スタート前まで、バーベキューで盛り上がっているグループだっていた。レースを、より楽しみながら観戦できる、とてもいい席だと感心させられた。
　でも、リッジラインは、それらの上手をいっていた。
　リッジラインのドライバーは、ソロリソロリとバックで駐車し、スタンド席のすぐ後ろで停めた。食べ物や飲み物を持って、荷台に上がり、ソファから観戦だ。
　特等席！
「荷台の寸法に合わせて、ソファを作ったんですか？」
「いいえ、ネットオークションで5000円で買ったんですよ」
「ええっ!?　誂えたようにピッタリじゃないですか。カッコいいですよ」
「ありがとうございますッ」