先日のCG WEBに
こんな記事が載っていました。大分前に一世を風靡した?ルイジ・コラーニ氏が死去されたそうです。御年91歳だったそうで大往生でしょうか。
曲線を多用した有機的…というか奇抜なデザインが特徴的なデザイナーで、車、バイク、船、飛行機などあらゆる乗り物のデザインスタディをされていました。こちらはトレーラーですが、SF映画からそのまま出て来た感じですね。
何故かチョロQも商品化されており、色々な種類がありました。私も持ってました。
こんなF1マシンもデザインしたようです。エアインテークとバックミラーが特徴的ですが、あまり速くなかったようです。
飛行機も凄い格好ですね。これは巨大な旅客機でしょうか。プロペラも特徴的です。
こちらの飛行機も格好良く、サンダーバードにでも出てきそうですが、当時から「こんな格好できちんと飛ぶの?」という疑問はあったようです。でも、この主翼上のエンジンのデザインは
HONDA JETで実用化されていますから、見かけ倒しではないようです。
カメラのスタディデザインもありますが、実際に使ってみるとどうなのでしょうか。左利きの方には辛そうですね(苦笑)。アイカップの形からは右眼で覗くのを前提としているようですが、左眼で覗く私にも辛そうです(爆)。
このスペースシャトルも格好良いですね。本の表紙になっていますが、この本は私も買いました。これは結構秀逸なデザインだと思います。ウルトラ警備隊のウルトラホークを連想しますね。
彼の作品で量産された物や一般的になった物はほとんど無い感じでデザイナーというよりはアーティストという印象でした。見た目は凄くてなんだか格好良いんですが「これ、きちんと使えるの?」というイメージでした。もちろんCADも無い時代で手描きのデザインだったようで厳密な空力学的、人間工学的吟味はされていなかったのでは、と思います。芸術作品として出せばもっとヒットしたのかもしれませんね。
それに比べると、工業デザイナーとしてはジョルジェット・ジウジアーロ御大は凄いですね。例えば車一つ取ってみても、実用車からスーパーカーまで色々なデザインをしています。
日本車に限っても秀逸かつ流麗な車のオンパレードですね。まずは117クーペでしょうか。
本当に素敵なラインですね。当時の日本車も素敵なデザインのものが多かったですが、群を抜いて素敵です。
同じいすずのピアッツァも素敵でしたね。こちらもモーターショーのデザインスタディかと思ったら、ほぼそのままで市販化されましたね。
こちらはスバルのSVX。ほとんどコンセプトカーの感じで、良くこれを市販化出来たと思います。6気筒の水平対向エンジンでしたし、ある意味スーパーカーですね。
この凄いグラスエリア、生産性や歪みの問題でメーカー泣かせだったようです。中古で購入してガラスが割れたら修理出来なくて廃車でしょうか。でも、個人的には欲しい車です。
こちらはトヨタの初代アリスト。これも実はジウジアーロデザインで、元々はジャガーのコンセプトデザインだったのが市販化されなかったのでトヨタに回ってきたという逸話もあります。市販化に当たって御大はトヨタに「この車はホワイトに塗ってはいかん!」という注文を付けたという都市伝説?もあります。一時期乗っていましたが、2JZシーケンシャルツインターボのパワーでなかなか楽しい車でした。
これらの車に共通するのは、デザインだけでなくリアシートの居住性など、パッケージング全般がきちんとデザインされている事で、全然見かけ倒しでは無い所です。アリストもリアのドア形状が良くて、同時期併売のマジェスタより乗降性が良かったくらいです。
でも、これらの車はマイナーチェンジで角目になったり、ホワイトが追加されたり、と当初の秀逸なデザインをぶち壊す改悪?がされたりする事もあったのが悲しいですね。大体、マイナーチェンジでデザインが向上した例なんてほとんど無いのにどうして最初の秀逸なデザインを改悪してしまうんだ、と思ってしまいます。
他の工業製品でも、例えばニコンとのコラボの最初の作品のF3、こちらもモータードライブを装着した状態でバランスが取れるようなデザインで、これも多分カメラ業界初だと思います。こちらは次世代のF4が出るまでマイナーチェンジ無しで(当たり前?)最終的には併売で20年間生産されました。私も愛用していましたが、本当に良いカメラでした。
ちなみに、ジウジアーロ御大の凄い所は、始めにニコンのエンジニアが持ってきた基本の設計図を見て、「モーターはここに収めて、バッテリーはこんな形で…」などとその場で書き直していったら、当初の設計よりかなりコンパクトになってビックリされた、という逸話(都市伝説?)があります。いかに工業デザイナーとして優秀なのか分かりますね。
それに比べると昨今の車は(特にSUV)変にクーペ的なデザインでリアの居住性が貧弱だったり、デザイン重視でリアドアウインドウが小さくて乗り込むと閉塞感があったり、トランクスペースも狭かったり、と(そんなものがあるのか分かりませんが)SUVの本道をはずれたものが多い気がします。ライト周りのデザインでも、威圧的でギラギラしているばかりでウインカーが点いているかどうかも分からなかったり、インテリアデザインでもブラインドタッチは出来なくて取り説をきちんと読まないと運転中の操作が不可能だったり、デザイナーの自己満足の作品が多い印象です。
本来だったら市販化に向けての検討段階でエンジニアサイドが「これではきちんと乗れません、操作出来ません」とダメ出しをすべき部分がそのまま通っている感じで、自動車としての基本のパッケージングの吟味が成されていないのか、マーケティングに押されて適当な商品化をされているのか、どちらにしても悲しいですね。
自動車メーカーがこれですから、これから新規参入でEVが増えてくるともっととんでもないデザインの車が増えてくるのかもしれませんね。なんかとっても脱線しましたが(爆)、ジウジアーロ御大のように素晴らしいパッケージングとデザインを両立した車が出て来て欲しいですね。
Posted at 2019/10/01 12:23:30 | |
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くるま | 日記